芦田愛菜『南田南弁護士は天才肌』と原作『ウ・ヨンウ』の違い パク・ウンビンとの演じ方の差、回転扉→エスカレーターなど初回の変更点を整理

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
芦田愛菜(22)が主演するカンテレ・フジテレビ系の月曜ドラマ『南田南弁護士は天才肌』が10月19日に始まり、初回の世帯視聴率は7.4%だった。原作は2022年の韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。本記事では、初回で見えた原作との違いと、原作でウ・ヨンウを演じたパク・ウンビンと芦田の演じ方の差に絞って整理する。主人公は自閉スペクトラム症の新人弁護士で、どちらの演技が上かを決める比較ではない。
『南田南弁護士は天才肌』初回視聴率は7.4% 原作『ウ・ヨンウ』の日本版リメーク
第1話は10月19日の午後10時から放送され、ビデオリサーチ調べ(関東地区)で世帯7.4%、個人3.9%を記録した。放送枠は毎週月曜よる10時。見逃し配信はTVerとカンテレドーガで行い、Netflixでも最新話まで配信している。
主人公の南田南(芦田愛菜)は、東京大学法学部を首席で卒業し、司法試験にもトップで合格した新人弁護士だ。自閉スペクトラム症への偏見から採用が決まらずにいたが、広川凪沙(平岩紙)が代表を務める「広川・ハワード法律事務所」に入る。指導役のパートナー弁護士・宮地賢吾を山口馬木也、パラリーガルの船井湊人を高橋文哉、父・南田誠を角田晃広が演じ、細田佳央太、久保史緒里、柿原りんかも出演する。
脚本は田辺茂範とモラルの2人。演出には三宅喜重、安川有果らが名を連ね、主題歌はmuqueの「いいんじゃない」が流れる。
原作の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は2022年に韓国で放送された全16話のドラマで、Netflixの配信をきっかけに世界的なヒット作となった。主演のパク・ウンビンは2023年の第59回百想芸術大賞でテレビ部門の大賞を受け、同作は演出賞も手にしている。日本版はこの作品をもとに、舞台を日本に移して作り直したリメーク版にあたる。
原作との違いは?回転扉がエスカレーターに、キンパはおむすびに
物語の大枠は原作に沿う。初回で南が担当したのは、認知症の夫を介護していた妻がアイロンで夫を殴り、殺人未遂の罪に問われた事件で、原作の第1話と同じ題材だった。宮地は執行猶予を狙うよう指示するが、南は無罪を主張すると言い出す。
一方で、固有名詞や生活の細部は日本に合わせて置き換えた。主な違いは次のとおりだ。
| 項目 | 原作『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』 | 日本版『南田南弁護士は天才肌』 |
|---|---|---|
| 主人公 | ウ・ヨンウ(パク・ウンビン) | 南田南(芦田愛菜) |
| 名前の回文 | 「ウ・ヨンウ」は逆から読んでも同じ | 「みなみだみなみ」は上から読んでも下から読んでも同じ |
| 出身大学 | ソウル大学 | 東京大学 |
| 勤務先 | ハンバダ法律事務所 | 広川・ハワード法律事務所 |
| 父の店 | キンパ(韓国ののり巻き)の店 | おむすび店 |
| 初出勤で立ち止まる場所 | 回転扉 | エスカレーター |
| 手助けする同僚 | イ・ジュノ(カン・テオ) | 船井湊人(高橋文哉) |
クジラが大好きで、話し出すと止まらない設定は原作と共通だ。おかっぱのボブヘアや、原作を思わせる衣装も日本版に引き継がれている。
回転扉がエスカレーターに リズムで乗る場面は原作どおり
初回でとくに話題になったのが、初出勤の場面だ。原作のウ・ヨンウは事務所ビルの回転扉をうまく通れずに立ち止まり、イ・ジュノがリズムを取って通り抜ける手助けをする。日本版では、この回転扉がエスカレーターに変わった。
エスカレーターの前で立ちすくむ南に、湊人は「階段にご案内しましょうか?」と声をかけ、非常階段へ案内する。その後、事務所を出る際に再びエスカレーターの前に立った南に、湊人は「タイミングさえ掴めれば乗れないですかね?」と持ちかけ、「ズンチャッチャ、トンチャッチャ」とリズムを刻みながら、2人でエスカレーターに乗った。リズムに合わせて踏み出す作りは原作を踏襲している。
乗れた喜びを、南は「なんだか深く海の底に潜っていくみたいです!」と言葉にした。エスカレーターに置き換えた日本版ならではの場面で、クジラ好きの南らしい言葉が添えられた。
「上から読んでも下から読んでも南田南」 名前の回文も日本語に
原作のウ・ヨンウは、名前が逆から読んでも同じになることを自己紹介に使う。日本版では主人公の名前を「南田南(みなみだ・みなみ)」とし、読みだけでなく漢字の並びも左右対称になるよう工夫した。
