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メドベージェフ氏、JT株の19.3%下落に「喫煙はどのみち命を奪う」とX投稿 プーチン氏がロシア事業7社を暫定管理下に、日本政府は撤回要求

メドベージェフ氏、JT株の19.3%下落に「喫煙はどのみち命を奪う」とX投稿 プーチン氏がロシア事業7社を暫定管理下に、日本政府は撤回要求

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)が11月6日、日本たばこ産業(JT)の株価が19.3%下がったことをXで取り上げ、「喫煙はどのみち命を奪う」と書き込んだ。前日の5日、プーチン大統領はJTのロシア事業を担う製造会社4社をロシア企業の暫定管理下に置く大統領令に署名し、6日には製造以外の3社も対象に加えた。日本政府はロシアに抗議し、措置の撤回を求めている。

メドベージェフ氏は何と投稿したのか

投稿は日本時間6日午後10時53分、メドベージェフ氏が英語で発信しているXのアカウントに出た。同氏のロシア語のアカウントには、同じ内容の投稿は見当たらない。

原文は「Japan Tobacco’s stock plunged by a record 19.3% after its Russian assets were placed under temporary administration managed by a Russian firm following the Russian president’s decree. That’s something! And smoking kills anyway」。大統領令でロシアの資産がロシア企業の暫定管理下に移り、JT株が19.3%下落したと紹介したうえで、「That’s something!」と続けている。下落を「記録的な(a record)」と形容したのは本人の表現だ。

「That’s something!」は「大したものだ」とも読める言い回しで、報道では「これは良いことだ」と訳されている。最後の「And smoking kills anyway」は「どのみち喫煙は命を奪う」という意味になる。文末には笑い泣きの絵文字が添えられていた。

JTのロシア事業に何が起きたのか

プーチン大統領が大統領令に署名したのは11月5日。ロシアの通信社などによると、ロシア国内にあるJTの関連会社4社の株式を、ロシア企業の一時的な管理下に置く内容だった。管理を任されたのは「インダストリアル・アセッツ(産業資産)」という名のロシア企業と伝えられている。世界的なたばこ大手のロシア事業が、この仕組みの対象になるのは初めてだという。

対象は、JTの海外子会社JTインターナショナル(JTI)のロシア事業を担う製造会社4社で、「JTIドンスコイ・タバック」などが含まれる。製造の中心は紙巻きたばこ。JTによると、現地の工場に日本人社員は置いていない。翌6日付で新たな大統領令も出され、販売や持ち株を担う会社など製造以外の3社も、同じロシア企業の管理下に置かれた。対象は合わせて7社となり、JTは工場だけでなく販売・持ち株会社の経営権も失う見通しと報じられている。

もとになったのは、ロシアが2023年4月25日付で出した大統領令だ。欧米など「非友好国」の企業の資産を、ロシア政府や指定した企業の管理下に一時的に置けるようにしたもので、日本では「一時管理」とも訳される。この措置で、JTは経営権を事実上失うと報じられている。

JTは6日、「ロシア現地法人のうち製造会社4社が一時管理の対象とされていることを確認した。詳細情報、今後取り得る対応及び当社グループへの影響の確認を進めている」とのコメントを出した。グループとして国内外の制裁措置や規制を守ったうえでロシアでの事業運営を続けてきたと説明し、従業員をはじめとする関係者を最優先に、状況と今後取り得る選択肢を精査しているとした。

なぜJTが対象に? ロシア側の説明と背景

ロシア側は、この仕組みを外国への対抗措置と位置づける。ロシア外務省は6日、ビリチェフスキー経済協力局長のインタビューとして見解を示した。暫定管理は、ロシアの安全保障を脅かし、ロシアの資産を違法に取り上げる外国の行為に対し、「露骨な敵対的行為への対抗措置として設けられた特別な法的手段だ」と説明している。目的については、ロシアに課された制限による経済への悪影響を和らげ、国内外の利益を守ることにあるとしている。

