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メイショウゲキリン、9番人気で産経賞オールカマーを逃げ切り重賞初制覇 田辺裕信騎手のテン乗りとレガレイラ4着を整理

メイショウゲキリン、9番人気で産経賞オールカマーを逃げ切り重賞初制覇 田辺裕信騎手のテン乗りとレガレイラ4着を整理

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

9月20日の中山競馬場で行われた第72回産経賞オールカマー(GII・芝2200m)は、9番人気のメイショウゲキリン(牡7)がハナを切ってそのまま押し切り、重賞初勝利を手にした。鞍上はこの馬に初めてまたがった田辺裕信騎手。勝ちタイムは重馬場で2分16秒9、2着キャントウェイトとの差はハナだった。連覇を狙った1番人気レガレイラは4着に敗れた。

雨の中山を最初から最後まで先頭で走り切った9番人気

発走は15時45分。降り続いた雨で中山の芝は重に悪化し、13頭が2200mに向かった。

ゲートが開くと、8番のメイショウゲキリンがすぐに先手を主張する。1コーナーから2コーナー、3コーナー、4コーナーまで、公式の通過順位はどの地点でも同馬を先頭に記録した。前半1000mの通過は1分02秒4。重い芝を考えれば速すぎないペースで、逃げる側にとっては楽な流れになる。

直線でも最内を離さなかった。内で進路をこじ開けた2着キャントウェイトが上がり3ハロン36秒5のメンバー最速で猛追してきたものの、届いたところがゴール板の直前。着差はハナで、メイショウゲキリンの勝利が確定した。

勝ちタイムは2分16秒9、上がり3ハロンは37秒1。単勝は4450円と、9番人気にふさわしい配当がついた。3連単は38万3690円の大波乱。2番人気で支持を集めたコスモキュランダは11着に沈んだ。

1着から5着まで 勝ったのはメイショウゲキリン

上位5頭の着順は以下の通り。1着=優勝がメイショウゲキリンで、以下は入線順に並んでいる。

着順馬名騎手人気単勝(1着は払戻)着差
1着(優勝)メイショウゲキリン田辺裕信9番人気4450円(44.5倍)
2着キャントウェイト横山典弘6番人気12.1倍ハナ
3着ヴーレヴー吉田隼人3番人気3.9倍1 3/4
4着レガレイラ戸崎圭太1番人気3.1倍1 1/4
5着ワイドエンペラーC.ルメール10番人気48.1倍1 3/4

6着以下はパンジャ、ジューンテイク、コスモブッドレア、エセルフリーダ、リビアングラス、コスモキュランダ、アスクドゥポルテ、セイウンプラチナの順だった。武豊騎手が騎乗したジューンテイクは4番人気で7着。

ラップは12秒8―11秒8―13秒0―12秒3―12秒5―12秒5―12秒4―12秒5―12秒3―12秒1―12秒7。道中で12秒台半ばの区間が続き、上がり勝負にならなかった点が結果を大きく左右する。

障害を2戦はさんで平地に戻ってきた7歳馬

メイショウゲキリンは父キズナ、母メイショウスズラン、母の父キングカメハメハという血統で、栗東・笹田和秀厩舎に所属する。馬主は松本好隆氏、生産者は三嶋牧場。ドウデュースやイクイノックスと同じ2019年生まれの世代にあたる。

3歳春にはきさらぎ賞3着、弥生賞9着とクラシック路線を歩いた。その後も2022年12月の1勝クラス、2024年5月の白川特別(京都・芝2400m)を勝っているが、そこからは勝ち星が止まった。流れが変わったのが2026年2月1日の八坂ステークスで、約1年9カ月ぶりの勝利で3勝クラスを抜け出し、オープン入りを決めた。

ここから取った道が珍しい。陣営は平地の重賞路線ではなく障害を選び、4月4日と8月23日の障害未勝利戦に小牧加矢太騎手で出走。結果は8着と6着で、障害での勝ち鞍はないまま終わった。

その障害の経験が、平地復帰初戦でいきなり実を結ぶ。前走が障害戦だった馬がJRAの平地重賞を制するのは、1998年3月29日に日経賞を勝ったテンジンショウグン以来28年ぶりの出来事だった。

