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ChatGPT Pro(20倍)の新規受付が一時停止 GPT-6 Astraの需要で、既存契約と他プランは影響なし

ChatGPT Pro(20倍)の新規受付が一時停止 GPT-6 Astraの需要で、既存契約と他プランは影響なし

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

OpenAIが、ChatGPTの最上位プラン「Pro(20倍)」の新規申し込みを止めた。日本時間9月11日未明、プロダクト責任者のティボー・ソティオ氏がXで公表したもので、理由は米国時間9月3日に出した新モデルGPT-6 Astraの需要だ。何が止まり、何が止まっていないのかを整理する。

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止めたのは月200ドルの「Pro(20倍)」だけ

ソティオ氏の投稿は日本時間9月11日3時17分。今の利用者に最高の体験と、Astraへのアクセスを保ち続けてもらうため、月200ドルのProプランの新規契約を止める、と書いた。理由も添えている。このプランがシステムにいちばん重い負荷をかけるため、可能な限り広くアクセスを残せる最小の一手を選んだ、という説明だ。

そのうえで、ほかのプランとAPIはすべてこれまで通り使えること、既存のアカウントには影響がないこと、できる限り早く容量を増やす作業を進めていることを並べた。

対象を整理すると、こうなる。

区分状態
Pro(20倍・月200ドル)の新規申し込み・アップグレード停止中
Pro(20倍)をプロモコードで新しく引き換えること停止中
Pro(20倍)の既存契約影響なし・そのまま使える
Pro(5倍)・Plus・Go・無料これまで通り申し込める
API・法人向けプランこれまで通り使える

プラン選択の画面には「20Xプランは一時的に購入できません」と出る。英語の画面では、このプランは新規の購入が一時的にできないこと、既存の契約には影響しないことが並んで表示される。

再開の時期は示されていない。

1週間で打てる手を使い切った

Astraが世に出たのは米国時間9月3日、日本時間では4日の未明にあたる。パソコン上で人ができることを代わりに、しかも速くこなす、という触れ込みのモデルで、デスクトップ操作を測るベンチマークOSWorld 2.0のオフライン版では72.6%を記録した。前世代のGPT-5.6 Solは65.7%だったから、7ポイント近く上がっている。1度に扱える文脈は105万トークンに達する。

そこからの1週間、ソティオ氏のXはほぼ供給の話で埋まってきた。

日本時間打った手
9月4日 8時12分Astraを使えない日が続く有料ユーザーへ、1日1回の利用枠リセットを配ると告知
9月5日 9時39分予定より早く展開を進められたとして、Plus・Pro・Business全員へ利用枠を一括リセット
9月7日 6時51分長時間使う人の枠の消費を、品質を変えずに最大3分の1から4分の1まで抑える改善を投入
9月8日 4時24分有料プラン全体の利用枠をもう一度リセットすると予告
9月9日 14時34分需要が「前例のない」水準にあるとして、新規Pro受付の一時停止に言及
9月11日 3時17分Pro(20倍)の新規受付を停止

配る、減らす、また配る。それでも追いつかず、最後に入り口へ手をかけた順番が並ぶ。

予告から1日半、Webアプリには先に仕掛けが入っていた

停止は突然降ってきたわけではなかった。ソティオ氏は9日の時点で、Astraへの需要が本当に前例のない水準にあると書き、この状態が続けば新規のProサブスクリプションをしばらく止めなければならないかもしれない、と予告していた。

関連記事:GPT-6 Astraの需要は「前例のない」水準 OpenAIのプロダクト責任者が新規Proプラン受付の一時停止に言及

準備が動いていた形跡もある。OpenAIの動向を追うティボール・ブラホ氏は10日23時35分、ChatGPTのWebアプリ側に「Pro 20xの購入を遠隔で止められる」仕組みと、停止時に出す文言が入っていることを指摘していた。そのおよそ3時間40分後に、実際のスイッチが入った。

なぜ20倍プランだけを止めたのか

Proには5倍と20倍の2段階がある。20倍という名前は控えめな比喩ではなく、ソティオ氏の説明によれば、Plusの利用枠をほぼ正確に20倍にしたものだ。名前の通りの中身になっている。

つまり、1契約あたりが持ち込む計算資源の要求量が、Plusや無料プランとは桁で違う。加入者が1人増えたときにサーバー側が背負うものが最も大きいのが20倍プランで、だから入り口を絞る先として最初に選ばれた。ソティオ氏が「最小の一手」と書いたのは、この意味だ。裾野の広いプランを止めれば、影響を受ける人数ははるかに多くなる。

