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「ブリッジャー級はいらない!」との声も多く、WBAついにブリッジャー級廃止へ

「ブリッジャー級はいらない!」との声も多く、WBAついにブリッジャー級廃止へ

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世界ボクシング協会(WBA)が6月30日、ブリッジャー級の廃止を発表した。効力は即日。「王座を増やすだけだ」という批判が長く続くなか、浸透しないまま姿を消すことになった。約200〜224ポンドのこの階級は、もともと2020年にWBCが新設したもの。なぜ生まれ、なぜ消えるのかを整理する。

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WBAがブリッジャー級を即日廃止、2人の王者は別階級へ

WBAは6月30日、ブリッジャー級を廃止すると発表した。効力は即日で、この階級のWBA王座は消滅した。廃止は、米フロリダ州オーランドで開かれたWBAの年次総会で、会長と王座委員会が承認したものだ。6月下旬から動きが伝えられ、月末に正式な発表となった。

対象になったのは、正規王者のムスリム・ガジマゴメドフと、暫定王者のヴァルタン・アルテュニャンの2人だ。WBAは両者に、それぞれの体重帯のランキングへ移すと通知した。ガジマゴメドフはクルーザー級、アルテュニャンはヘビー級のランキングに組み込まれる。王座を失う形にはなるが、階級ごと消えるため、返上や剥奪とは意味合いが違う。

廃止の狙いについて、WBAは「王座の構造を整理し、各階級の競争を健全にするため」と説明した。すでに承認済みの試合は、移行期間のうちに消化するという。

そもそもブリッジャー級とは何か

ブリッジャー級は、クルーザー級(上限約200ポンド)とヘビー級の間に置かれた階級だ。体重の範囲は約200〜224ポンド。キロに直すと、およそ90.7〜101.6キロにあたる。

生みの親はWBAではない。世界ボクシング評議会(WBC)が2020年11月に新設した階級だった。

名前の由来は、一人のアメリカの少年にある。2020年7月、当時6歳だったブリジャー・ウォーカー君が、妹をかばって犬に襲われ、顔に大けがを負った。その勇気をWBCがたたえ、少年の名を新しい階級に冠した。WBCのマウリシオ・スライマン会長は新設にあたり、「200〜224ポンドにいる多くの選手をつなぐ”橋”だ」と説明した。

狙いは、体格の谷間にいる選手に居場所をつくることだった。クルーザー級では体を絞りきれず、かといってヘビー級の大型選手とは体格差がありすぎる。その中間の200〜224ポンドの選手に、王座への道を用意する。それがブリッジャー級の建前だった。

WBAがこの階級を採り入れたのは2023年12月のことだ。当初は「スーパークルーザー級」として発表し、のちにブリッジャー級の名で運用してきた。一方、IBFとWBOはこの階級を採用していない。世界4団体のうち2団体だけが持つ、立ち位置の定まらない階級のままだった。

「王座を増やすだけ」批判はなぜ根強かったのか

ブリッジャー級には、創設の当初から「いらない」という反発がつきまとった。

最大の批判は、王座の乱立を招くという点だ。クルーザー級とヘビー級の間には、もともと大きな体格差がある。だが上限200ポンドのクルーザー級が、すでに両者をつなぐ受け皿になってきた。そこへ新しい階級を挟めば、王座が水増しされ、”紙の王者”ばかりが増える。専門家やファンからは、創設の直後からそうした批判が相次いだ。米ESPNは、新たな収入源ではないかと見る懐疑的な受け止めを伝えた。著名なプロモーターのルー・ディベラも同メディアに「タイトルも、暫定王座も、階級も、もっと減らすべきだ」と語り、階級の乱立に異を唱えた。

有力選手からも、そっぽを向かれた。クルーザー級で4団体のベルトをすべて手にしたオレクサンドル・ウシクは、この階級での戴冠に関心を示さなかった。ウシクはそのままヘビー級へ上げ、頂点に立っている。元WBCヘビー級王者のデオンテイ・ワイルダーも、参戦を断った。実力者が階級を飛び越えていくたびに、ブリッジャー級は「格下の受け皿」という見え方を強めていった。

トップ戦線の選手が寄りつかず、ランキングに名を連ねる顔ぶれはごくわずか。2026年6月の時点で、WBAのブリッジャー級ランキングに載る選手は7人ほどしかいなかった。看板になる選手が育たないまま、時間だけが過ぎていった。

WBAはなぜ今動いたのか、そして階級は消えるのか

背景には、WBA自身が抱えてきた「王座が多すぎる」という長年の批判がある。

WBAはスーパー王者、正規王者、暫定王者などを設け、1つの階級に複数のチャンピオンが並ぶ状態を長く続けてきた。ベルトの数では4団体で最も多いと言われ、王座の乱発を指摘されてきた団体だ。数年前から整理を掲げてきたが、実際にはなかなか減らせずにいる。浸透しなかったブリッジャー級を切ることは、その整理を前に進める具体的な一手になる。今回の廃止も、チャンピオンの数を絞る流れの一つと位置づけられている。

ただし、ブリッジャー級がボクシング界から完全に消えるわけではない。廃止したのは、あくまでWBAだ。階級を生んだWBCは、いまも独自にブリッジャー級を認定し続けている。

一つの階級が生まれてから、5年あまり。先に採用したWBCが残り、後から乗ったWBAが降りる。ブリッジャー級という試みが根づくのかどうか。その答えは、まだ出ていない。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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