「パッチギ! LOVE&PEACE」の中村ゆりさん死去、44歳 直腸がん、13年前からがんと向き合いながら歩んだ俳優人生

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女優の中村ゆりさん(44)が9月1日、直腸がんのため死去した。所属事務所アルファエージェンシーが9月14日、公式サイトで明らかにしている。13年前にも(部位非公表の)がんを患い、周囲には知らせずに俳優活動を続けていたという。映画「パッチギ! LOVE&PEACE」のヒロイン役で知られ、全国映連賞女優賞を受賞した。
9月1日に死去、44歳 事務所が14日発表
女優の中村ゆりさん(44)が9月1日、直腸がんのため死去した。所属事務所アルファエージェンシーは9月14日、公式サイトを通じて訃報を伝えている。「9月1日 中村ゆりが直腸がんのため永眠いたしました。生前のご厚誼に感謝いたしますとともに謹んでお知らせ申し上げます」とつづった。葬儀は近親者と事務所所属の俳優、スタッフのみで済ませたという。
中村さんは大阪府出身。2003年に俳優としてデビューし、2007年公開の映画「パッチギ! LOVE&PEACE」でヒロインを演じた。以降、映画やドラマ、舞台で活動の幅を広げている。
13年前にがんを患い、周囲には伏せていた
事務所の発表で明らかになったのは、中村さんが長年がんと向き合っていた事実だった。死因は直腸がんと発表されているが、13年前と2025年の発症時点での部位は公表されていない。
13年前、中村さんは初めてがんの診断を受けた。当時、本人と事務所の社長は「病名は、仕事の方々には余計な心配をおかけしてしまうので、言わないようにしましょう」と話し合い、病名を伏せる判断をしたという。治療を経て一度は寛解した。
だが、2025年1月、再びがんが見つかった。手術は成功したものの、術後に転移が判明する。根治は難しく、以降は「がんとうまく付き合っていくための治療」に切り替えたという。
それでも中村さんは仕事を続けていた。2026年7月13日、NHKは連続ドラマ10「デンジャラス」(2027年1月放送予定、桐野夏生原作、吉岡里帆主演)からの降板を発表。腸閉塞による体調不良が理由だった。中村さんは主人公の姉・松子役を演じる予定だったが、代役は菊地凛子が務め、全10話は9話に変更された。当時は「回復に向かっている」との説明があり、復帰を待ち望む声も集まる。
だが、流れは変わる。今年8月、復帰に向けて回復に努めていた最中、再び腸閉塞を起こし、突然余命わずかと告知を受けたという。それから間もない9月1日、息を引き取った。事務所は発表文で「ご家族や近しい方々と共に最後の時を大切に過ごすことができました」としている。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 13年前 | がんと診断され、周囲には伏せて治療 |
| 2025年1月 | がんが再発、手術後に転移が判明 |
| 2026年7月13日 | NHK「デンジャラス」降板を発表 |
| 2026年8月 | 腸閉塞を再び発症、余命わずかと告知 |
| 2026年9月1日 | 死去(44歳) |
| 2026年9月14日 | 事務所が訃報を発表 |
「パッチギ!」で掴んだ転機、俳優としての歩み
中村さんのキャリアは、歌手活動から始まった。
1996年、テレビ東京のオーディション番組「ASAYAN」の歌手オーディションに合格。友人とデュオ「YURIMARI」を結成し、1998年に歌手デビューした。シングル6枚とアルバム1枚を発表し、1999年に解散している。
解散後の2003年、映画プロデューサーの勧めでオーディションを受け、「偶然にも最悪な少年」でアオイ役に抜てきされて俳優に転身する。
転機となったのは2007年公開の映画「パッチギ! LOVE&PEACE」だった。在日コリアンの家族を描いた作品でヒロインを演じ、全国映連賞女優賞と第3回おおさかシネマフェスティバル新人賞を受賞した。以降、是枝裕和監督の「そして父になる」(2013年)「海よりもまだ深く」(2016年)に相次いで出演する。
近年も精力的に活動を続けていた。「破門 ふたりのヤクビョーガミ」(2017年)、「愛のまなざしを」(2021年)、「窓辺にて」(2022年)、「市子」(2023年公開、2024年に高崎映画祭で最優秀助演俳優賞を受賞)と映画出演を重ねた。
2024年からは松本幸四郎主演の時代劇「鬼平犯科帳」シリーズに密偵・おまさ役でレギュラー出演し、2026年7月10日公開の最新作「鬼平犯科帳 本所の銕/密告」にも名を連ねていた。
ドラマでは初主演作「今夜はコの字で」のほか、「未満警察 ミッドナイトランナー」「私たちはどうかしている」「クロサギ」「119エマージェンシーコール」(2025年、2026年新春SP)、「終幕のロンド」(2025年)などに出演。2025年11月には堺雅人主演の映画「平場の月」にも出演している。舞台「真夏の死」(MISHIMA2020)への出演歴もある。
7月30日に掲載されたSTORY webのインタビューで、中村さんは「順調に走り出したように思えた俳優人生でしたが、挫折感を味わったのは『パッチギ! LOVE&PEACE』を終えてからのこと。私にとって意義深い作品だった分、喪失感にも似た感情が消えなくて……」と、代表作を終えた後の心境を明かしていた。訃報が伝えられた今、この言葉の重みが浮かび上がる。
事務所は発表文で、中村さんの最期についてこうつづった。「彼女は落ち着き、美しく優しさにあふれた笑顔を絶やさず、ご家族や近しい方々と共に最後の時を大切に過ごすことができました」。そのうえで「彼女の30代、40代は病とたたかい、持ち前の強い気力で乗りきることも多い日々でしたが、素敵な出会いと幸せ、充実もまたたくさんありました」と結んだ。
SNSに広がる悲しみと驚き
訃報が伝えられた9月14日夜、SNSには驚きと悲しみの声が広がっている。
スポニチアネックスによると、「ショックすぎる」「本当に!?」「ちょっと待って、これはほんまに嘘であって」といった投稿が広がったという。「ショックすぎて言葉がない…」「早すぎんか…」と、突然の訃報を受け止めきれない反応も目立った。
一方で「ご冥福をお祈りします…寂しいなぁ」と、静かに悼む声も寄せられている。
NHK「デンジャラス」は9話に、代役は菊地凛子
中村さんが降板したNHKドラマ10「デンジャラス」は、2027年1月の放送に向けて制作が進む。代役は菊地凛子が務め、話数は当初予定の全10話から9話に変更された。
13年前のがん発症、そして2025年の再発を経て歩んだ中村さんの俳優人生は、44歳で幕を閉じた。事務所を通じて明かされた素顔は、病と向き合いながらも現場に立ち続けた一人の俳優の姿だった。ご冥福をお祈りします。
[文/構成 by さとう つづり]





































































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