さとうさおり都議、なにがあったのか 「議員辞職をする事になりました。」YouTubeで報告 辞職理由は明かされず「命を優先」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
千代田区選出のさとうさおり都議が8月29日、自身のYouTubeで議員辞職の意向を表明した。辞職の理由は明かさず「命を優先し、今を生きる活動に入ります」と語るにとどめた。都議会の議員名簿には29日時点でも名前が残ったままで、辞職願の提出や許可は確認できていない。
「議員辞職をする事になりました」8月29日の動画
さとうさおり(1期・千代田区選出)が8月29日、自身のYouTubeチャンネルに「議員辞職をする事になりました。」と題した5分13秒の動画を投稿した。公式サイトでも同日付でこの動画の掲載が確認できる。
動画の冒頭、さとうは「皆さんもお久しぶりです」と切り出し、「突然のご報告にはなりますが、この度議員辞職をすることになりました」と述べた。任期途中での報告になったことについては「今まで応援してくださっていた皆様、支援してくださっていた皆様には大変申し訳なく思っております」と謝罪の言葉を重ねた。
さとうは公認会計士・税理士の資格を持ち、2025年6月の東京都議選(6月22日投開票)で千代田区(定数1)から無所属で出馬。現職だった都民ファーストの会の平慶翔氏らを破り初当選を果たした。東京都議会の議員名簿には、8月29日時点でも「さとう さおり」の名前が掲載されている。会派は無所属(やちよの会)、所属委員会は経済・港湾委員会と記載されたままだ。辞職願の提出や、議長による許可を示す都議会側の公式な発表は、29日時点で確認できていない。動画は辞職の「意向」を伝えるものであり、手続きが完了したとは言い切れない状態にある。
理由は明かさず「命を優先」の真意
動画の中でさとうは、辞職の理由について具体的な説明を避けた。「理由といたしましては、今後の人生に大きく大きく関わる事情が重なりまして、議員、そして議員生活をこれまでと同じように継続することが困難となったためです」と語り、続けて「今まで以上に命を優先し、今を生きる活動に入ります」と述べた。
個人的な事情をどこまで明かすべきか悩んだとも打ち明けている。「個人的な事情をどこまでオープンにすべきか悩みました。しかしながら、私だけに関わる部分でない部分もあるため、詳細については公表を差し控えさせていただこうと思います」。何が起きたのかは、この動画だけでは分からない。
政治への思いが薄れたわけではないとも強調した。「決して政治に対する思いがなくなっただとか、今までの課題意識がなくなっただとか、日本を変えたいという気持ちがなくなったというわけでは全くございません」。そのうえで「議員は何人もいます。そしてもし仮にまた始められることがあるのだとしたら、そのタイミングで始めることもできます。しかしながら命は1つしかありません」と続け、「命」という言葉を繰り返した。
「今回はその命を優先し、今を生きる活動を優先させていただくことと決断いたしました」。語られたのはここまでで、事情の中身には最後まで触れなかった。
8,458円で当選した都議の1年余り
さとうは2025年2月の千代田区長選に無所属で出馬し、現職に4,229票差(得票率で約20.7ポイント差)及ばず落選した。その勢いのまま同年6月の都議選に「減税、社会保険料削減、違法外国人ゼロ」を掲げて出馬。事務所も選挙カーも置かない選挙戦で初当選をつかんだ。
かかった費用はわずか8,458円。
内訳は次の通りだ。
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| コピー代 | 17円 |
| 街頭演説用スピーカーの電池代 | 7,489円 |
| レインコート代 | 952円 |
| 合計 | 8,458円 |
選挙ハガキも電話ものぼりも使わない異例の選挙戦となった。
当選後はひとり会派「やちよの会」を結成した。2025年10月の一般質問では、都の都営住宅等事業会計が2002年度から2022年度までの21年間にわたり消費税を無申告のまま納めていなかった問題を追及。都は2019〜2022年度分としておよそ1億3642万円を事後に納付し、それより前の17年分は時効が成立して納付されなかった。この問題が発覚した際、小池百合子知事は9月26日の定例記者会見で「極めて遺憾」と述べていた。2026年2月には、小池知事の指示で実施された監察の調査結果が公表され、税理士法人の指摘に適切に対応しなかったなどとして、当時の担当課長ら職員5人が停職や戒告の懲戒処分を受けた。
