冷しカップヌードルが売ってない理由 1〜2カ月分の供給が1週間で完売とBloombergが報道

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
日清食品が7月20日に売り出した「冷しカップヌードル」2品が、店頭からほぼ姿を消した。ブルームバーグは8月21日、1〜2カ月は持つと見込んでいた当初の供給分がわずか1週間で完売したと報じた。増産や通年販売の判断は、まだ出ていない。
発売1週間で当初の供給分が尽きた
ブルームバーグ(Bloomberg)は8月21日、日清食品ホールディングスがこの夏に限定発売した冷水専用のカップヌードルについて、当初の供給分が1週間で売り切れたと伝えた。同社は1〜2カ月は持つと見込んでいた。販売数量は公表していない。
対象は「冷しカップヌードル ピリ辛キムチ味」と「冷しカップヌードル 鶏塩レモン味」の2品。日清食品が7月20日に全国で売り出した。希望小売価格は1食285円(税別)で、内容量はキムチ味が60g、鶏塩レモン味が59g、麺はどちらも45gだ。
店頭で見つからない理由はここにある。売れ行きが鈍ったのではなく、想定を大きく上回る速さで売れて、当初用意した供給分が尽きた。日清食品グループのオンラインストアでも8月21日時点で2品とも在庫切れが続く。サイトには19日付で「ご注文集中につき、通常よりも商品の発送にお時間をいただきます」との案内が出た。鶏塩レモン味の商品ページには、1人3点までの購入制限も添えられている。
熱湯禁止の麺を作るのに5年かかった
インスタントラーメンは1958年、日清の創業者・安藤百福氏が発明した。以来、調理には熱湯が欠かせない。その前提を外したのが「冷しカップヌードル」だった。
冷水で戻せる新製法「コールドリハイド製法」(特許取得済み)を使った専用の麺は、冷蔵庫で冷やした水を注いで5分待つとコシとつるみのある食感になる。日清食品によると、開発期間は丸5年かかった。1971年9月18日に発売した「カップヌードル」は今年で55周年を迎えるが、熱湯を禁じた商品はブランド史上初となる。
使う水は330mlが目安で、温度は5〜10度が推奨される。日本経済新聞は7月13日、熱湯を使うとカップが熱くなりすぎて危険なため厳禁だと報じている。記録的な猛暑で冷たいメニューの人気が高まったことが、商品化の後押しになった。
キムチ味の具材には、ファンの間で「謎肉」と呼ばれる豚ミンチ加工品も入る。鶏塩レモン味は蒸し鶏、たまご、ネギ、赤ピーマンという構成で、レモンの香りを立たせた。
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発売3日で出荷を止めた10年前の前例
日清食品には、売れすぎて自ら商品を止めた経験がある。2016年9月12日に発売した「カップヌードルビッグ “謎肉祭” 肉盛りペッパーしょうゆ」は、カップヌードル誕生45周年の記念商品だった。ところが3日後の9月15日、同社は当初の販売計画を大幅に上回って十分な供給量を確保できないとして、出荷の一時休止を発表する。
日清食品は10月17日に販売再開を告知し、10月24日から全国での販売を再開した。追加生産をはさみ、休止の発表から店頭に戻るまでおよそ40日かかった。
今回は事情が少し違う。日清食品のニュースリリースには、8月21日時点で「冷しカップヌードル」の販売休止や再開に関する告知が出ていない。ブルームバーグは数量限定の商品と伝えており、用意した分を売り切った形だ。会社側が出荷を止めた2016年とは経緯が異なる。裏を返せば、次の入荷を読む手がかりも今のところ乏しい。
増産・通年販売は未定、日清食品の説明
日清食品ホールディングスの広報担当者はブルームバーグの取材に、熱湯を用意しなくていいため非常食として使えるとの声が寄せられたと明かした。増産、通年販売、新しい味の投入については、いずれも未定。今回の販売状況を踏まえて今後検討するという。
国内の即席麺市場で日清はほぼ半分を握り、東洋水産やサンヨー食品と競り合う。看板の「カップヌードル」は国内で2017年度から9期連続で過去最高の売上高を更新した。同社は8月4日、茨城県つくばみらい市にカップヌードル特化型の新工場を建設すると発表した。投資額は約700億円、年間の生産能力は最大5億食。2027年5月に着工し、2029年度の稼働を目指す。
株式市場の受け止めも悪くない。マッコーリー・エクイティ・リサーチのアナリスト、リンダ・ホアン氏らはリポートでこう指摘した。
「多様化が進む食文化に合わせた革新的な商品やフレーバーの投入を加速するとともに、複数の販売チャネルにバランスよく展開することに注力している」
岩井コスモ証券投資調査部シニアアナリストの有沢正一氏も、「価格を訴求するのではなく、価値を訴求する」戦略が定着していると評価している。
豆乳やお茶で作る人も 香港では行列
SNSでは投稿が相次いだ。インフルエンサーによる試食の投稿に加え、冷水の代わりに豆乳やお茶を注ぐアレンジも広がる。作り方そのものに遊べる余地を残したことが、拡散を後押しした。
盛り上がりは海を越えた。ブルームバーグによると、香港最大の無料英字日刊紙ザ・スタンダードは、現地のある食品店が1日限定で売り出したところ、商品を求める人が列を作ったと伝えた。
注文の波は公式の通販にも及ぶ。日清食品グループのオンラインストアは、注文が集中しているため出荷までに3〜4日程度かかるとサイト全体で告知している。冷しカップヌードルに限らず、通販が混み合う状態が続く。
一過性で終わるか、夏の定番になるか
冷水で作れるカップ麺は、猛暑が続く日本の夏に新しい居場所を見つけつつある。熱湯もカセットコンロも要らないため、防災備蓄としての使い道も浮かぶ。停電で湯を沸かせない状況を思えば、その価値は分かりやすい。ブルームバーグも、非常食という新たな用途を伝えている。
ただし現状では、次にいつ買えるのかは分からないままだ。増産の判断も、来年また出るかどうかも公表されていない。当面は店頭で見かけたときが買い時になる。
一過性のヒットで終わるのか、夏の定番として残るのか。答えが出るのは、来年の夏だ。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]































































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