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新妻遼己、出雲駅伝4区で17分10秒の区間新、2位から首位奪取 “令和の三羽ガラス”の1人、早稲田大学1年の経歴

新妻遼己、出雲駅伝4区で17分10秒の区間新、2位から首位奪取 “令和の三羽ガラス”の1人、早稲田大学1年の経歴

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

早稲田大学の新妻遼己(にいづま・はるき、19)が10月12日の第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)で4区(6.2km)を走り、17分10秒の区間新記録を出した。首位の日本大学と9秒差の2位でたすきを受け、1km過ぎで逆転。2位に16秒の差をつけて5区へつないだ。兵庫・西脇工業高校から今春入学した1年生で、早大は2時間5分56秒の大会新記録で16年ぶり3度目の優勝を飾っている。

9秒差を逆転、2位に16秒差をつけた4区

大会は出雲大社前から出雲ドーム前までの6区間45.1kmで行われた。早大は1区の吉倉ナヤブ直希(3年)が7位でつなぎ、2区の本田桜二郎(1年)が6校を抜く区間賞の走りで首位に浮上する。3区の鈴木琉胤(2年)は23分31秒と従来の区間記録を上回ったが、日大のシャドラック・キップケメイ(4年)が22分56秒の区間新で先頭に立ち、早大は2位で4区へ。大会公式記録で見ると、3区終了時点の差は9秒だった。

関連記事:本田桜二郎、出雲駅伝2区で6人抜き区間賞 鳥取城北高校出身、早稲田大学1年の19歳の経歴

前回大会で2位に終わった早大にとって、4区は大会前から勝負の分かれ目とみられていた区間だ。早稲田スポーツ新聞会の展望記事も「勝負分け目の4区」と見出しを立て、新妻の名前を挙げていた。6.2kmと短い区間で、新妻は前を行く日大の首藤海翔(1年)を1km過ぎでとらえ、そのまま前に出た。区間タイムは17分10秒。2025年の前回大会で國學院大學の辻原輝が出した17分20秒を10秒縮める区間新記録となった。

4区を終えた時点の通算タイムは1時間19分21秒。2位の日大に16秒、3位の中央大学に26秒、4位の國學院大に34秒の差をつけた。区間2位の國學院大・野中恒亨も17分14秒で従来の記録を上回っており、新妻はその野中より4秒速かった。区間3位は帝京大学の浅川侑大で17分23秒だった。

「MVP」と花田監督、夏の走り込みが支えに

レース後、花田勝彦監督は新妻を「MVP」とたたえた。新妻は自分の前の区間までいい流れで来ていたと話している。4区を走り終えたあと、まだレースが続くなかでは、2区で区間賞を取った本田の走りに触れて自分も役目を果たさなければと考えていたと明かし、「ちゃんと仕事を果たすことができて良かったです」と振り返った。5区、6区に残る上級生については「とても安心できる先輩方」と呼び、優勝を目指して頑張ってほしいとエールを送っていた。

本田の快走のあと、付き添いを務めた同じ1年生の増子陽太からは、新妻も頑張らないと、と声をかけられていたという。増子、本田、新妻の3人は「令和の三羽ガラス」と呼ばれる早大のルーキーで、この日は本田と新妻の2人が区間を任された。

順風満帆の春夏だったわけではない。トラックシーズンは本田と増子が日本選手権などで結果を出し、新妻は焦りを感じていた。そこで夏はトレーニングに力を注ぐ。花田監督は「夏はチームの中で1、2番くらい走り込めていた」と評価し、新妻自身も「ちゃんと距離を踏んだことが自信につながった」と話している。テレビ中継で解説を務めた瀬古利彦氏も、夏の合宿で今の形になってきたとの見方を示した。

双子の兄として兵庫で育ち、西脇工業高校でインターハイ優勝

新妻は2007年5月17日生まれで、兵庫県出身。中学時代は双子の弟・昂己とともに加古川市立平岡中学校で走り、2年生だった2021年11月の全国都道府県対抗男子駅伝の兵庫県中学生代表選考会では、3000mで8分40秒24の1位に入った。2位は8分45秒31の昂己で、兄弟でワンツーフィニッシュを決めている。その3日前の11月20日、豊岡市日高町で行われた兵庫県中学駅伝でも、新妻は男子4区を9分18秒で走り、コース歴代最高タイムを出していた。

高校は長距離の名門、兵庫県立西脇工業高等学校に進んだ。2年生だった2024年はインターハイ5000mで6位、記録は高校2年歴代4位の13分41秒68だった。

3年生の2025年夏、広島インターハイで大きな結果を残す。1500mは3分40秒83で2位。5000mでは13分50秒05で優勝し、1992年の中原大輔(鳥取・由良育英高)以来となる日本人選手の優勝を果たした。「世界を目指すのであれば優勝というのはしないといけないと思っていた」と語っている。終盤まで競り合ったのは仙台育英高の菅野元太と学法石川高の栗村凌。そのうち菅野は創価大に進み、この日の出雲で1区を走った。秋の滋賀国民スポーツ大会でも5000mを制し、インターハイとの2冠を手にした。

12月の全国高校駅伝では、エース区間の1区で学法石川高の増子、鳥取城北高の本田と先頭を争い、区間2位で走った。3人はいずれも早大に進んでいる。チームは6位入賞で、主将を務めたのは弟の昂己だった。

U20世界選手権を経て、大学駅伝デビューで区間新

2026年1月10日には、米国タラハシーで開かれた世界クロスカントリー選手権のU20男子(8km)に日本代表として出場し、24分31秒の15位に入った。中間点まで先頭集団についていく走りだった。

早大ではスポーツ科学部に進み、競走部の長距離ブロックに所属する。4月5日の東京六大学対校陸上で臙脂(えんじ)のユニホームを初めて着ると、5000mを13分54秒91で制した。5月には香港で開かれたU20アジア選手権の1500mに出場し、決勝で3分51秒72の5位だった。6月の日本選手権では5000mの予選に出場し、13分58秒97の組17着で決勝には進めなかった。8月に米国オレゴン州で開かれたU20世界選手権では男子3000mに出場する。ケニア勢がスタート直後から飛び出す展開のなか、本田とともに第3集団で入り、終盤に引き離されながらも自己ベストの7分54秒30で11位に入った。同じレースで本田は銅メダルを手にしている。

自己ベストは1500mが3分40秒83、5000mが13分35秒33。競走部のプロフィールには「国際大会でのメダル獲得を目指して頑張ります。」と目標を記している。

早大は4区間で区間賞、次は全日本と箱根へ

新妻からたすきを受けた5区の山口竣平(3年)も17分35秒の区間新で首位を守り、6区の工藤慎作(4年)が29分00秒の区間賞でフィニッシュした。早大は2区の本田、4区の新妻、5区の山口、6区の工藤の4区間で区間賞。2位の國學院大に58秒差をつけ、駒澤大学が第35回大会で出した2時間7分51秒を1分55秒上回る大会新記録で、2010年度以来の頂点に立った。

関連記事:出雲駅伝、早大・花田監督「国学院大学は今回も大本命と思う」 16年ぶり優勝へ1区吉倉ナヤブ直希、アンカー工藤慎作

大学三大駅伝は、このあと全日本大学駅伝、箱根駅伝と続く。新妻は「自分たちの代は高校だけじゃないんだぞ、というところを見せていけたら」と話した。高校時代に競い合った3人が、同じ臙脂のユニホームで次の駅伝に向かう。

[文/構成 by スポーツライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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