笹田調教師は「障害練習で背腰がしっかりしたね」と話し、飛越の練習が馬体の成長につながったとの見方を示した。田辺騎手も同じ点に触れている。

関連記事:新潟記念、ゾロアストロが2番人気で優勝 岩田望来騎手が騎乗しタイムは1分59秒6

「恵みの雨だった」 テン乗り田辺裕信騎手が語った勝因

田辺騎手にとって、メイショウゲキリンは初めて手綱を取る相手だった。いわゆるテン乗りでの重賞制覇となる。

逃げは事前に決めていた作戦ではない。「先行して、とは考えていましたけど。楽に先手が取れたので逃げることにしました」。ゲートを出た感触でその場の判断に切り替えた。

道中の手応えについては「4コーナーを回る時の手応えがまだ良くて。もう少し頑張ってくれという気持ちで」と振り返る。馬場については、陣営と事前に話し合っていた内容をこう明かした。「雨がいいかどうかというよりは、スピード勝負にならないほうが向きそうだなというのをレース前に陣営の人とも話していたので、恵みの雨だったんじゃないかなという気はします」。

障害を挟んだ効果も実感していた。「障害練習してから本当に調子良くなったみたいで、いい意味で負荷がかかってこられたんじゃないかと、それでレベルアップしたんじゃないかなと思います」。

ハナ差で涙をのんだ2着キャントウェイトの萱野浩二調教師は「残念でした。こういう馬場も味方してくれたと思うけど、直線の進路が狭くなっちゃったからね。あそこがスムーズだったら…と思うけど、これもまた競馬ですね」と語った。3着ヴーレヴーの吉田隼人騎手は「昨日のレースを見て、インコースや先行馬に有利だと思っていました。イメージ通りでしたが、もうワンパンチでした」と、読み自体は当たっていたことを説明している。

7着だった武豊騎手から笹田調教師に「来年は凱旋門賞に!」と冗談で声がかかる場面もあったという。当の指揮官は「あまり高望みはせず、オーナーと相談しながら考えていきたいです」と、足元を見た構えを崩さなかった。

レガレイラは道悪に泣いて4着 連覇はならず

1番人気に支持されたレガレイラ(牝5)は、美浦・木村哲也厩舎の所属で父はスワーヴリチャード。前年のこのレースを制しており、牝馬による連覇がかかっていた。

前走は6月の宝塚記念で7着。そのときもC.ルメール騎手が「馬場コンディション」を敗因に挙げており、重い芝に苦しむ姿は今回と重なる。

この日の鞍上は戸崎圭太騎手。手応え自体は悪くなかったという。「馬の雰囲気や返し馬の感じはとても良かったです。ただ、4コーナーまではいい手応えだったけど、促してからははじけ切れなかった。その点はやっぱり緩い馬場が影響したと思う」。

4コーナーまでは手応え良く回ったものの、直線で伸びを欠いた。戸崎騎手は「改めて馬場が緩いのは厳しいのかなと思いました」とも述べ、適性面の確認になったことをうかがわせた。走破タイムは2分17秒4で、勝ち馬との差は0秒5。大きく崩れた負け方ではなく、重い芝が自慢の末脚を鈍らせた。

関連記事:モンローウォーク、ローズSで無傷のV4 3馬身差の完勝で重賞初制覇、秋華賞の優先出走権を獲得

天皇賞・秋の優先出走権を手にした7歳馬の秋

オールカマーは天皇賞・秋のステップレースに位置づけられ、勝ち馬には同レースの優先出走権が与えられる。メイショウゲキリンもこの権利を手にした。

障害未勝利戦を6着で終えてからおよそ1カ月。平地に戻った最初の一戦でGIIを勝ち、秋の東京へのチケットまで握った7歳馬が、次にどこを目指すのか。笹田調教師は馬主と相談しながら決める考えを示しており、進路は現時点で確定していない。

ハナ差で惜敗したキャントウェイトも、メンバー最速の上がりで差し脚を見せて秋の古馬路線に名乗りを上げた。レガレイラは良馬場でこそ持ち味が出る馬であり、巻き返しの舞台は秋以降に控える。

障害で積んだ負荷が馬体を作り、テン乗りの騎手が迷わずハナを切り、降り続いた雨が味方した。その積み重ねが、9番人気の逃げ切りという結果になって表れた一戦だ。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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