内村航平、世界体操2026の男子団体連覇に「頼もしい後輩」 解説と会場インタビューで後輩を見守る

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
オランダ・ロッテルダムで開かれている世界体操競技選手権で、日本テレビの「世界体操スペシャルアンバサダー」を務める内村航平(37)が、現地10月20日の男子団体決勝を解説し、2023年大会に続いて連覇した日本の選手たちを「頼もしい後輩」とたたえた。団体連覇は自身も成し遂げていないと触れつつ、「まだまだやれること」があると課題も口にしている。決勝のあとは会場で日本選手へのインタビューを担い、現地21日の女子団体決勝でもインタビュアーとして選手を迎えた。中継局の取材リポートでは、男子団体決勝後の取材エリアで中国やロシアの選手から握手や写真を求められる場面も伝えられている。
取材エリアに並んだ中国選手団、ロシア勢は「フォトOK?」
場面は団体決勝のあとのインタビューエリアで起きた。日本選手を待っていた内村の前に最初に現れたのは、銅メダルの中国選手団だった。先頭は五輪の平行棒王者、鄒敬園(ゾウ・ジンユアン)。この日の平行棒で出場選手中の最高となる15.366点を出したスペシャリストが笑顔であいさつし、内村と固く握手を交わす。後ろに続いた中国の選手たちも、一人一人手を差し出した。
次に来たのが銀メダルのロシアチームだ。選手が「フォトOK?」と頼むと、ちょうどその場に来た日本の川上翔平がカメラマン役を引き受け、内村と並んだ2ショットを撮った。日本の選手からは「レジェンドだなー」と声が上がり、別のロシアの選手も続けて撮影を頼んでいる。頼んだ選手たちは満足した様子でエリアを後にしたという。
一連の様子は10月21日、大会を中継する放送局の取材リポートで伝えられた。
内村は2009年から2015年まで世界選手権の個人総合を6連覇し、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロの両五輪でも個人総合の金メダルを手にした。2010年には同じロッテルダムの世界選手権で、日本人として初めて個人総合の2連覇を達成している。2022年に現役を退いてから4年あまりがたつ。それでも各国の現役選手にとって、”キング”はいまも会えばあいさつしたくなる存在のようだ。
「親心みたいな気持ち」は日体大の後輩・土井陵輔へ
海外勢を見送ったあと、内村は日本の選手たちと一人ずつ握手をしてから、喜びの声を聞いていった。
「親心みたいな気持ち」という言葉は、日本体育大学の後輩にあたる土井陵輔(24)に向けたものだった。土井は団体決勝でゆか、あん馬、跳馬の3種目を担い、あん馬では14.100点をマークしている。内村は「あん馬がめっちゃくちゃよかった。後輩が世界で戦っているのを間近で見られて、成長を見られて、親心みたいな気持ち」と笑みを浮かべた。
土井は日本体育大学に在学していた2022年の世界選手権で団体銀メダルとゆかの銅メダルを獲得したが、2024年パリ五輪では補欠にまわった。シニアの世界大会の団体で金メダルを手にしたのは、今回が初めてになる。
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最終種目の鉄棒で着地を止めた橋本大輝への言葉も続く。「エースは着地を止めないといけない人。それをしっかりやりきったのは、非常によかった。絶対やってくれるだろうなって、不安もなかった」。同じ鉄棒では予選で全体1位だった川上が落下しており、橋本の最終演技に団体連覇がかかっていた。演技を終えた橋本は内村と抱き合い、「今日1種目目から自分の体じゃない感覚があって、ふわふわしていた」と明かしている。内村は「本人にしか分からない苦悩とか苦労があったのかなと思います」と受け止めた。
取材を終えた内村は、後輩たちの連覇について「うれしさもあり課題もあった。今後力になれることがあったら、僕も伝えていかないといけないなと、改めて責任感も感じた」と語っている。
解説席では「頼もしい後輩」と「まだまだやれる」
決勝の中継では、解説席から日本の戦いを見届けた。日本は橋本、岡慎之助、川上、土井、前田楓丞の5人で臨み、6種目合計251.928点で2023年大会に続く連覇。2位ロシアは250.329点、3位中国は249.193点で、上位3チームが2028年ロサンゼルス五輪の団体出場権を手にした。
| 順位 | チーム | 得点 |
|---|---|---|
| 金 | 日本 | 251.928 |
| 銀 | ロシア | 250.329 |
| 銅 | 中国 | 249.193 |
| 4位 | イギリス | 247.395 |
橋本の着地の直後、内村は「ありがとう」と一言漏らした。そのうえで、団体連覇は自身も成し遂げていないと触れ、「頼もしい後輩」とたたえている。
ただ、手放しでは褒めなかった。「僕としてはまだまだやれることがあるんじゃないかなと思います。中国もエースを欠いた状態。まだまだできるんだぞっていうのを伝えたいな」。中国は個人総合のエース張博恒を欠いて大会に臨んでいた。日本も平行棒で岡、鉄棒で川上と2本の落下があり、楽な勝ち方ではなかった。
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現地21日の女子団体決勝でも、内村は会場でテレビのインタビュアーを務めた。日本女子は4種目合計164.063点で銅メダルを獲得し、ロサンゼルス五輪の団体出場権を得ている。日本体操協会は22日に公式インスタグラムを更新し、内村が選手たちとハイタッチを交わす動画などを公開した。
ロシアは「Russian Federation」として出場
ロシアの出場をめぐっては、5月に大きな決定があった。国際体操連盟(現在の呼称はワールドジムナスティクス)の理事会は、2026年5月16日と17日の会合で、2022年2月から続けてきたロシアとベラルーシの選手への制限をすべて解除すると決め、5月18日に公表している。
その後、7月と10月に出した補足説明では、開催地の当局による拘束力のある規制で全面的な実施ができない場合に限り、大会ごとに例外を検討するとした。ロッテルダム大会を前にした10月14日には、ロシアの3選手のビザがオランダ当局から発給されなかった問題について声明を出し、ビザの発給はオランダ当局だけが決める手続きだと説明している。
国際体操連盟の公式リザルトでは、男子団体決勝のロシアは「RUS – Russian Federation」と記録された。メンバーには、2025年の世界ジュニア王者アルセニー・ドゥフノらが名を連ねた。連盟の公式記事によると、ロシアはつり輪の難度の低さと、スペシャリストのイリヤ・ザイカの落下で序盤に後れを取ったが、鉄棒と、ドゥフノが締めたゆかで巻き返し、予想以上の銀メダルにつなげた。
個人総合決勝は日本時間23日未明、内村がふたたび解説
大会は終盤に入る。男子個人総合決勝は現地10月22日の夜、日本時間では23日未明に行われ、日本からは岡と橋本が出場する。予選は岡が85.098点で1位、橋本が2位で通過した。橋本は内村以来2人目となる個人総合4連覇がかかり、パリ五輪王者の岡との五輪金メダリスト同士の争いになる。日本時間10月23日午前0時の時点で、決勝はまだ始まっていない。
日本テレビは男子個人総合決勝を生中継し、解説は内村が務める。種目別決勝は現地24日と25日で、内村はここでも解説に入る予定だ。
大会前の対談で、内村は世界選手権を「オリンピックの練習です」と表現した。目指す先は2028年のロサンゼルス五輪だ。取材エリアで受け取った各国選手のあいさつと、後輩たちに向けた「まだまだできる」という言葉は、その先にある五輪へとつながっていく。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]
















































































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