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サム・アルトマン、AIが企業を変える速度の予測を修正 「経済の慣性」とは何か

サム・アルトマン、AIが企業を変える速度の予測を修正 「経済の慣性」とは何か

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

OpenAIのサム・アルトマン氏が、2026年8月23日公開の対談でAIによる企業変化の速度の見立てを修正した。焦点は、既存のソフトウェア事業が変わるまでの時間。理由に挙げた「経済の慣性」を、本人の説明と日本企業のAI利用調査から読み解く。

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修正したのは企業が変わるまでの時間

OpenAIの最高経営責任者であるサム・アルトマン氏は、デビッド・センラ(David Senra)氏の番組で、GPT-4が登場した2023年当時に予想したほど早くソフトウェア事業の変化が進まなかったと認めた。

OpenAIがGPT-4を発表したのは2023年3月14日。文章や画像を入力できるAIモデルとして紹介した。対談の公開日は2026年8月23日に当たる。

アルトマン氏はAIの能力を高く評価しながら、企業の取引や働き方が変わるには時間がかかるとの見立てを語った。

例えば、AIがある作業をこなせるかを知るには、成果物の品質や正確さを確かめる必要がある。顧客の乗り換えや担当者の手順の変更を考える際に問われるのは、実際の利用まで進むかどうかだ。

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慣れた道具は作り手本人も変えにくい

アルトマン氏は対談で、経済には大きな慣性があると説明した。

ここでの慣性は、従来の行動が続くことを表す言葉だ。同じ会社から買い、慣れた道具を同じように使う習慣を挙げ、変化が緩やかになることで移行も円滑に進むと説明した。

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Netflixは動画配信を始める前、米国でDVDを自宅へ郵送するレンタルサービスを提供していた。アルトマン氏は、自宅でDVDを受け取れるようになっても、レンタル店のブロックバスター(Blockbuster)へ通い続ける人がいたという自身の記憶を挙げた。

本人もCodexがありながら、メールへの対応などを以前の手作業で続けてしまうと明かした。

アルトマン氏は、利用者の習慣だけでなく、使い方を自然に変えられる製品を作る側にも課題があると指摘した。

David Senra公式対談「Sam Altman on Building OpenAI & Betting on the Impossible」(2026年8月23日公開)

日本企業の調査が示す導入と利用の差

日本では、情報処理推進機構(IPA)が7月30日に公表した「DX動向2026」で、生成AIの導入状況と組織での利用状況を別々に調べた。対象は国内企業の経営層や情報システム部門などで、調査期間は2026年4月17日から6月12日までにわたる。

生成AIを導入していると答えた割合は、この設問に回答した1787社の44.0%だった。試験利用の回答はこの数字に含まれない。

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組織での利用状況を尋ねた設問では、個人の業務で使っている企業が63.3%、部署の業務プロセスに組み込んでいる企業が11.9%だった。

こちらの回答企業は1159社で、導入済み、試験利用中、利用に向けて検討中の企業が対象だ。個人利用と部署での組み込みの両方を選べる複数回答で、二つの割合を足して利用企業全体の比率を出すことはできない。

個人が文章の下書きに使う場合と、部署で担当者や確認手順を決めて日々の仕事に組み込む場合では、確かめる内容も変わる。導入の有無だけでは、会社の仕事がどこまで変わったかは分からない。

ただし、調査はアルトマン氏の説明が日本でそのまま当てはまるかを検証したものではない。

業務に組み込むにはルールと評価が要る

IPAの同じ報告書は、AIの導入や運用で企業が抱える課題として、専門人材の不足、効果やリスクへの理解不足、利用を管理するルール作りの難しさを挙げた。

作業のどこにAIを入れ、どこを人が確認するか。企業での利用を考えるとき、習慣とともに検討の対象になるのが、この役割分担だ。

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OpenAIも5月11日、欧州企業の経営幹部への取材を基に、AIの利用を広げる際の考え方を公開した。現場で仕事の手順を見直せることや、早い段階から情報管理などの担当者が関わることを重視する。

同社の資料は、何を良い成果とするかを先に決め、評価に力を入れる姿勢にも言及した。AIを開発・販売する会社による整理であり、導入効果を保証するものではない。

既存の仕事で使う道具との接続も、検討したい項目だ。日頃のやり取りからAIへ仕事を渡す機能については、Slack Codeを扱った関連記事でも整理した。

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変化の速度と自社の成果を分けて確かめる

企業でAIの利用を進める際は、「任せる仕事」「扱う情報」「成果の測り方」を具体的に決めたい。大きな企業変化の時期を予想する前に、自社で試した結果を判断できるようにするためだ。

例えば、問い合わせへの回答案をAIで作る場合は、対象とする問い合わせ、参照してよい資料、回答を外へ出す前の確認担当者を決めると、試す範囲が具体的になる。

入力できる情報は、社内の情報区分と利用するサービスの設定を照らし合わせて確かめたい。ChatGPTへ渡す情報を考える際の注意点は、以下の関連記事にまとめた。

関連記事:ChatGPTに共有してはいけない8つの情報と共有してしまった時の対処法

成果を見るなら、回答案を作る時間に加え、人が確認や修正に使った時間も記録する方法がある。作成から確認までにかかった時間を比べれば、手直しの負担を含めた評価になるためだ。速くなった工程と手間が残った工程を分けて、続ける仕事や見直す手順を判断する。

「経済の慣性」は、特定の企業がいつまで安全かを示す期限ではない。企業が変わる速度を考える視点と、自社の仕事でAIが役に立ったかを確かめる作業を分けることが、発言を日々の判断へつなぐ出発点となる。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

寄稿者

MEDIA DOGS 編集部
メディアドッグス株式会社のMEDIA DOGS 編集部チーム。インターネットマーケティングに約10年携わるメンバーで編成し、企画・取材・執筆から公開後の改善まで一貫して担当。「出会いを、設計する。」のもと、人と企業が正しく出会える場をつくるために、一次情報の確認とファクトチェックを徹底。情報をわかりやすく誠実に届け、読者の疑問を解決します。

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