カンテレの公式Xは9月に予告映像を公開した際、「上から読んでも下から読んでも南田南」という自己紹介の一言を前面に出した。原作の名乗り方を、日本語の回文で置き換えている。
芦田愛菜とパク・ウンビン、演じ方の違いは「視線」と「姿勢」
放送前から、日本版は原作と見比べられてきた。とくに目を引くのは、2人の視線と体の向きの違いだ。
パク・ウンビンのウ・ヨンウは、猫背気味で視線を外す
原作のパク・ウンビンが演じたウ・ヨンウは、少し猫背気味の姿勢と相手から外れる視線によって、人との距離を探っているように見える、との評がある。言葉がたどたどしくなる場面もあった。
芦田愛菜の南は、姿勢がよく相手のほうを向く
芦田の南は、背筋が伸び、相手に正面から向き合う印象が強い。ただし目は合わせない。南は人の目を見ることが苦手な人物で、芦田は撮影中、相手の目を見ないように演じているという。完成した第1話を見て、初めて共演者の表情をしっかり確かめたと明かしている。
体は相手のほうへ向けながら、視線は合わない。パク・ウンビンの「視線を外す」演技とは別の形で、人と目を合わせにくい南を表した。
おかっぱ頭や、指を大きく開いて動かす癖など、原作から受け継いだ所作も多い。原作のウ・ヨンウが好奇心に満ちた澄んだ眼差しを見せるのに対し、南の目はまっすぐで芯の強さを感じさせる、とする見方もある。
敬語で話す南 芦田「全く同じようにというわけではなく」
話し方にも違いがある。南は敬語で話す人物で、芦田はインタビューでその難しさをこう語った。
「南は敬語で話をします。でも日本語の敬語って、ある意味少し本音が隠れてしまうように感じるというか、すごく整った印象になるんです。」
脚本の文字面から得られる情報が少ないため、「どうしてこれを言ったんだろう」と深く考える必要があったという。パク・ウンビンについては「本当に可愛らしくて素敵な人間」と敬意を示しつつ、「全く同じようにというわけではなく、私らしい、南らしい作品の軸となれるようなキャラクターを作るためのインスピレーションはすごくいただいています」と明かした。
初めての法廷の場面は「南がどのくらい言葉に思いをのせるのか、その感情が表情に表れるのか、かなり悩んで、何度も挑戦させていただいたシーン」だった。湊人役の高橋とは、2人の距離の縮め方やシーンの見せ方を、プロデューサーや監督、監修者と相談しながら撮影を進めている。
特性の表れ方には個人差がある
視線を外すか、相手に体を向けるか。2人の違いを「どちらが正しいか」で測るのは筋が違う。自閉スペクトラム症の特性の表れ方は一人ひとり異なり、自治体の発達障害の解説でもそう説明されている。
比べられているのは特性の表し方の正誤ではなく、2人の俳優がそれぞれの主人公をどう表現したかだ。
「日本版はエスカレーターなんだ!」SNSの反応 高橋文哉を原作のイ・ジュノに重ねる声も
エスカレーターへの変更には、「日本版はエスカレーターなんだ!」「良き変更でワクワク」「想像を遥かに超えてきた」と、アレンジを楽しむ投稿が相次いだ。湊人の手助けには「寄り添い方がかっこいい」「原作と重なる」と反応が集まり、高橋には「完全に高橋文哉がイ・ジュノ」と、原作のイ・ジュノに重ねる投稿も出た。
芦田の演技には「引き込まれる」「やっぱり天才だ…」「セリフ量エグいな…」と称賛が並ぶ。
一方、9月に予告映像が出た段階では、はきはきとした芦田の話し方に「大分まろやかになってて…なんというか…少し違う」と戸惑う原作ファンもいた。放送後も、動作が原作の演技を意識しすぎているという感想がある。韓国でも日本版が報じられ、原作の再現度に目を留める反応と、物足りなさを口にする反応に分かれた。
第2話は10月26日放送 原作と同じ「結婚式」の訴訟へ
第2話は10月26日(月)よる10時に放送される。大手食品会社の会長が、娘の結婚式でドレスがずり落ちたとして、式場のホテルに1億円の損害賠償を求める依頼が舞い込む。ホテル側は挙式費用3000万円の全額返金を申し出るが、会長の怒りは収まらない。
事務所は依頼を引き受け、ホテルへの潜入調査に乗り出す。直前のアクシデントで、急きょ南が湊人の婚約者役を務めることになる。結婚式でのドレスの事故をめぐる訴訟は、原作の第2話と同じ題材にあたる。
原作の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、Netflixで全16話を配信中だ。日本版がどこを残し、どこを変えるのか。2話目以降も、原作との見比べは続く。
関連記事:高橋文哉、吉高由里子は「本番の1秒前まで笑ってる」 蒼井優とあわせ「かっこいいなと思った」
[ 文/構成 by 望月 りん子 ]







































































コメントはこちら