鈴木湧陽、4安打2盗塁で中京大学を19年ぶり明治神宮大会へ 50m5秒78の松商学園出身

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
中京大学が11月1日、岐阜市のぎふしん長良川球場で行われた東海地区・北陸・愛知3連盟王座決定戦の決勝で皇學館大学を15-2で破り、2007年以来19年ぶり9度目の明治神宮野球大会出場を決めた。1番を打つ鈴木湧陽(すずき・ゆうひ)内野手(3年)が4安打2打点2盗塁で最優秀選手に選ばれた。50メートル5秒78の脚を持つ松商学園高等学校出身の俊足で、神宮では11月19日の1回戦で関東5連盟第2代表と対戦する。
決勝は皇學館大学に15-2、7回の8点で突き放す
大会の正式名称は「第22回東海地区・北陸・愛知三連盟代表 大学野球王座決定戦」。明治神宮野球大会の代表決定戦を兼ね、優勝校1校だけが神宮への切符を手にする。愛知大学野球連盟の秋季リーグを制した中京大学は、愛知1位として出場した。
決勝の相手は東海1位の皇學館大学(三重県伊勢市)。勝てば神宮初出場という一戦だった。
試合は6回を終えて2-2の同点。皇學館大学は6回裏、2死一、三塁から小林の適時打で追いつき、先発の2年生右腕・堀内も6回まで中京大学打線を4安打2失点に抑えていた。
流れが変わったのは7回だ。中京大学は連打で無死一、三塁とし、堀内をマウンドから降ろす。1死二、三塁で4年生の狩俣藍生(かりまた・あい)外野手が変化球をとらえ、中堅手の頭上を越える2点三塁打を放つ。これが決勝点になった。静岡県の掛川西高等学校出身の狩俣は「チャンスで回ってこいと思っていた。外野フライを打ちにいったら意外と伸びてくれた」と話している。その後も長短打に相手の守備の乱れが重なり、この回だけで8点。8回にも加点し、16安打15得点で試合を決めた。
皇學館大学は7投手をつぎ込んだが、中京大学打線を止められなかった。敢闘賞には皇學館大学の出口智基が選ばれている。
大会には愛知・東海・北陸の各連盟から上位2校ずつ、計6校が出場した。10月31日は前日の天候不良で継続試合となった1回戦の延長戦から始まり、中部学院大学(東海2位)が愛知学院大学(愛知2位)に延長10回5-4で勝利。続く2回戦でも中部学院大学が金沢学院大学(北陸2位)を3-0で下し、勝ち上がってきた。
同じ日の準決勝で、中京大学はその中部学院大学と対戦した。7-7で迎えた9回、家城の右翼への安打に相手の失策が絡んで2点を勝ち越し、9-7で逃げ切っている。もう1試合の準決勝は皇學館大学が福井工業大学(北陸1位)に4-3でサヨナラ勝ちし、9回裏1死二、三塁から出口智基がサヨナラ打を放った。決勝進出を懸けた接戦をものにした中京大学が、翌日は一転して大勝した。
| 日付 | 試合 | 結果 |
|---|---|---|
| 10月31日 | 準決勝 | 中京大学 |
| 10月31日 | 準決勝 | 皇學館大学 |
| 11月1日 | 決勝 | 中京大学 |
4安打2盗塁の中身、走って奪った1点
最優秀選手の鈴木は、打つだけでなく足でも相手を揺さぶった。
3回は四球で出塁すると、家城優斗外野手の左中間への打球で一気に本塁へかえった。5回は遊撃への内野安打で出塁し、すかさず二盗を決める。7回は無死一塁から右前打でつないで一、三塁とし、次打者の二塁へのファウルフライでタッチアップして二塁へ進んだ。「隙を狙っていけた」という走塁が、一挙8得点の突破口になった。
8回は1死満塁で回ってきた打席で2点適時打。4安打2打点2盗塁と、1番打者の仕事を一人でこなした一日となった。
試合後、鈴木は「全国大会が懸かった試合で結果を出せてうれしい。足があるという武器を見せられた」と話した。
50メートル5秒78、大学日本代表で知られた脚
鈴木の名前が全国に広まったのは2026年6月だった。大学日本代表の選考合宿で行われた50メートル走で、光電管計測の5秒78をマーク。参加選手の中でトップのタイムだった。
この脚が評価され、6月22日に発表された大学日本代表28人に選ばれた。代表は7月に台湾・台中で開かれたワールド カレッジ ベースボール チャンピオンシップ(WCBC)で初代王者になった。8月29日に明治神宮野球場で行われた高校日本代表との壮行試合でも、鈴木は背番号9で大学日本代表のメンバーに入っている。
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身長170センチ、体重66キロ。右投げ左打ちの内野手で、長野県の松商学園高等学校から中京大学へ進んだ。
小柄な体格だが、今秋は長打も増えた。10月17日の愛知工業大学戦の時点で、秋季リーグ11試合で打率3割7分。2本塁打を含む長打8本はリーグトップだった。その17日の試合でも初回の先頭打者で、「大事な一戦の1打席目。浮いたボールを振っていこう」と変化球を強振。右翼手の頭上を越える三塁打を放ち、9-2の7回コールド勝ちの口火を切っている。中京大学は翌18日の愛知工業大学戦にも8-3で勝ち、春に続く2季連続のリーグ優勝を決めた。
元中日・英智に教わった走塁
鈴木の走塁を支える人物がいる。中日ドラゴンズの外野手だった英智だ。
英智は中京大学のテクニカルアドバイザーを務めており、鈴木はベースの踏み方や、まっすぐ走るコツを教わった。大学では「失敗もたくさんした」という鈴木は、その指導を「考えたこともないようなことを教わった」と表現している。
英智からは「コンマ何秒の世界。突き詰め方も教えてもらった」という。以前なら際どかったタイミングの盗塁がセーフになる場面が増え、精神的な余裕も結果につながっている。
チームを見渡すと、スタメンに4年生は2人だけで、3年生が中心だ。狩俣も春季リーグは開幕時に9番だったが、決勝では3番を任された。決勝で勝ち越し打を放った最上級生は「日本一に貢献したい」と神宮での目標を口にした。
19年ぶりの神宮、初戦は11月19日
中京大学の明治神宮野球大会出場は2007年以来で、通算9度目。2008年以降は、3連盟王座決定戦を制して神宮へ進むことができなかった。2026年は春のリーグ戦も制したものの、春の全国大会は初戦で敗れている。秋の神宮は、その雪辱の場にもなる。
明治神宮外苑創建百年記念として開かれる第57回明治神宮野球大会の大学の部は、11月19日から24日まで明治神宮野球場で行われる。中京大学は19日の1回戦で関東5連盟第2代表と対戦し、勝てば2回戦で東京六大学代表と当たる組み合わせだ。同じ大会には、ドラフト1位指名を受けた川尻啓人を擁する亜細亜大学も2回戦から登場する。
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春は初戦で姿を消した全国大会。鈴木は神宮に向けて「マークされるような選手になりたいと思っている」と語った。19年待った舞台で、5秒78の脚がどこまで通用するか。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 高瀬翔吾]







































































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