佐藤友祈、アジアパラ車いす100m・400mで2冠 100mは17秒25、伊藤智也は63歳で銅と銀

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の陸上男子100m(車いすT51/T52)決勝が10月21日、名古屋市瑞穂公園陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)であり、佐藤友祈が17秒25の大会新記録で金メダルを手にした。2位は大矢勇気、3位は63歳の伊藤智也で、日本勢が表彰台を独占。佐藤は翌22日の400mも制し、大会2冠を決めている。
佐藤友祈が17秒25の大会新、日本勢が表彰台を独占
決勝は10月21日午前9時42分のスタートだった。車いすのT51とT52の2クラスが一緒に走るレースで、日本、韓国、タイ、バーレーンの4か国から6人が出場。大会公式リザルトによると、6レーンの佐藤友祈(37)=モリサワ=が17秒25でフィニッシュラインを切った。
アジアパラの男子100mのT52は、2018年のジャカルタ大会を伊藤竜也が18秒06で、2023年の杭州大会も伊藤竜也が17秒41で制していた。佐藤の17秒25は杭州の優勝タイムを0秒16上回り、2位の大矢勇気(44)=D2C=にも0秒49の差をつけた。3位は伊藤智也(63)=バイエル薬品=で18秒23。4位のチョン・ジョンデ(韓国)とは0秒12差の争いとなった。
| 順位 | 選手 | 国 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1位(金) | 佐藤友祈 | 日本 | 17秒25(大会新) |
| 2位(銀) | 大矢勇気 | 日本 | 17秒74 |
| 3位(銅) | 伊藤智也 | 日本 | 18秒23 |
| 4位 | チョン・ジョンデ | 韓国 | 18秒35 |
第5回となるアジアパラ競技大会は10月18日から24日まで、愛知県と名古屋市を中心に開かれている。パラ陸上は10月19日から23日までの5日間、すべて瑞穂の競技場で行われる日程で、男子100m(T51/T52)は4日目の午前に組まれた。
T52は、脚や体幹に加えて腕にも障害がある車いすの選手のクラスだ。肩やひじ、手首の力で車いすをこぎ、指の動きには制約がある。そのなかで、100mは一瞬の加速が勝負を分ける。
序盤の遅れを終盤に取り返した佐藤
6レーンの佐藤は、序盤こそ内側のレーンを走る日本勢に後れを取った。それでも後半の伸びで一気に抜け出し、そのままフィニッシュしている。
銀メダルの大矢は兵庫県西宮市出身。16歳のときに転落事故で脊髄を損傷した。23歳で車いす陸上を本格的に始め、2021年の東京パラリンピックでは初出場ながら100m(T52)で17秒18の銀メダルを手にしている。名古屋でも佐藤に続く2着に入り、日本のT52短距離の層の厚さを示した。
佐藤は2026年5月、スイス・ノットビルの大会で100mのアジア記録を塗り替えたばかり。大会公式サイトの記録欄には、そのアジア記録として16秒56が載る。名古屋での17秒25はこの記録に届かなかったものの、大会記録は更新した。400mでも2025年5月にスイス・アルボンで53秒62のアジア記録を出しており、100mと400mの両方でアジア記録を持つ。
東京パラ2冠からの再起、佐藤友祈の歩み
佐藤は1989年9月8日、静岡県藤枝市生まれ。2010年に脊髄炎を発症して車いす生活となり、2012年のロンドンパラリンピックをテレビで見たことが競技を始めるきっかけだった。現在は岡山市を拠点に活動している。
パラリンピックでは2016年のリオデジャネイロ大会で400mと1500mの銀メダル、2021年の東京大会では同じ2種目で金メダルを獲得した。東京の400mは55秒39のパラリンピック新記録で、日本の陸上勢にとってこの大会最初の金メダルとなった。
東京から3年後、2024年のパリ大会では、ベルギーのマキシム・カラバンに敗れ、400mは56秒26で銀、100mは17秒44で銅。T52の100m世界記録16秒01もカラバンが持つ。
巻き返しの足がかりとなったのが、2025年9月27日から10月5日までインド・ニューデリーで開かれた世界パラ陸上競技選手権だった。佐藤はT52の400mと1500mで金メダル、100mで銀メダルを獲得。拠点を置く岡山市は同年10月24日に臨時の表彰式を開き、岡山市人見絹枝スポーツ顕彰の「特別スポーツ栄誉賞」を贈った。岡山市は2023年9月にも、臨時の表彰式で佐藤をたたえていた。
アジアパラには2018年のジャカルタ大会にも出場し、400mと800mで金メダルを獲得した。400mでは1分01秒49の大会記録を残している。名古屋では出場を100mと400mの2種目に絞り、そのどちらも勝った。
63歳の伊藤智也、北京の金から18年
銅メダルの伊藤は1963年8月16日生まれで、三重県鈴鹿市出身。34歳で多発性硬化症を発症し、翌年から陸上競技を始めた。生まれ育った三重県の隣、愛知県で開かれた大会で表彰台に上がった。
2008年の北京パラリンピックでは400mと800mの2種目で金メダル。2012年のロンドン大会では200m、400m、800mで銀メダルを獲得し、いったん現役を退いた。
2017年には東京パラリンピックを目指して復帰を宣言。ところが大会直前、障害がより軽いT53へクラスを変更され、東京では予選で敗れた。
T52に戻って臨んだ2024年のパリ大会では、61歳で400mの銅メダルを手にした。記録は1分01秒08。100mは17秒67で7位だった。名古屋の100mの18秒23は、パリより0秒56遅いタイムとなる。パラリンピックの出場は5大会を数える。
名古屋の100mでは、37歳の佐藤、44歳の大矢と並び、63歳で表彰台の一角を占めている。
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翌22日の400mでも佐藤が金、伊藤は銀
10月22日午前11時19分に始まった男子400m(車いすT51/T52)決勝でも、日本勢が表彰台を独占した。佐藤は55秒42の大会新記録で優勝し、100mと合わせて2冠。自身がジャカルタで出した1分01秒49の大会記録を大きく更新した。55秒42は、東京パラリンピックで金メダルを取ったときの55秒39にあと0秒03まで迫るタイムだ。
| 順位 | 選手 | 国 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1位(金) | 佐藤友祈 | 日本 | 55秒42(大会新) |
| 2位(銀) | 伊藤智也 | 日本 | 1分01秒83 |
| 3位(銅) | 伊藤竜也 | 日本 | 1分03秒69 |
| 4位 | チョン・ジョンデ | 韓国 | 1分04秒46 |
3位の伊藤竜也(40)は、アジアパラの100mを2018年のジャカルタ大会と2023年の杭州大会で連覇した選手だ。日本のT52勢が、2種目続けて表彰台の3つの席を埋めた。
100mで銅だった伊藤智也は、400mで銀に順位を上げた。1分01秒83はパリで銅メダルを取ったときの1分01秒08に近く、63歳でもトラック1周の勝負で2位に入った。10月23日午前9時39分からの男子200m(車いすT51/T52)決勝にも名を連ね、大会3つ目のメダルを狙う。
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2028年には、ロサンゼルス・パラリンピックが控える。パリで敗れたカラバンとの差を、残り2年でどこまで詰めるのか。日本開催のアジアの舞台で2冠をつかみ、佐藤の次の勝負が始まる。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]









































































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