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武部新農水相、支部から本人への寄付3000万円超が不記載と報道 就任後相次ぐ指摘と政治資金規正法の罰則・時効

武部新農水相、支部から本人への寄付3000万円超が不記載と報道 就任後相次ぐ指摘と政治資金規正法の罰則・時効

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武部新農林水産相(56)が代表を務める自民党の政党支部から、武部氏個人への寄付計3000万円超が支部の政治資金収支報告書に記載されていなかったと11月1日に報じられた。事務所は記載の誤りを認めている。同じ週刊誌が就任後に報じた疑惑としては5件目で、違法性について捜査機関などの判断は示されていない。

支部から本人へ3000万円超、支部の報告書に記載なし

週刊誌のオンライン版が11月1日夜に報じた。問題になったのは、武部氏が代表を務める「自由民主党北海道第十二選挙区支部」から武部氏個人に渡った寄付だ。2014年の衆院選で計1500万円、2017年の衆院選で計1527万4207円となり、2回の選挙で合わせて3000万円を超える。

武部氏が北海道選挙管理委員会に出した選挙運動費用収支報告書には、選挙資金の原資として支部からの寄付が書かれていた。ところが、支部の政治資金収支報告書には両年とも武部氏個人への寄付の記載がなかったと報じられた。受け取った側の報告書には載っていて、出した側の報告書には載っていない。食い違いはこの一点にある。

事務所は取材に「本来、武部新への寄附と記載すべきところ、誤りがあったものです」と回答し、記載の誤りを認めた。当時の事務担当者はすでに亡くなっており、選管に訂正を相談したところ、保存期間が過ぎて関係書類は廃棄されているため訂正はできないとの回答だったという。

報道によると、政治資金規正法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、同法の虚偽記入罪に当たると指摘した。金融機関の口座記録や会計帳簿など客観的な資料で説明しない限り、「裏金作り」の疑いは拭えないとの見方も示している。武部氏はこれに先立つ記者団の取材で「いわゆる裏金というものは存在しません」と述べていた。1日夜の時点で、違法性について捜査機関などの判断は出ていない。

10月28日の「二重計上」とは何が違うのか

同じ2014年と2017年の衆院選をめぐっては、10月28日にも別の指摘が報じられていた。ウグイス嬢や運転手など車上運動員の人件費を、選挙運動費用収支報告書と後援会「武部新後援会総連合」の政治資金収支報告書の両方に、同じ日付・同じ金額で載せていたという「二重計上」の疑いだ(2017年の1人は金額だけが一致)。人件費は2014年が17人に計285万6000円、2017年が14人に計168万7000円で、合計は450万円を超える。テレビ各局は、週刊誌がこの二重計上で総額3000万円の裏金を作った疑いがあると報じたと伝えた。

武部氏は28日、衆院の審議で野間健衆院議員に追及され、「事実関係の詳細について確認しているところ」と答弁した。同日夕には、選挙の報告書に載せた内容を後援会の報告書にも重ねて記載していたと認め、原因を「当時の事務担当者の誤解と事実確認不足」と説明している。担当者は亡くなっていて確認できないとしたうえで、「二重計上した分をプールしたことはなく、いわゆる裏金というものは存在しません」と語った。報告書は保存期間を過ぎているため訂正できないとも話した。

2つの指摘を並べると、向きが逆になる。10月28日は、同じ支出が2つの報告書に重ねて載っていたという「載せすぎ」の疑い。11月1日は、支部から本人へのお金の流れが支部側の報告書に載っていなかったという「載せ漏れ」の指摘だった。

テレビ各局が伝えた「総額3000万円」と、11月1日に報じられた寄付3000万円超は、対象の選挙と金額の規模が重なる。ただ、両者がどう関係するのかは報道の中で詳しく説明されていない。現時点では、両者は別々の指摘として報じられている。

就任から半月余りで相次ぐ指摘と武部氏側の説明

武部氏は衆院北海道12区選出で、2026年10月15日、辞任した簗和生氏の後任として高市内閣の農林水産相に就いた。父は元自民党幹事長の武部勤氏だ。就任から半月余りの間に、同じ週刊誌が報じた政治資金や選挙運動費用をめぐる指摘は5件に上る。

順指摘の内容武部氏側の説明
12024年衆院選の公示日、国の事業を受注していた海運会社から支部へ30万円の寄付受注は当時知らず、返金し報告書を訂正、陳謝
2車上運動員として届けたカメラマンへ86万円を支払い選挙運動の実態はなく、報告書の訂正を選管に依頼
3支部から地域支部への交付金計約85万円の不記載(10月27日)地域支部側の記載漏れ
4車上運動員の人件費450万円超の二重計上(10月28日)事務担当者の誤解と確認不足、裏金は否定
5支部から本人への寄付3000万円超の不記載(11月1日)記載の誤りを認める

