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佐藤輝明、阪神がポスティング移籍を正式容認 三冠王のメジャー挑戦を球団が後押し

佐藤輝明、阪神がポスティング移籍を正式容認 三冠王のメジャー挑戦を球団が後押し

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阪神は10月19日、佐藤輝明内野手(27)がポスティングシステムで米大リーグへ移籍することを認めると発表した。兵庫県西宮市内の球団施設で嶌村聡球団本部長が会見し、来シーズンからのMLB挑戦を球団として後押しすると明言。今季は打率3割6厘、39本塁打、106打点でプロ野球史上9人目の三冠王に輝いた主砲が、11月1日に始まる申請手続きを経てメジャー球団との交渉に臨む。

嶌村本部長が会見で明言「ポスティング移籍を容認」

発表は、CSファイナルステージ敗退から2日後の10月19日だった。会見で、嶌村本部長は、佐藤がかねて希望していた来シーズンからのMLB挑戦を後押しすると表明。続けて、球団としてポスティング移籍を「容認することといたしました」と言い切った。

佐藤も球団を通じてコメントを出している。「この度、自分の思いを尊重していただいた球団に、感謝しています。タイガースでプレーする中で、チームメイトと過ごした日々は本当に楽しかったですし、ファンの皆様の温かいご声援にも、心から感謝しています。これからも応援よろしくお願いします」。

阪神がポスティングでの大リーグ移籍を認めるのは、2006年の井川慶、2022年の藤浪晋太郎、2024年の青柳晃洋に続いて4人目となった。過去の3人はいずれも投手で、野手は佐藤が初めてだ。

「難しい決断」の裏にあった2つの判断材料

球団にとって軽い判断ではなかった。嶌村本部長は「この決断は球団にとっても、非常に重く、かなり難しい決断であった」と打ち明け、決断に至った理由を2つ挙げた。

1つ目は、誰もが認める成績を残したことだった。佐藤は2025年に40本塁打、102打点で本塁打と打点の2冠を手にし、セ・リーグMVPにも選ばれている。今季はその上を行く三冠王。本部長は藤浪、青柳を容認したときにも「選手の強い要望だけで、それだけで容認するということはない」と話していたと振り返り、ポイントは周囲に後押ししてもらえる状況や環境が整ったかどうかだったと説明した。そのうえで「この6年間、特に今年を踏まえて、ある一定の水準にまで届いたと捉えました」と語っている。

FA権の取得を待たずに送り出すことへの葛藤も隠さなかった。「FAを待たず、ポスティングでの移籍を容認することで、声援をちょうだいしているファンの皆さんにどう感じてもらえるか」。監督やチーム、来季以降の編成まで考え、気持ちが揺れる日々を過ごしたという。

2つ目に挙げたのが、プロ野球選手全体の意識の変化だ。メジャーを目指す日本人選手が増え、国内外を問わず他球団へ移る心理的なハードルも以前より下がったとの見方を示した。会見では、2025年オフにポスティングで海を渡った村上宗隆(ホワイトソックス)と岡本和真(ブルージェイズ)の名前を挙げ、「佐藤くんも劣ってないし、頑張ってほしい」と送り出す言葉を口にした。

「この球団の決断というのは、いろいろ賛否両論あると私は思っています」。本部長はそう前置きしつつ、「彼の新たなキャリアを築くために必要な決断」だったと言い切った。

史上9人目の三冠王、6年で3度のリーグ優勝

送り出す選手の数字を確かめておく。NPBの公式記録によると、佐藤の今季成績は全143試合に出場して打率3割6厘、39本塁打、106打点。打率は2位に1分3厘、本塁打は2位の森下翔太(35本)に4本、打点は2位の大山悠輔(85打点)に21打点の差をつけ、セ・リーグの打撃3部門すべてで1位となった。得点100、出塁率3割8分3厘、長打率6割9厘という数字も並ぶ。

三冠王はプロ野球史上9人目で、阪神では1986年のランディ・バース以来40年ぶり。日本人選手としては球団初の達成となる。レギュラーシーズン最終戦は10月8日で、全日程を終えた時点でタイトルが確定した。

兵庫県西宮市出身の佐藤は、仁川学院高から近畿大を経て、2020年のドラフト1位で阪神に入団した。この年のドラフトでは4球団が1位で競合し、抽選で阪神が交渉権を引き当てている。入団後の6年間でチームは2023年、2025年、2026年と3度リーグを制し、2023年には38年ぶりの日本一にも輝いた。今季は球団初のセ・リーグ連覇の中心にいた。

メジャー志向を球団に伝えたのは、2024年12月の契約更改の席だった。アマチュア時代から大リーグに強い関心を持ち、ドジャースのムーキー・ベッツらと同じ代理人事務所「VCスポーツグループ」の支援を受けながら、球団と継続して話し合いを重ねてきた。約2年をかけて、ようやく道が開いた。

関連記事:佐藤輝明、メジャー挑戦問われ「何も言えない」 阪神はポスティング容認を検討、海外FAは最短2029年

ポスティングの仕組みと今後の日程

ポスティングシステムは、海外FA権を持たない選手が所属球団の承認を得て大リーグへ移る制度だ。申請するかどうかを決めるのは球団で、佐藤のように選手が希望していても球団が認めなければ使えない。阪神は今後、日米間選手契約に関する協定に沿って申請を進める。申請手続きは11月1日に始まり、12月15日が締め切りとされている。

申請が受理されると、選手は大リーグ機構を通じて全30球団に契約可能選手として通知され、そこから45日間、どの球団とも交渉できる。期間内に合意できなければ阪神に戻り、次のオフまで再び申請することはできない。佐藤は25歳以上で、海外のプロリーグで6シーズン以上プレーしているため、契約金に上限が設けられる「国際ボーナスプール」の対象外となり、条件の制約を受けずに契約できる。

阪神に支払われる譲渡金は、メジャー球団と結ぶ契約の保証額で決まる。保証額のうち2500万ドルまでの部分に20%、2500万ドル超5000万ドルまでの部分に17.5%、5000万ドルを超える部分に15%をかけ、その合計が譲渡金となる仕組みだ。大型契約になるほど、阪神が受け取る額も大きくなる。

気になるのは時期だ。大リーグの現行の労使協定は12月1日(日本時間2日)に失効する。新たな協定の交渉が長引けば、移籍市場の動きにも影響が出かねない。報道によると、佐藤は11月中に渡米してトレーニングを始め、早期の移籍に備える見通しだ。

米国では、すでに10球団以上が興味を示していると報じられている。2025年に本塁打と打点の2冠とMVP、2026年に三冠王。2年続けて結果を残した左の長距離砲が、どの球団のユニホームを着るのか。交渉の行方は、11月以降の申請のタイミングにかかる。

関連記事:FA有資格者104人をNPBが公示 2026年の新規国内FA権は森下暢仁・周東佑京ら21人

[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]

寄稿者

高瀬翔吾
Webメディアでスポーツ、エンタメ、時事ニュースなど、累計数千本の記事制作に携わってきたスポーツ系ライター。野球分野では、プロ野球の試合結果や選手の記録をはじめ、MLB、高校野球、ドラフト、移籍、契約更改などの記事を継続的に担当。数字や公式記録を基に情報を整理する記事を得意としており、結果を伝えるだけでなく、その記録が持つ意味や、選手・球団を取り巻く背景までわかりやすく解説することを心がけている。主な執筆分野は、プロ野球、MLB、高校野球、侍ジャパン、ドラフト、移籍情報。

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