京王ライナーに「立席」導入へ、10月1日スタート 座席指定料金も見直し

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
京王電鉄は2026年8月20日、座席指定列車「京王ライナー」に新たに「立席」サービスを導入すると発表した。10月1日(木)以降に運行する平日の一部列車が対象で、優先席向かいの簡易腰掛けスペースを3分割し、座席と同様に番号を割り振ったうえで1席400円で発売する。あわせて、これまで一律410円だった座席指定料金も、平日・土休日別、購入方法別に見直される。前売り券の発売は9月24日(木)から始まる。
「立席でも利用したい」という要望に応える新サービス
京王ライナーは、長距離利用者の着席ニーズに応える目的で2018年2月22日に運行を開始した、京王電鉄として初の有料座席指定列車だ。愛称は運行開始前に実施された一般投票で選ばれたもので、通勤・通学利用を中心に定着してきた。運行開始当初は新宿発の夜間下り列車のみで、京王八王子行きと橋本行きが設定された。朝の上り列車が加わったのは1年後の2019年2月22日のダイヤ改正からで、2025年3月のダイヤ改正では高尾山口駅発着の便も新設されている。使用車両はクロスシート・ロングシートを転換できる5000系電車で、京王ライナー運行時は全席指定のクロスシートモードとなり、座席には電源コンセントも備える。
京王電鉄によると、平日のラッシュ時間帯には常時満席となる列車も多く、「立席でも利用したい」という要望が利用者から多数寄せられていたという。京王ライナーは全席が指定席で、座席指定券を持たずに乗車した場合は車内で精算する扱いとなっており、公式サイトでも「着席できない場合がございます」と案内されてきた。ただし、立つ位置をあらかじめ指定して割安に確保できる仕組みはなく、今回はその受け皿を正式に用意する形となる。
立席の仕組みはこうだ。10両編成のうち5号車・7号車を除く号車について、優先席向かいに設けられている簡易腰掛けスペースを3分割し、それぞれの区画に座席と同様の番号を割り振る。5号車・7号車には車いすスペースが設定されているため、立席の対象から外れている。利用者はこの立席の番号を指定して購入することで、座席を確保しなくても、あらかじめ決められた位置に立って対象列車に乗車できるようになる。既存の座席そのものを立席に転用するのではなく、あくまで従来からある簡易腰掛けスペースを活用する点がポイントだ。
対象は平日朝夕の18本、京王線・高尾線・相模原線
立席サービスの対象となるのは、平日に運行される京王ライナーの一部列車で、朝の上り・夕方の下りを合わせて18本にのぼる。
| 路線・方向 | 本数 | 時間帯の目安 |
|---|---|---|
| 京王線(上り・京王八王子発新宿方面) | 4本 | 6時台〜8時台発 |
| 高尾線(上り・高尾山口発新宿方面) | 1本 | 6時台発 |
| 相模原線(上り・橋本発新宿方面) | 5本 | 6時台〜8時台発 |
| 京王線(下り・新宿発京王八王子方面) | 3本 | 18時台〜20時台発 |
| 相模原線(下り・新宿発橋本方面) | 5本 | 18時台〜20時台発 |
具体的には、朝の上りは京王線4号(京王八王子6時03分発、新宿6時48分着)から相模原線42号(橋本8時50分発、新宿9時30分着)まで、夕方の下りは京王線3号(新宿18時00分発)から相模原線45号(新宿20時20分発、橋本20時56分着)までが対象となる。いずれも通勤・通学のピーク帯にあたる列車で、朝は8時台まで、夕方は20時台までの便が対象となっている。対象列車の詳細な時刻表は京王ライナーの公式サイトで確認できる。
立席は400円、購入は京王チケットレスサービス限定
立席の料金は400円(税込み)で、販売は京王チケットレスサービスに限られる。券売機での立席券の発売はない。購入できる時間は、乗車日の7日前7時(優先予約サービス登録者は6時)から、各駅の発車時刻5分前までとなっている。座席指定券が満席になっていない状況でも立席を購入することは可能だが、購入後の立席から座席への変更はできない仕組みで、座席に変更したい場合は一度立席を払い戻したうえで、あらためて座席指定券を購入し直す必要がある。乗車できる場所は指定された立席エリアに限られ、扉付近など指定場所以外での利用はできない。
座席指定料金も細分化、平日は最大600円に
立席導入とあわせて、京王ライナーの座席指定料金も見直される。現行は京王チケットレスサービス・券売機ともに、平日・土休日を問わず一律410円だったが、10月1日以降に運行する列車からは、購入方法と曜日によって料金が細分化される。
| 区分 | 現行 | 改定後(10月1日〜) |
|---|---|---|
| 平日・チケットレス(座席) | 410円 | 500円 |
| 平日・券売機(座席) | 410円 | 600円 |
| 平日・チケットレス(立席) | ― | 400円 |
| 土・休日・チケットレス(座席) | 410円 | 400円 |
| 土・休日・券売機(座席) | 410円 | 500円 |
