桜井政博、引退について今の考えを語る「非常に残念なことに、私、バリバリ働けているんです」

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星のカービィやスマブラを手がけた桜井政博が11月7日、「ファミ通40周年フェス」のステージで引退についての今の考えを明かした。引退の目安は5年前のコラムから大きく変わっていないとし、現状を「非常に残念なことに、私、バリバリ働けているんです」と表現。目の衰えにも触れつつ、次に何をすべきかを考え続けていると語った。
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新刊発売記念ステージで受けた「引退」の質問
ステージは、11月7日の15時40分から16時30分の枠で組まれた「桜井政博のゲームについて思うこと」新刊発売記念ステージ。番組表では、ファミ通グループ代表の林克彦も出演者に名を連ねていた。会場の地下ステージの模様は、ファミ通の公式YouTubeチャンネル「ファミ通TUBE」で無料で生配信された。
きっかけは、前日の11月6日に発売された単行本「桜井政博のゲームについて思うこと ファイナル」だ。週刊ファミ通で2003年から2021年11月18日号まで続いた連載コラムをまとめるシリーズの最終巻で、2019年3月14日号以降のコラム69本に、2026年に書き下ろした4本、2本の特別企画を加えた216ページ。定価は1980円(税込)となっている。特別企画では、「カービィのエアライダー」の200ページに及ぶ企画書を抜粋して載せ、2021年7月の企画段階から完成のイメージが具体的に描かれていたことを紹介している。

桜井政博のゲームについて思うこと ファイナル
著:桜井 政博, 編集:ファミ通書籍編集部
この本に収められたコラムのひとつが「引退についてどう思う?」。執筆から5年がたった今、どう考えているのか。ステージでは、その心境を問う質問が投げかけられた。
引退を考える2つの条件は「需要」と「応えられるか」
桜井は、基本的な考えはコラムを書いた当時から大きく変わっていないと答えた。しっかり考えなければならないのは、仕事の需要があるのか、そして自分がその需要に応えられるのか、という2点。どちらかが崩れたときが、引退を考える時期になるという。
そのうえで、自身の今の状況については「非常に残念なことに、私、バリバリ働けているんです」と話した。
自分の働き方を客観的に見ても、よく働けていると感じている。周りの意見を聞いて考えを柔軟に変えることもでき、自分の持論ばかりに頼る”老害化”にも陥っていないはずだと話した。自分にしかできないことを認められ、仕事の依頼も届いているという。今の仕事ぶりだけを見れば、引退の気配はないとの見方だった。
目の疲れ、そして「心がいつ折れるか」
一方で、桜井はさまざまな面で衰えを感じていることも隠さなかった。特に目の疲れやすさは目立ち、朝から晩まで仕事をしていると目が疲れてぼやけてくることを例に挙げた。
それでも、今は仕事が来ていて需要はある。あとは自分の心がいつ折れるかだと続けた。
だが、話はそこで終わらない。仕事へのモチベーションについて問われると、だからといって同じことを繰り返していればいいとは考えていないと答えた。人は立つステージを変えていかなければならない、というのが桜井の考えだ。
YouTube開設も「ステージを変える」試みのひとつ
その例として桜井が挙げたのが、YouTubeチャンネル「桜井政博のゲーム作るには」の開設だった。
ディレクターを務めること自体にはこだわっていないとも話した。ゲーム業界に貢献するために何が必要で、どうすればいいのか。それを、今の仕事が終わったあとのテーマとして常に考えているという。
チャンネルは2022年8月24日に、英語版の「Masahiro Sakurai on Creating Games」とあわせて開設され、ゲーム作りの考え方や手法を桜井自身が解説する動画を公開し続けた。2024年10月15日に通常回を終え、10月22日の最終回スペシャルで完結。収益化をせず、ほぼ編集費からなる約9000万円の制作費は桜井の持ち出しで、最終回では、未来のゲームをよくするためのボランティアと割り切っていたことを明かしていた。
こうした活動は外からも評価されている。月刊誌「文藝春秋」2026年11月号の企画「昭和百年 美しき日本人50」では、上皇ご夫妻や大谷翔平らと並ぶ1人に選ばれ、「私財をなげうつゲーム作りの天才」として紹介された。桜井自身もXでそのことを伝えている。
2026年には、桜井が2010年に創設し、審査委員長を務めてきた日本ゲーム大賞の「ゲームデザイナーズ大賞」も、この年の回を最後に終わった。売り上げやトレンドだけでなく、創造性と斬新さを基準に最も優れた作品を1つ選んで表彰してきた賞だった。
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同じステージで語った生成AIと「感受性」
同じステージでは、ほかの質問にも答えている。
生成AIについては、アイデアを出す立場として今のところ使っておらず、アイデア出しの壁打ちにも使っていないと説明。2025年11月20日に発売したNintendo Switch 2用ソフト「カービィのエアライダー」など、これまで開発してきたタイトルにも生成AIは使っていないという。ただ、ゲーム開発が大変になりすぎ、数百万本売れても赤字になるタイトルがある現状にも触れ、使わないという立場だけにとらわれていては遅れていくかもしれないとの感覚も示した。どこでどう使うかは複雑で、今は断言できることがなく、スローペースな付き合い方になっているという。
事前に募集した質問のうち、優れたクリエイターに共通する考え方を問う質問には、共通点ははっきり言ってないと答えた。そのうえで、ひとつの言葉でまとめるなら”感受性”だとし、同じものを見ても何を感じ取るか、その人だけの観点をどう持てるかが大事だと語った。感受性は育てることができるとも話している。
「次のステージ」はまだ語られていない
桜井が初めてディレクターを務めたゲームボーイ用ソフト「星のカービィ」の発売は1992年4月27日。それから30年以上、ゲームを作り続けてきた。2003年にHAL研究所を離れ、2005年に有限会社ソラを設立したあとも、スマブラシリーズや「カービィのエアライダー」でディレクターを務めている。
ステージで語られたのは、引退の気配がない今の働きぶりと、体の衰えへの自覚、そして同じことを繰り返すつもりはないという考えだった。今の仕事が何を指すのか、その後にどんな「ステージ」を選ぶのかについて、具体的な話は出ていない。
引退の目安は需要と、それに応えられるかどうか。その答えを、桜井は「バリバリ働けている」という一言で示した。次にどのステージへ向かうのかは、本人の口から語られるのを待つことになる。
[文/構成 by ゲーム担当ライター カナタ]

















































































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