オリックス-ロッテ戦、2回裏に審判団が約3分の協議 ハイブリッドポジション申告の確認

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
9月6日の京セラドーム大阪、オリックス-ロッテ戦の2回裏に試合が約3分間止まった。若月健矢の打席が終わった直後、球審とほかの審判が内野に集まり、無言のまま話し込む場面があったからだ。場内への説明はないまま試合は再開されたが、試合後に責任審判の眞鍋勝已が明かしたのは、今季から導入されたハイブリッドポジションの申告方法をめぐる審判同士の確認だった。
2回裏、1死満塁の場面で試合中断
試合はパ・リーグの公式戦で、オリックスの本拠地・京セラドーム大阪で13時に始まった。オリックスの先発は曽谷龍平、ロッテの先発は7月にメジャーから加入したジョーイ・ルケーシーだった。試合は2回表、ロッテの井上広大が左越えにソロ本塁打を放ち先制する。
流れが変わったのは、その裏のオリックスの攻撃だった。1死満塁とチャンスを広げた場面で、若月健矢がセンターへの飛球に倒れて2死満塁となる。ここで球審の白井一行と一塁塁審の眞鍋勝已がグラウンド上で話し込み、さらに2人の審判も加わって計4人が内野に集合した。白井と眞鍋はいったんバックネット方向まで下がり、控えの審判とも言葉を交わす。説明のないまま4人は持ち場へ戻り、白井がマウンドのルケーシーに向けてセットポジションの構えを示すしぐさを見せた。中断時間はおよそ3分間に及んだ。再開後、次打者の麦谷祐介は左飛に倒れ、オリックスはこの回を無得点で終えている。
新ルールの申告確認が発端に
試合後、責任審判を務めた眞鍋は「ちょっと曖昧なところがあった。最終的に確認して試合を再開した」と中断の理由を説明した。焦点になったのは、今季の規則改正で新たに認められたハイブリッドポジションの扱いだった。
ハイブリッドポジションとは、投手がセットポジションに入る前の構えから、そのままワインドアップに移行して投げる投球姿勢を指す。従来、走者がいる場面でこうした姿勢を取ると反則投球と判定されるおそれがあったが、2026年の規則改正で条件付きで認められるようになった。打者が打席に入る前に投手が球審へ申告すれば、ワインドアップでの投球が許される仕組みだ。米国ではすでに採用されているルールで、今季から日本でも適用が始まったばかりだった。
ルケーシーはこの試合、変則的な投球フォームを随所に織り交ぜていた。眞鍋の説明をたどれば、走者を背負った場面でのルケーシーの構えが事前の申告と食い違っていないか、審判同士で改めて確かめる必要があった。シニアクルーチーフを務める眞鍋が協議の中心になったのも、新ルールの運用を統括する立場によるものだろう。
眞鍋審判が明かした協議の中身
中断の背景には、ルケーシー自身の投球フォームの特徴もあった。198cmの長身から繰り出すチェンジアップの握りで投げるカーブ系の変化球は本人が「チャーブ」と呼ぶ武器で、セットポジションに入るまでの間合いにも独特の癖がある。7月17日にロッテ入団が発表されたルケーシーは、パドレス、メッツ、ジャイアンツ、エンジェルスとメジャーを渡り歩いた経験がある左腕だ。8月9日のオリックス戦で来日後初先発を務めたが、この日は太田の打球が右足を直撃するアクシデントもあり、4回2失点で降板し、勝敗はつかなかった。来日2度目の登板となったこの日(9月6日)は7回まで無安打投球を続け、外国人投手としては2022年の日本ハム・ポンセ以来となるノーヒットノーランに挑んだが、8回に麦谷の内野安打を許して達成はならず、最終的に7回を1安打4奪三振0失点に抑えて降板し、鈴木、横山への継投で来日初勝利をつかんでいる。
一方の曽谷は5回を投げて3失点、井上のソロに続き4回に藤原恭大、5回に西川史礁の適時打を許して降板した。打線は最後までルケーシーを打ち崩せず、オリックスは0-3で完封負けを喫している。
説明なき3分間、解説者の見立て
場内へのアナウンスがないまま試合が進んだことで、球場にはざわついた空気が広がった。中継の解説を担当した野田浩司は「これだけ試合が止まって説明がなかったらお客さんブーイングですよね」と指摘し、ルケーシーのセットポジションについて「グラブが一回止まって、そこからもう一回止まる」動きが問題になったとの見方を示している。
オリックスの岸田護監督とロッテのサブロー監督も、イニングの合間に審判団へ説明を求める場面があった。それでも場内実況での案内は最後までなく、観客の多くは中断の意味を試合後の報道で初めて知った。
球審を務めた白井は8月16日に通算2000試合出場を達成したベテランで、独特の甲高いストライクコールから「怪鳥」の愛称で親しまれている。ふだんは軽快な掛け声で球場を沸かせる審判だけに、無言のまま協議に加わった様子は、テレビ画面越しにも普段との違いが伝わる場面になった。
0-3で完封負け、次に生きる教訓
オリックスとロッテは4日から3連戦を戦い、オリックスが初戦を3-1で制すと、5日は延長10回、太田椋のサヨナラ打で7-6の接戦を制して連勝した。6日はルケーシーの好投でロッテが借りを返し、3連戦はオリックスの2勝1敗で終わっている。
関連記事:太田椋さん、延長10回1死満塁からの初球サヨナラ打 オリックスは今季8度目のサヨナラ勝ち
この結果、オリックスはパ・リーグ4位(59勝64敗2分、勝率.480)、ロッテは5位(54勝62敗3分、勝率.466)と、5割前後で並ぶ混戦を続けている。場内への説明がなかった背景には、ルール自体が複雑で、限られた時間での周知が難しかったとみる報道もある。判定を巡る規則が変わったばかりのシーズンだけに、場内説明が省かれ観客が置き去りになった点は、審判団と球団側に運用面の見直しを促す材料になりそうだ。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]






























































コメントはこちら