山口アタル、日本ハムが来季契約を結ばないと通達 カナダからの“逆輸入”選手は現役続行も含め熟考、現在の心境は

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日本ハムは10月5日、育成選手の山口アタル外野手(27)と藤田大清外野手(22)に来季の契約を結ばないと通達した。カナダ・バンクーバー出身の山口は、12球団にプレー動画を送って入団テストにこぎつけ、2022年の育成ドラフト3位で入団した。度重なるけがで4年間一度も支配下に上がれず、一軍出場はなし。現役を続けるかどうかは、これから数週間で決めるという。
日本ハムが10月5日に育成の2選手へ通達
球団の発表によると、通達の場所は千葉県鎌ケ谷市の球団施設だった。対象は育成選手の藤田と山口の2人で、ともに2023年から2026年まで在籍し、一軍出場はなかった。山口は入団から4年間、一度も支配下登録されなかった。
同期入団の藤田は花咲徳栄高から育成ドラフト1位で入った外野手だ。今季は腰やふくらはぎのけがが重なり、ファームでも4試合の出場にとどまった。藤田は現役を引退し、不動産関係の仕事を目指す。
一方の山口は、通達の場で結論を出さなかった。「これだけケガをしているので(現役を)続けるか、続けないかといったところ」。進退を問われると、そう率直に答えている。
この日、球団はファームの全日程終了も発表している。ファーム・リーグ東地区で15年ぶりの1位となり、10月4日にはファーム日本選手権で巨人を5-2で破って1997年以来29年ぶり2度目の日本一を決めたばかりだった。
関連記事:ファーム日本選手権2026結果、日本ハムが巨人に5-2で29年ぶり2度目のファーム日本一
バンクーバー生まれ、12球団へ自ら売り込んだ“逆輸入”外野手
山口は1999年5月28日生まれ。父は日本生まれ日本育ちの日本人、母はギリシャにルーツを持つカナダ生まれカナダ育ちで、山口自身もカナダで生まれ育った。8歳で野球を始め、2012年にはリトルリーグの世界大会にカナダ代表として出場。そこで日本代表だった清宮幸太郎と出会い、一緒に写真を撮ったという縁もある。
高校はカナダのブリタニア高。米国のコルビー・コミュニティカレッジを経てテキサス大タイラー校に進んだが、のちに中退している。大学では投手だった。トミー・ジョン手術を受けた影響もあり、2022年6月に打者へ転向する。
転機はその夏に訪れる。日本球界とのつながりはほとんどなかったが、12球団の公式サイトから問い合わせ窓口を探し、打撃や走塁、ウエートトレーニングの様子を収めた動画をメールで送った。日本語の文章は父に教わって書いたという。新庄剛志監督の所属事務所にも「僕を取った方がいいですよ。損はさせません」という趣旨のメールが届いていた。
返事のない球団や断る球団も多かったなか、日本ハムの入団テストで大渕隆スカウト部長に「フィジカルモンスター」と評された。投手時代の最速は153キロ、打球速度は最速167キロ。打者転向からわずか4カ月で、2022年10月20日のドラフト会議で育成3位指名を受けた。
“逆輸入”と呼ばれる理由は、日本の学校を経ずに海外の野球で育った選手だからだ。日本ハムは同じドラフトで、メッツ傘下3Aにいた加藤豪将を3位で指名しており、山口はそれに続く2人目の“逆輸入”指名として注目された。背番号は127。
4年間で一軍出場なし、ファーム成績とけがの記録
プロ1年目の2023年、山口はイースタン・リーグで36試合に出場し、打率.235、2本塁打を記録した。だが7月27日、東京都内の病院で左膝前十字靱帯の再々建術を受け、球団はゲーム復帰まで8カ月の見通しと発表した。ルーキーイヤーはそこで終わった。
2024年は35試合で打率.247、4本塁打と長打力をのぞかせる。2025年には春季キャンプで育成選手としてただ1人、一軍スタートに抜てきされた。新庄監督は「バットの出がいいから(支配下選手になったら1軍で)“3打数4安打”ぐらい打つんじゃないかな」と期待を口にしている。
しかし、実戦では8打数無安打。2月15日の紅白戦の前に二軍キャンプ行きが発表され、その試合で同点の2点適時打を放ったものの、一軍にとどまる道は開けなかった。それでも2025年はファームで自己最多の63試合に出場し、打率.251、23打点を残している。
育成選手として3年が過ぎたため、2025年10月31日にいったん自由契約となり、11月16日に改めて育成契約を結んだ。勝負の4年目となった今季も、けがが行く手を阻む。左手有鉤骨鉤骨折と診断され、6月1日に東京都内の病院で有鉤骨鉤切除術を受けた。球団が示した見通しは、打撃練習の再開まで約4週間だった。結局、今季のファームは13試合で打率.179、1本塁打、4打点に終わっている。
| 年度 | 所属リーグ | 試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | イースタン・リーグ | 36 | 31 | 2 | 8 | .235 |
| 2024 | イースタン・リーグ | 35 | 22 | 4 | 9 | .247 |
| 2025 | イースタン・リーグ | 63 | 43 | 1 | 23 | .251 |
| 2026 | ファーム・リーグ(東地区) | 13 | 5 | 1 | 4 | .179 |
| 通算 | ― | 147 | 101 | 8 | 44 | ― |
ファーム4年間の通算は147試合で101安打、8本塁打、44打点。一軍の公式戦には一度も出場していない。
「続けるか、続けないか」揺れる現在の心境
通達を受けた山口は「ある程度、覚悟はできていた」と口を開いた。続けて「大きなケガを何回かしたし、手術も4回している。自分の100パーセントのポテンシャルまでいけたかわからない部分がある。ちょっと挑戦したい気持ちもあるけど、次のことに準備しようかという気持ちもあって迷っている」と、揺れる胸の内を明かしている。
カナダ、米国、日本の3カ国でプレーしてきた。日本での4年間については「日本の文化は海外と全然違うし、日本の文化を学ぶのは楽しかった」と語り、周りの人たちの1日の過ごし方や姿勢を見てきた4年間の経験を「お金で買えない大きな財産」と表現した。入団当初はおぼつかなかった日本語も、4年間で上達した。
野球を離れた場合の道も考え始めている。「カナダ、米国、日本と住んだ。英語をしゃべれていろんな経験をした人生から、それを生かせる仕事を見つけたい」。その一方で現役への未練も残し、「これからの数週間でやるかやらないかを決めたい」と期限を区切った。
現役続行か次の道か、数週間で判断へ
山口は10月5日時点で、他球団での現役続行を目指すか、野球以外の道に進むかを決めていない。3カ国で野球を続けてきた27歳は、「プロテストもあるので」とも話しており、テストを受けて現役を続ける道も残している。
2022年11月26日の入団会見で、山口は自身のセールスポイントを「ばか力」と答え、新庄監督の印象を「ちょっと僕より格好いい」と表現して笑いを誘った。自ら送った動画から始まった日本での挑戦は、4年で一つの区切りを迎える。次の一歩を、山口はこの数週間で選ぶ。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]








































































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