券売機料金という区分が新設される点も見逃せない変更だ。平日にチケットレスサービスで座席指定券を買う場合は現行から90円の値上げとなる一方、土・休日はチケットレスサービス利用に限り410円から400円へわずかに値下げとなる。なお、座席指定券を持たずに乗車した場合の車内精算額は、現行の700円から300円引き上げられ、10月1日以降は1人につき1,000円となる。土・休日に運行する京王ライナー・Mt.TAKAO号を対象に、大人1人と小人(小学生以下)1人のペアを基本単位として2席1組500円で購入できる「こどもといっしょ割」は、チケットレスサービス限定で同料金のまま据え置かれる。
平日の通勤で毎日チケットレスの座席指定を利用している場合、単純計算では影響も小さくない。仮に月20回、平日の京王ライナーで着席する利用者であれば、現行の410円では月額8,200円だが、10月以降の500円では月額1万円となり、差額は1,800円に達する。一方で、満席のために利用を諦めていた層にとっては、400円の立席という新たな選択肢が加わることになる。京王ライナーの座席指定料金が見直されるのは、2019年10月の消費増税に伴う400円から410円への改定以来、約7年ぶりとなる。
新料金は10月1日以降に運行する列車が対象で、9月24日発売分の前売り券から適用される。
京王ポイントの還元率も1%から2%に増量
座席指定料金の見直しにあわせて、京王チケットレスサービスで優先予約サービスに登録した京王パスポートカードで決済した場合に付与される京王ポイントの還元率も引き上げられる。現行は1席(410円)購入ごとに4ポイント(還元率約1%)だが、10月1日からは購入金額の2%還元に変わる。たとえば平日に500円の座席を購入した場合、新たに10ポイントが付与される計算だ。この変更も、前売りが始まる9月24日決済分から適用される。
優先予約サービスに登録した京王パスポートカードの利用者には、月に4席購入するごとに100ポイントを追加還元する特典もあり、座席の購入開始時刻も一般より1時間早い7日前6時からとなる。チケットレスサービスでの購入や優先予約への登録を後押しする施策といえそうだ。
来年春には対象車両拡大の検討も
京王電鉄は今回の発表にあわせて、2027年春ごろをめどに、一部車両への座席指定サービス導入についても検討を進めていることを明らかにした。対象となる具体的な車両や路線は明らかにされていないが、京王電鉄は発表文で「今後も座席指定サービスのさらなる充実・拡大に取り組むとともに、京王ライナーにおける快適で質の高いサービスを維持・向上させることで、お客さまの利便性向上に努めてまいります」としている。
2018年の運行開始から8年余りが過ぎた京王ライナーは、満席が常態化するほどの需要を集める一方で、着席保証という当初のコンセプトと、立ってでも確実に乗りたいという利用者ニーズの両立を迫られてきた。今回の立席導入と料金改定は、その両立を図るための最初の一手と位置づけられそうだ。前売り券の発売開始となる9月24日以降、実際の利用状況にも注目が集まる。
関連記事:瀬戸大橋線マリンライナー、なぜ強風で運転見合わせが多いのか GW運休事例から構造的理由を読み解く
情報源
**公式**
– 京王電鉄 ニュースリリース「10月1日以降、座席指定列車「京王ライナー」に「立席」を新規導入します あわせて座席指定料金の見直しを行います」(2026年8月20日):https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2026/pdf/nr20260820_keioliner.pdf
– 京王ライナー公式サイト(座席指定サービス):https://www.keio.co.jp/zasekishitei/
– 京王ライナー公式サイト(立席サービス専用ページ・FAQ):https://www.keio.co.jp/zasekishitei/standing/
**大手メディア**
– Impress Watch「京王、座席指定「京王ライナー」に「立席」」:https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2134313.html
– マイナビニュース「「京王ライナー」に「立席」導入へ – 座席指定料金も10月から変更」:https://news.mynavi.jp/article/20260820-4843519/
**専門メディア**
– 鉄道コム「「京王ライナー」に「立席」導入、10月1日から 料金改定も実施」:https://www.tetsudo.com/news/4181/
– 旅行総合研究所タビリス「京王ライナーに「立席」導入へ。座席指定は平日500円、車内購入は1,000円に」:https://tabiris.com/archives/keioliner-tachiseki/
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]































































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