ハーパー、「今年はそうなる」とロックアウト示唆し批判も MLB労使が対立するサラリーキャップと2027年開幕の行方

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
フィリーズのブライス・ハーパー(34)が、自身のTikTokに寄せられたコメントへの返信で、来季のMLBが労使紛争で止まる可能性をにおわせた。「今年はそうなる」という短い一言は米メディアで相次いで取り上げられ、ファンからは批判も出た。現行の労使協定は日本時間12月2日午後に失効する。争点のサラリーキャップと、2027年シーズン開幕の見通しをまとめる。
ハーパーがTikTokで返した「今年はそうなる」
米メディアが10月31日から11月1日にかけて報じたところでは、ハーパーは自分のTikTok投稿についたコメントにいくつか返信した。3月から10月がハーパーのオフシーズンになりそうだと冗談を書き込んだファンに、ハーパーは”It will be this year.”(今年はそうなる)と返している。
3月から10月は、本来ならMLBのレギュラーシーズンからポストシーズンにあたる期間だ。そこが丸ごと「オフ」になるという冗談に同調した返信は、2027年シーズンが労使交渉の行き詰まりで始まらない可能性を示したものとして受け止められた。
シーズンよりオフの方が好きそうだという別のファンのコメントには、”This is true.”(その通り)と答えた。
ハーパー本人は、返信の意図を説明していない。試合がなくなると本気で予想したのか、冗談に軽く乗っただけなのかは、本人の言葉からは読み取れない。
「過大評価」と批判、球界への警鐘と読む見方も
返信が広まると、ハーパーに厳しい書き込みが相次いだ。米スポーツメディアはファンの反応をまとめて伝え、日本でも報じられた。「過大評価」といった批判が並んだ一方、トップ選手がプレーできなければリーグやテレビ局が痛手を受けるとして、球界への警鐘と受け止める意見も紹介されている。
フィリーズの今季は、早い段階で終わった。ナ・リーグのワイルドカードシリーズでブレーブスと対戦し、1勝2敗で敗退。10月1日の第3戦は2-6で落とした。ハーパーは第2戦の8回に同点本塁打を放ち、延長10回の勝利につなげたが、地区シリーズへは進めなかった。敗退から1か月ほどでの返信だった。
レギュラーシーズンは162試合に出場し、打率.269、29本塁打、87打点を記録した。2019年にフィリーズと13年総額3億3000万ドルの大型契約を結び、ナ・リーグMVPに2度輝いた看板選手である。
労使問題では、以前から強い態度を見せてきた。2025年7月、フィリーズのクラブハウスで選手と面会したロブ・マンフレッド・コミッショナーが球界の経済状況について話した際、ハーパーが立ち上がり、サラリーキャップの話をするならクラブハウスから出て行くよう求めたと報じられた。マンフレッド氏は「サラリーキャップ」という言葉自体は口にしていなかったとされ、面会は続き、最後は2人が握手したという。
MLBのロックアウトとは 協定は日本時間12月2日午後に失効
ロックアウトは、経営側が選手を締め出して業務を止める手段だ。選手側が仕事を止めるストライキとは逆の立場から行う。
MLBと選手会の労使協定(CBA)は、2022年3月に結ばれた5年契約。米東部時間12月1日午後11時59分、日本時間では2日午後1時59分に期限を迎える。新しい協定がまとまらなければ、オーナー側が選手を締め出すとの見方が米国で広がる。
ロックアウトに入ると、何が止まるのか。
前回2021年12月からのロックアウトでは、40人枠の選手が関わるFA契約やトレードが止まり、選手は球団施設を使えなかった。ポスティングでメジャー移籍を目指す日本人選手にとっても、交渉の期限に関わる問題になる。
関連記事:伊藤大海、日本ハムがポスティング容認 メジャー移籍先の候補と契約予想、ロックアウトで交渉期限は12月1日の見通し
関連記事:佐藤輝明、ポスティング公示でメジャー30球団と交渉へ 移籍先の候補と契約予想、ロックアウトで揺れる交渉期限
争点はサラリーキャップ オーナー側の上限案に選手会が反発
対立の中心は、球団ごとの年俸総額に上限を設けるサラリーキャップだ。オーナー側は2027年の上限を2億4530万ドル、下限を1億7120万ドルとする案を出したと報じられた。選手1人の年俸を球団総額の15%までに抑える仕組みも求めている。
MLBにはこれまで年俸総額の上限がなく、一定額を超えた球団に課徴金をかける「ぜいたく税」で戦力の偏りを抑えてきた。オーナー側がサラリーキャップを持ち出すのは、1994〜95年のストライキ以来となる。
選手会は暫定事務局長のブルース・マイヤー氏のもと、上限の導入に一貫して反対する。最低年俸の大幅な引き上げや、FA・年俸調停の対象拡大、球団間の収益分配の拡充を求め、溝は埋まっていない。
ESPNのバスター・オルニー記者は自身のポッドキャストで、オーナー側が今回はサラリーキャップを勝ち取れると確信しているとの見方を示した。マンフレッド氏は「性格的にも考え方としても、期限ぎりぎりで交渉するタイプではない」と話している。
2027年の開幕は遅れるのか 過去の労使紛争と比べる
2027年のレギュラーシーズン開幕は3月24日の予定だ。USAトゥデーのボブ・ナイチンゲール記者は9月、球界幹部の間で、開幕がメモリアルデー(5月最終月曜日の米国の祝日)前後までずれ込むとの見方が増えていると報じた。そうなれば、2020年のコロナ禍を除いてMLB史上最も遅い開幕になる。
過去の主な労使紛争は次のとおりだ。
| 時期 | 形と期間 | 影響 |
|---|---|---|
| 1994〜95年 | 選手会のストライキ | 94年のワールドシリーズが中止、 |
| 2021〜22年 | オーナー側のロックアウト | 開幕が3月31日から4月7日へ延期、 |
| 2026年〜 | 12月1日 | 開幕は3月24日予定、 |
1994年の対立も、オーナー側のサラリーキャップ案がきっかけだった。前回の2021〜22年は、99日目に合意してシーズンの試合数を守っている。今回は、争点そのものが1994年と重なっている。
ドジャースの大谷翔平ら日本人メジャーリーガーも、新協定がまとまるまでは来季の日程が固まらない。ハーパーの「今年はそうなる」が冗談で終わるかどうかは、12月1日以降の交渉にかかっている。
[文/構成 by ライター 凪]







































































コメントはこちら