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孫正義とOpenAI投資 日本企業初の純利益5兆円の内訳と「評価益」という構造を整理

孫正義とOpenAI投資 日本企業初の純利益5兆円の内訳と「評価益」という構造を整理

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ソフトバンクグループ(SBG)の2026年3月期連結決算は、純利益5兆22億円と日本企業として初めて5兆円の大台に乗った。前期比の伸びは約4.3倍で、OpenAIへの出資に伴う投資利益6兆7304億円が全体を押し上げた形だ。ただし利益の大半は未実現の評価益で、発表翌日の株価は反落した。

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純利益5兆22億円、日本企業で前例のない規模

ソフトバンクグループ(SBG)が5月13日に発表した2026年3月期の連結決算(国際会計基準)は、親会社の所有者に帰属する純利益が5兆22億円となった。前期比で約4.3倍の水準だ。日本企業が単一の事業年度で計上した最終利益としては史上最高となる。

売上高は7兆7987億円、投資損益は7兆2865億円。第4四半期(1〜3月)単体の純利益は1兆8296億円だった。保有株式の時価を示す時価純資産(NAV)は期末で40兆1000億円に到達し、SBG単体でも過去最高額を更新している。

後藤芳光CFO(最高財務責任者)は決算説明会で「何事においても1番は気持ちが良い」と語り、日本企業で初の純利益5兆円超えへの率直な感想を述べた。

利益を生んだのはOpenAIへの評価益

今期の決算を決定づけたのは、米OpenAIへの出資から生じた投資利益6兆7304億円だ。SBGは2024年9月以降、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)を通じてOpenAIに出資を重ねており、3月末までの累計出資額は346億ドル(約5兆4000億円)に達した。

6.7兆円の大半は、実際に株を売って得た現金ではない。OpenAIの企業価値が2024年9月の出資時(1500億ドル)と比べて約5倍の7300億ドル(約113兆7000億円、1米ドル=155.81円換算)まで膨らみ、SBGが保有する株式の時価評価額が急拡大したことで生まれた”評価益”だ。

国際会計基準では未公開株の一部を時価(公正価値)で再評価し、その増減を損益計算書に反映させる。OpenAIは未上場だが、外部から調達した直近の評価額をもとに時価を算定する仕組みで、今期の記録的な最終利益はここから生まれた。なお、SBGが保有するOpenAI株の公正価値(フェアバリュー)は2026年3月末時点で796億ドルとなり、2025年12月末時点の544億ドルから拡大している。

SVF事業の投資利益は約453億ドル(約7兆2000億円)で、このうち約93%をOpenAI関連が占める。SBGのOpenAI持分比率は、2026年2月発表の追加出資完了後で約13%となる見込み(3月末時点では約11%)で、米AmazonやNVIDIAなど他の大口投資家とリスクを分け合う構図だ。

2026年10月までに300億ドル追加、累計646億ドルへ

関連記事:ソフトバンクG、エヌビディア全株9000億円で売却 OpenAI巨額投資へ戦略転換の背景をCFOが説明

SBGはOpenAIへの出資を2026年度も増やす方針を示す。2月27日のプレスリリースで、最大300億ドル(約4兆6743億円、1米ドル=155.81円換算)の追加出資について、最終契約を締結したと公表した。2026年10月までに追加分を実行する計画で、完了時の累計投資額は646億ドル(約10兆円)に膨らむ。

孫正義会長兼社長が掲げるのは「ASI(人工超知能)のナンバーワンプラットフォーマー」という目標だ。後藤CFOは今期を”本格稼働の1年”と位置づけ、注力領域として「AIモデル」「AIチップ」「AIインフラ」「フィジカルAI」の4分野を挙げた。

AIチップの軸は傘下の英半導体設計会社Armで、通期売上高は49億2000万ドルと過去最高を記録。AIインフラでは3月に米オハイオ州で10ギガワット規模の発電所とデータセンター建設計画を発表した。SB Energyなどが参画する。フィジカルAIでは投資先のロボティクス約20社をまとめたロボホールディングスを設立。スイスのABBグループのロボット事業買収(買収額53.75億ドル、約8187億円)を2026年半ばから後半にかけて完了させる計画だ。

OpenAI依存を警戒する見方に対し、後藤CFOは「OpenAIの貢献は大きいが、一本足打法ではない」と反論した。「われわれの持分比率は13%だ。われわれ以外の投資家――米Amazon、米NVIDIAなども大きな金額を投資している。われわれが財務的なリスクを全て負うわけではない」とも述べている。

株価は反落、「材料出尽くし」の受け止め

発表翌日の5月14日、東京株式市場ではSBG株が反落した。午前中に一時前日比287円(4.77%)安の5725円まで下落し、日本経済新聞は「26年3月期最高益、材料出尽くし」と伝えた。

日経平均株価の終値は前日比618円安の6万2654円で、3日ぶりの下落。高値圏にあったSBGが売られ、指数全体の重荷になった。

市場関係者が重く見たのは、OpenAI関連の”新材料”が乏しかった点だ。追加出資の計画自体は2月の時点で公表済みで、今回の決算で新たな増額や出資スキームの変更は示されなかった。6.7兆円の投資利益は過去の時価上昇分の計上で、次の四半期以降は反動減に振れるリスクも意識される。

財務面ではLTV(株式評価額に対する借入金の割合)が前期比1ポイント改善の17%で、5月13日時点の概算値は15%。後藤CFOは「LTV25%未満で運用し、2年分の社債償還資金を保持する」との財務方針を堅持すると繰り返した。

次期業績は非開示、AI投資の成否がこれから問われる

SBGは2027年3月期の業績見通しを開示しなかった。投資ファンド主体の事業モデルゆえ、保有株式の時価変動に業績が大きく左右され、予想が困難なためだ。

焦点はOpenAIの企業価値が今後も拡大を続けるか、そして巨額の評価益がいつ現金化されるかに移る。帳簿上の利益を実際のキャッシュに変えるには、OpenAIの株式公開か既存株の売却が必要で、そのタイミングは現時点で見通せない。

孫は出資を続け、後藤は「安全な範囲内で投資する上で、財務方針が重要になる」と慎重に語った。純利益5兆円という記録の裏で、SBGはAIに懸けた賭けの真価を、これから問われる局面に入る。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

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