このほか、各局で補助金の支出情報の公開・更新が止まっている問題を一般質問で取り上げたほか、2026年1月には国の補助金や基金の使途をランキング形式で可視化するサイト「やちよの会DOGE」を立ち上げるなど、公認会計士としての専門性を生かした発信を続けてきた。
辞職表明までに何があったのか
さとうの辞職表明に先立ち、都議会との間では別の問題も表面化していた。時系列は次の通りだ。
辞職表明までの主な出来事
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年10月26日 | 会場費約50万円を政務活動費から支出して都政報告会を開催。その動画をYouTubeに公開し、広告収入を得る |
| 2026年6月下旬 | さとうがX(旧Twitter)とYouTubeでこの問題を公表し、「越権行為」と反発。都議会も公式サイトに見解を掲載 |
| 2026年8月5日 | さとうがXで「都の隠蔽体質が酷すぎるので行政訴訟をしようと思います」と投稿し、行政訴訟の意向を表明 |
| 2026年8月13日 | 参議院議員で弁護士の北村晴男氏の事務所を訪問し、行政訴訟について相談。9月の都議会定例会で辞職勧告に向けた動きがあるとSNSで警戒感を発信 |
| 2026年8月29日 | YouTubeで議員辞職の意向を表明 |
2025年10月26日に開いた都政報告会の動画をめぐり、都議会からは収益相当分を政務活動費から控除するか、収益化しないよう要請が出ていた。さとうはこれを2026年6月下旬にXとYouTubeで公表し、「明らかな越権行為」と反発。政務活動費の残額返還ルールはあっても、活動から生まれた外部収益を自治体に納めさせる法的根拠はないというのが本人の主張だ。8月5日には「都の隠蔽体質が酷すぎるので行政訴訟をしようと思います」とXに投稿し、行政訴訟に踏み切る意向を示していた。
8月13日には、参議院議員で弁護士の北村晴男氏の事務所を訪ね、行政訴訟の進め方について助言を受けたとSNSで報告。あわせて、9月の定例会で自身への辞職勧告に向けた動きが水面下で進んでいるとの警戒感も発信していた。
これらの出来事と、8月29日の辞職表明との関係について、さとうは動画の中で説明していない。時系列としては辞職表明の直前に起きた出来事だが、本人が理由を明かしていない以上、両者の因果関係は分からないままだ。
議席は返上へ、政治団体も無期限休止に
さとうは動画の終盤、議員という仕事への向き合い方も語った。「私の中で議員という仕事は、ただ議席にとまっていればいいものではなくて、やはり都民の皆様から負託をいただいた以上、責任を十分に果たせる状態でなければならないと思っています」。そのうえで「その責任と、今置かれている状況。これを総合的に勘案した結果、任期途中ではありますが、議席をお返しするという結論に至りました」と締めくくった。
自身が代表を務める政治団体「やちよの会」には、動画時点でおよそ5,300人が登録しているという。この団体についても「無期限の休止」とし、活動を止める考えを示した。「また戻ってくることがありましたら、その時は再度、日本を変えていこうと皆様と一緒にやっていけたらな」とも語り、政治への復帰そのものは否定しなかった。
政治家としての立場は退くが、発信は続ける考えだ。「政治の世界は退きますが、一民間人として、情報発信を自分のペースでできる限りでこれからも続けていきたいと思っています」。「日本を変えるという活動は政治家だけではなくて、一民間の立場からもやっていくことはできると信じています」とも語った。
詳しい事情については「改めて別の動画などでもお話をさせていただこうかと思います」とし、続報の可能性にも触れている。29日時点で、都議会の議員名簿からさとうの名前が削除された事実は確認できていない。議席をめぐる正式な手続きの行方は、現時点で明らかになっていない。
[文/構成 by さとう つづり]

































































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