山口竣平、昨年の疲労骨折を経て出雲駅伝5区で区間新 従来記録を8秒更新した早稲田大学3年、佐久長聖高校出身の経歴

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
10月12日の第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走で、早稲田大学3年の山口竣平(20)が5区(6.4キロ)を17分35秒で走り、区間新記録をマークした。従来の区間記録を8秒更新し、2位との差を23秒に広げて最終6区へ。1年前は左大腿骨の疲労骨折でこの大会を欠場しており、その舞台で区間賞を手にした。
10年残った区間記録を8秒更新、23秒のリードで6区へ
5区の従来の区間記録は、第28回大会(2016年)で青山学院大学の安藤悠哉が出した17分43秒。山口はこれを8秒縮める17分35秒で走り、区間1位となった。大会公式記録によると、10年にわたって残っていた記録をこの日の5区で上回った選手は5人いた。アイビーリーグ選抜のデレク・アミコンが17分36秒、國學院大學の飯國新太が17分39秒、中大の柴田大地が17分41秒、日大の長澤辰朗が17分42秒と続き、1秒差でトップを守ったのが山口だった。
タスキを受けたのは首位。4区では1年生の新妻遼己が区間新の17分10秒で2位から首位に立ち、2位の日本大学とは16秒差だった。山口はこの差を23秒に広げ、5区終了時点の通算タイムは1時間36分56秒。2位の日大(1時間37分19秒)、3位の中央大学(1時間37分28秒)を従えて、アンカーの工藤慎作(4年)へつないだ。
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工藤も6区(10.2キロ)を29分00秒の区間1位で走り切る。早大は2時間5分56秒でフィニッシュし、駒澤大学が第35回大会で出した2時間7分51秒の大会記録を1分55秒更新した。16年ぶり3度目の優勝となった。
この大会は暑さ対策でスタート時刻が9時10分に早まり、上位7チームが従来の大会記録より速くゴールする高速レースになった。それでも5区で山口より速く走った選手はいない。
体調を崩しても「先輩として恥ずかしい走りはできない」
レース前、山口は万全ではなかった。レース後の取材で、大会前に体調を崩していたことを明かし、「区間3位ぐらいでいいかなと思ってた」と語っている。
気持ちを変えたのは後輩たちの走りだった。2区の本田桜二郎(1年)が区間賞、4区の新妻が区間新。1年生2人が結果を出す姿を見て、「先輩として恥ずかしい走りはできないなというのが率直な気持ち」と奮い立ったという。
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入りは想定の1キロ2分40秒前後より速く、途中で「もう歩きたくなった」と笑うほど苦しくなった。それでも「後輩のおかげで最後粘れて、区間新を取れたかなと思います」と話し、レース後は「相当なプレッシャーがかかっていたんですけど、しっかり結果を残せて、とりあえず一安心してます」と胸をなで下ろした。
シーズンの初めから、工藤と花田勝彦監督を「男にしたい」と口にしていた。学生3大駅伝の初戦を取り、「とりあえず1個、男にできたので、あとは2個、男にできればなと思います」と続けた。
2025年秋、左大腿骨の疲労骨折で出雲と全日本を欠場
1年前の秋は、レースに出ることさえできなかった。
2025年12月に公開された本人へのインタビュー記事によると、2025年9月中旬の菅平合宿の終盤に左脚に痛みが走り、その後も練習を続けていた。出雲駅伝の4日前にMRI検査を受けたところ、左大腿骨の疲労骨折がわかる。2025年の出雲駅伝、全日本大学駅伝はいずれも欠場し、全日本ではチームに同行してサポートに回った。
早大はその出雲で2位。本人は同じ取材に「出雲は、自分のチームなのに応援できなかった」と明かし、骨折がわかったときについては「逆に、折れているのがわかって安心しました」と語っている。
約2週間は走らずに治療に専念し、そこから少しずつ練習を再開した。12月13日の合同取材では「今の状態としては4割、5割ぐらいなので走れるかわかりません」と話していたが、2026年1月の箱根駅伝では前年と同じ3区を任された。チームは往路2位、総合4位。けがの影響もあり、この年度の駅伝は箱根の1レースだけだった。
都大路で日本一、箱根3区で6人抜きした経歴
山口は2006年1月15日生まれ。長野県の佐久長聖高等学校の出身で、早稲田大学ではスポーツ科学部に在籍する。
高校時代から全国トップクラスのランナーだった。5000メートルで高校歴代5位(当時)となる13分34秒59をマークし、3年時の2023年12月の全国高校駅伝では、2時間1分00秒の大会新記録で6年ぶり3度目の優勝を飾った佐久長聖で3区を走り、日本人トップの区間3位(23分21秒)でチームを首位に押し上げた。2024年1月の全国都道府県対抗男子駅伝では長野県チームの5区を走って区間賞を手にしている。
早大入学後は1年目から主力となった。2024年11月の全日本大学駅伝では当日変更で5区に入って区間3位、2025年1月の箱根駅伝では各校の主力が集まる3区で6人を抜き、1時間1分15秒の区間3位と好走した。
けがから戻った2026年は、トラックで記録を伸ばしている。4月24日に平塚で行われた日本学生対校選手権(日本インカレ)の男子1万メートルを27分59秒47で制し、学生日本一に。大会の1〜2週間前には左脚に痛みを覚えてMRI検査を受け、本人いわく「欠場届を書いていた」状態だったが、自ら先頭を引っ張り、4000メートル付近から独走した。10日後のゴールデンゲームズinのべおかでは5000メートルで5着に入り、13分29秒72の自己ベストを出す。さらに7月4日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会では13分17秒19まで縮めた。早稲田大学競技スポーツセンターのサイトは、この記録を日本人学生歴代4位と紹介している。
| 時期 | 大会 | 結果 |
|---|---|---|
| 2023年12月 | 全国高校駅伝(佐久長聖高3年) | チーム優勝(大会新) |
| 2024年1月 | 全国都道府県対抗男子駅伝 | 5区区間賞 |
| 2025年1月 | 箱根駅伝(早大1年) | 3区区間3位、6人抜き |
| 2025年10〜11月 | 出雲駅伝・全日本大学駅伝 | 左大腿骨の疲労骨折で欠場 |
| 2026年4月 | 日本インカレ1万メートル | 優勝(27分59秒47) |
| 2026年7月 | ホクレン千歳大会5000メートル | 13分17秒19 |
| 2026年10月 | 出雲駅伝5区 | 区間新(17分35秒)、チーム優勝 |
「準エースぐらいでいい」3年生が狙う残り2つの駅伝
早大には、本田や新妻、3区で区間新をマークした鈴木琉胤ら力のある下級生がそろう。日本インカレを制した直後でさえ、山口はレース後の囲み取材で「正直、早稲田のエースというよりかは、準エースぐらいでいいかなと僕は思っています」と話していた。
肩書きにこだわらないぶん、仕事ははっきりしている。首位で受けたタスキを、差を広げて次へ渡すこと。出雲の5区で、山口はその役目をやり遂げた。花田監督は優勝インタビューで「圧倒的な個を作るためにやってきた」と語った。1年生の区間賞に3年生の区間新が重なり、4区から6区まで3人続けて区間1位。監督の言う「個」の力が、6区間のうち4区間の区間賞という結果に表れた。
学生3大駅伝の残りは全日本大学駅伝と箱根駅伝だ。1年前は応援することもできなかったチームで、今度は「あと2個」の優勝を目指して走る。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]













































































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