1件目の寄付は、国の業務を請け負っていた北海道紋別市の海運会社から、2024年衆院選の公示日にあたる10月15日に受け取ったものだった。公職選挙法は、国と契約を結ぶ当事者が国政選挙に関して寄付することを禁じている。武部氏は2026年10月21日、「当該の会社がそのような事業を受注していたことは、当時は承知していなかった」と述べ、同日に返金して報告書を訂正したと説明した。

関連記事:武部新農水相、受注企業からの献金30万円を返金し報告書を訂正 就任から6日、父は元自民党幹事長の武部勤氏

2件目のカメラマンについて、武部氏は10月27日の衆院農林水産委員会で「実際に選挙カーに乗った事実はなく、選挙運動をしていない」と答弁した。頼んだ仕事は支部の選挙記録用の写真や動画の撮影だったと強調し、選挙運動費用収支報告書の訂正を選管に頼んだと明かしている。

3件目は、支部が雄武町、津別町、北見市留辺蘂の地域支部に出した交付金をめぐる食い違いで、総額は約85万円とされる。武部氏側は、地域支部側の記載漏れだと説明した。このほか、別の週刊誌は、武部氏の関連政治団体が北見市で開いたビールパーティーの抽選会をめぐる指摘も報じた。

不記載・虚偽記入の罰則と時効、法律はどう定めているか

政治資金収支報告書の記載をめぐる罰則は、政治資金規正法に定めがある。今回の件に当てはまるかどうかは別として、条文の一般的な仕組みは次のとおりだ。

項目定め根拠
不記載・虚偽記入5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金政治資金規正法25条1項
重大な過失による場合処罰の対象。情状により刑を軽くできる同法27条2項
公民権停止罰金刑なら裁判確定の日から5年間など同法28条
公訴時効5年刑事訴訟法250条2項5号
時効の起算点犯罪行為が終わった時刑事訴訟法253条1項

25条1項は、収支報告書に記載すべき事項を書かなかった者や、虚偽の記入をした者を罰する規定になる。2025年6月の刑法改正の施行で、それまでの禁錮は拘禁刑に一本化された。同じ条の2項では、会計責任者の選任と監督について相当の注意を怠った政治団体の代表者にも、50万円以下の罰金を科せると定める。

故意でなくても、重大な過失があれば処罰の対象になるのが27条2項の定めだ。罰金刑や拘禁刑を受けると、28条により原則として一定期間、選挙権と被選挙権を失う。裁判所は情状により、この期間を短くしたり、適用しないとしたりできる。

時効の年数は、刑の重さで決まる。25条1項の罪は長期5年の拘禁刑に当たるため、刑事訴訟法250条2項5号の「長期十年未満の拘禁刑に当たる罪」に入り、公訴時効は5年となる。時効は同法253条1項により「犯罪行為が終つた時から進行する」。ただ、2014年と2017年の記載に時効がどう当てはまるかについて、捜査機関などの判断は示されていない。

報告書そのものには保存期間がある。政治資金収支報告書は、総務大臣や都道府県の選管が公表した日から3年を経過する日まで保存すると定められている(政治資金規正法20条の2)。選挙運動費用収支報告書も、公職選挙法192条で受理した日から3年間の保存とされる。事務所によると、選管は保存期間の経過で関係書類が廃棄されているとして、訂正はできないと回答したという。

2024年の法改正では、国会議員関係政治団体の代表者が収支報告書の内容を確かめ、会計責任者に確認書を渡す制度ができ、2026年1月1日から適用されている。今回指摘された2014年と2017年の記載は、この制度ができる前のものだ。

国会での説明が次の焦点に

武部氏はこれまで、記者団の取材や衆院農林水産委員会で、指摘があるたびに説明や報告書の訂正を重ねてきた。国会では野間健衆院議員が追及しており、支部からの寄付3000万円超について、本人が国会の場でどう説明するかが次の焦点になる。

事務所は支部の報告書の記載の誤りを認める一方、武部氏は二重計上の指摘をめぐり「いわゆる裏金というものは存在しません」と否定している。当時の事務担当者が亡くなり、関係書類も廃棄されているとされる中で、資金の流れをどこまで客観的に示せるかが問われる。違法性については、11月1日夜の時点で捜査機関などの判断は示されていない。

[文/構成 by ライター 飯田タツヤ]

寄稿者

飯田タツヤ
時事ニュースを中心に、社会の動きから芸能・スポーツの話題まで幅広く書いているWebライターの飯田です。ライター歴は6年。心がけているのは、発表や報道で確認できたことと、まだ分かっていないことを分けて書くこと。「何が起きて、暮らしにどう関わるのか」を最初に整理しています。休日はラジオを流しながらの散歩とサウナ。

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