対象は日本企業に限らない。9月にはスイスの食品大手ネスレなども暫定管理の対象になっていた。北海道大学の服部倫卓教授は、日本が狙い撃ちにされたわけではないとの見方を示したうえで、「この間ずっと、外資系企業が外部管理下に置かれる事態が続いていた。その一環として、恐れていたことが起きてしまった」と話した。

日本とロシアの関係は、2022年のウクライナ侵攻以降冷え込んだままだ。この秋までに、8月にはプーチン大統領が北方領土の択捉島を初めて訪れ、10月にはロシア連邦保安局(FSB)が北海道新聞の記者を拘束する出来事も起きていた。

ロシア事業はJTにとってどれほど大きいのか

JTIがロシアで事業を始めたのは1999年。2007年にはロシアのたばこ市場で首位に立ち、2026年7〜9月期のシェアも約35.5%でトップを保つ。

数字で見ると、その重みがはっきりする。2025年12月期のグループ売上収益のうち、ロシア事業は10%を占めた。調整後営業利益では25%に達し、利益の4分の1をロシアで生んでいた計算だ。JTは2026年12月期も同じ水準を見込んでいた。

ウクライナ侵攻後の2022年4月、JTはロシア事業をグループから切り離す案を検討すると表明していた。それでも撤退には至らず、制裁や規制を守りながら現地での事業を続けてきた。

措置が伝わった6日の東京市場では、JT株に朝方から売り注文が殺到した。終値は前日比1500円安の6269円で、下落率は19.30%。1日に動ける値幅の上限まで下げるストップ安だった。メドベージェフ氏が投稿で触れた「19.3%」は、この日の下落率を指す。

日本政府はロシアに抗議、措置の撤回を要求

日本政府はすぐに動いた。赤沢亮正経済産業相は6日の閣議後の会見で、「ロシア政府に抗議し、措置撤回などの対応を至急取るよう求めた」と明らかにした。日本企業の資産を守るための働きかけはこれまでも定期的に続けてきたが、今回は「特にその必要性が高い」と述べた。

抗議にあたったのは、ロシアを訪問していた経済産業省の荒井勝喜経済産業審議官と、外務省の石垣友明欧州局審議官だ。木原稔官房長官も同じ日の会見で、両審議官が駐露大使とともにロシア政府に抗議し、「至急、措置を撤回するよう求めた」と説明。「引き続き状況を注視しながら、政府として適切に対応していく」と語った。

片山さつき財務相も、外交ルートを通じてロシアに抗議し、措置の撤回などを至急求めたと明らかにした。東京では外務省の中村仁威欧州局長が、ノズドレフ駐日ロシア大使に抗議して撤回を求めている。

JTは、日本たばこ産業株式会社法で政府が株式の3分の1超を持ち続けるよう定められた会社で、財務大臣が株式の37.55%を持つ筆頭株主だ。

JTのロシア事業と暫定管理をめぐる主な出来事

日付出来事
1999年JTIがロシアで事業開始
2007年ロシアのたばこ市場で首位に
2022年4月侵攻後、JTが事業分離を検討
2023年4月暫定管理の大統領令
2026年9月ネスレなども暫定管理に
2026年11月5日プーチン氏が大統領令に署名
11月6日JT株がストップ安、政府が撤回要求
11月6日製造以外の3社も対象に
11月6日夜メドベージェフ氏がX投稿

JTは影響の確認を進めている段階で、今後どの選択肢を取るかはまだ示していない。ロシア側は6日に対象を7社へ広げており、日本政府が求めた撤回に11月7日時点で応じる動きは伝わっていない。利益の4分の1を生んできたロシア事業の行方は、ロシア側の対応とJTの判断にかかっている。

[文/構成 by ライター 飯田タツヤ]

寄稿者

飯田タツヤ
時事ニュースを中心に、社会の動きから芸能・スポーツの話題まで幅広く書いているWebライターの飯田です。ライター歴は6年。心がけているのは、発表や報道で確認できたことと、まだ分かっていないことを分けて書くこと。「何が起きて、暮らしにどう関わるのか」を最初に整理しています。休日はラジオを流しながらの散歩とサウナ。

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