負荷の中身を具体的に想像しやすい例もある。Astraは指示を1つ与えると自分で何時間も作業を続ける使い方ができ、開発者のcozyblaze氏の実験では、1本のゲームを解かせるだけで入力トークンが累計4億3,000万を超えた。同じような使い方を上限の広いプランで大勢が同時に回せば、計算資源はいくらあっても足りない。

関連記事:GPT-6 Astraが『Portal』を人の操作なしでクリア 23時間43分・API換算571ドルでエンディングに到達

前回の受付停止は約1か月で戻った

入り口を閉じるのは、OpenAIにとって初めてではない。2023年11月15日、サム・アルトマン氏はDevDay後の利用者急増を理由にChatGPT Plusの新規登録を止めた。再開したのは米国時間12月13日で、止まっていた期間はおよそ1か月。アルトマン氏は再開の投稿で、GPUをもっと見つけるまで待たせたことへの礼を書いていた。

同じことは他社でも起きている。2026年7月、中国のMoonshot AIが新モデル「Kimi K3」を出した直後に申し込みが殺到し、新規契約を一時的に止めた。

関連記事:Kimi K3、中国Moonshot AIが2.8兆パラメータの新AIモデル発表 人気殺到で新規契約を一時停止

ただし前回のPlus停止と今回では、止めた範囲が違う。2023年は個人向け有料プランの入り口そのものを閉じたが、今回閉じたのは最上位の1段だけで、Plusも5倍のProも開いたままだ。過去の期間をそのまま今回に当てはめて「1か月で戻る」と読むのは早い。

今から使いたい人が取れる手

20倍プランを新しく契約する道は、当面ふさがっている。代わりに残っているのは次の選択だ。

Pro(5倍)は申し込める。Astraは使えて、利用枠はPlusより広く、20倍ほどではないという位置づけだ。Plusでも、ChatGPT WorkとCodexの中であればAstraに触れられる。開発用途ならAPIが開いていて、こちらは標準料金で入力100万トークンあたり10ドル、出力50ドル。ただし入力が27万2,000トークンを超える要求は長文脈の料金に切り替わり、超えた分だけでなく要求全体が入力20ドル・出力75ドルで計算される。

関連記事:サム・アルトマン、AIが企業を変える速度の予測を修正 「経済の慣性」とは何か

どれを選ぶかは、Astraを何時間回すかで変わる。数十分の調べ物や文章の相談で終わるならPlusで足りるし、半日かけて何かを組ませたいなら枠の広さが効いてくる。これから20倍でなければ回らない使い方を始めたい人にとっては、今回の停止は重い。

注意したいのは、いま20倍プランを契約している人が解約した場合だ。解約を予約しても請求期間の終わりまでは使えて、期間が終わる前なら請求設定から取り消せる。ただし、いったん契約が切れると停止が解けるまで買い直せない。5倍への引き下げや返金、更新時の決済失敗で契約が終わった場合も同じ扱いになる。様子を見るなら、解約せずに残しておくほうが安全だ。

再開の条件は「容量」

ソティオ氏の投稿に、再開時期の記載はない。書かれていたのは、できる限り早く容量を増やしているという1点だけだ。裏返せば、判断材料は増設の進み具合になる。

関連記事:OpenAI、次期主力モデル「Astra」の存在を公表 数学の未解決問題10件を解決、議会でもデモ披露

月200ドルを払うと言っている客を、企業が自分から断る。売上の面だけ見れば逆向きの判断だが、この価格帯はもともと採算が合っていない。アルトマン氏は2025年1月、月200ドルのProについて、想定よりはるかに多く使われていて赤字が出ているとXに書き、価格を決めたのは自分でもう少し儲かると思っていた、とも付け加えていた。使われるほど計算資源が出ていく層の上に今回の需要が乗り、入り口を閉じるところまで押した。既存ユーザーの体験を守る方を選んだ、という優先順位がはっきり出た決定だ。

性能のベンチマークではなく、発表からの1週間の供給の動き方そのものが、このモデルで何が変わったのかを示している。次に見るべきは、増設がいつ追いつき、閉じた入り口がいつ開くのかだ。

[文/構成 by MediaDogs編集部]

寄稿者

MediaDogs編集部
メディアドッグス株式会社のMediaDogs編集部チーム。インターネットマーケティングに約10年携わるメンバーで編成し、企画・取材・執筆から公開後の改善まで一貫して担当。「出会いを、設計する。」のもと、人と企業が正しく出会える場をつくるために、一次情報の確認とファクトチェックを徹底。情報をわかりやすく誠実に届け、読者の疑問を解決します。

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