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「タトゥー99%バカ」の彫り師しげち、2年分の予約を最後に引退へ 茨城の店は新規受付を停止、発言後に客層が一変しても辞める理由

「タトゥー99%バカ」の彫り師しげち、2年分の予約を最後に引退へ 茨城の店は新規受付を停止、発言後に客層が一変しても辞める理由

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

茨城県でタトゥースタジオを営む彫り師でYouTuberのしげちが10月28日、自身のYouTubeチャンネルで彫り師を辞める意向を明かした。8月の「客の99%はバカ」という趣旨の動画が広まった後、店の予約は約2年分埋まり、新規の受付はすでに止めている。辞める理由は「もう人のために生きたくない」だった。

しげちのタトゥー店、予約2年分を最後に新規受付を停止

しげちは10月28日朝、「動画が原因で23年続けた彫師を辞めることになりました」と題した約9分の動画をYouTubeに公開した。茨城県で営むタトゥースタジオの予約がおよそ2年先まで埋まり、その予約をこなし終えたところで彫り師を辞めるという内容で、11月2日時点で再生回数は約52万回に上る。

同チャンネルの動画の説明欄には、この動画を含めて「※動画の内容はフィクションです」という一文が共通して添えられている。

そのうえで、本人は動画で「この予約さばき切ったら絶対」「ほぼ100%やめる」と話している。新しい予約はすでに受け付けておらず、Googleの店舗情報やスタジオのSNSに載せていた連絡先なども控え、いったん休業に近い形で店への連絡手段を切ったと説明した。

予約を止めた背景には、2年より先の約束を抱えることへのためらいがある。「2年以上先ってなると、そもそも僕が生きてるのかすらもうわかんない」と語り、自分が倒れれば2年分の客を悲しませてしまうとして、これ以上は受けられないと判断した。

ファンへの呼びかけもはっきりしていた。「もうこれ以上予約は多分一生取らない」としたうえで、「3年4年待ってもいいんでやってほしいですっていう問い合わせ、絶対してこないでください」と念を押した。最後の施術がいつになるのか、残る予約が何件あるのかは明らかにしていない。

「99%バカ」発言から何が起きたのか 店の電話は前月比666%増

発端は8月4日に投稿した動画だった。しげちは偉そうな口調の問い合わせ電話や無断キャンセルなどを例に、自分の店に来る客の99%は「バカ」だと言い切り、Xでは同調する投稿と反発する投稿が入り交じった。美容外科医の高須幹弥氏もYouTubeで反論している。しげちは8月11日に謝罪の動画を出した。同じ8月には、自宅の敷地へ男性3人が入り込み、警察が出動する騒ぎもあったと報じられた。

関連記事:彫師YouTuber・しげちとはどんな人なのか「タトゥー入れてるやつは99%バカ」でバズった42歳・茨城在住…全身タトゥーの裏にある意外な経歴と人柄とは

引退を明かした動画は、その後の店の変化を数字で見せるところから始まる。Googleに店を載せている事業者に毎月届くデータで、検索結果から店に電話をかけた件数は前月比666%増、地図での道順検索は2334%増、店のウェブサイトへの移動は3268%増。本人は「こんな数字見たことないですからね」と驚き、「YouTubeの効果」だと語った。

電話は鳴りやまない状態が続いたという。本人によると、世間では客をあれほど悪く言う人の店はすぐ潰れるだろうといった意見も多かったが、結果は逆だった。動画を見て「この人にタトゥーを彫ってほしい」と考えた人の予約が、2年分たまったのだ。

客層は「逆になってしまった」 ヤンキー中心から丁寧な問い合わせへ

変わったのは数だけではなかった。

「すごいいい人増えたんですよ」。しげちによると、これまで店に来ていたのはヤンキーの客が中心だったが、最近は「YouTubeの方を拝見させていただきました」と前置きし、予約の空きを丁寧に尋ねる問い合わせが多いという。本人は「客層が逆になってしまいました」と笑い、動画を楽しみにしていた視聴者に向けて「もううちにヤンキーは来なそうです」とおどけてみせた。

客層が良くなり、予約も2年分埋まる。本人も「めちゃめちゃいいこと」と認めている。一方で、最初から狙った結果とは考えていない。これを戦略的にやっていたなら相当な切れ者だろうとしつつ、自分は「そんな頭良くない」として「たまたま」だと強調した。

引退の理由は「もう人のために生きたくない」 FIREと愛犬との時間

仕事の依頼は途切れず、客層も良くなった。それでも辞めるのはなぜか。

本人の説明では、彫り師の仕事にはそれほど本腰を入れていなかった。すでにFIRE(十分な資産を築き、早めに仕事から離れること)を果たしており、「趣味半分でタトゥー屋もちょろちょろやってたような感じ」だったという。10月12日の動画では、YouTubeの1か月の収益について、規約上はっきりした額は言えないとしたうえで「およそ800万」と明かしていた。

大きいのは愛犬の存在だ。動画では、愛犬と過ごす時間こそが自分の幸せで「このために生きてる」と語り、その時間を削ってまでタトゥーを彫りたい、お金がほしいとは思わないと話した。予約を毎日詰め込むのではなく、自分のペースで2年分をこなしていくという。

そのうえで口にしたのが、次の言葉だった。

「予約が溜まってるっていう状況は、少なからず人のために生きちゃってるじゃん。もう人のために生きたくないんですよ、僕」

彫る仕事そのものへの愛着は残る。動画の終盤では「タトゥー彫るのも好きだから。ほとんど趣味みたいなもん」と語り、好きなことでお金をもらえるのは嬉しいとしながら、「ちょっとめんどくせえなっていう気持ちもある」と本音ものぞかせた。

YouTubeは続けるのか 10月12日の動画で語っていたこと

辞めるのは彫り師の仕事だ。引退を明かした動画で、YouTubeの活動をやめるとは話しておらず、いつまで続けるかも明らかにしていない。

手がかりは10月12日の動画にある。しげちは本人いわく7年続けてきたYouTubeについて、もともとやめるつもりで撮りためた動画を順に出していたところ、最後の3本のうち1本が大きく伸びたと説明し、「神様がくれたプレゼント」と表現した。「いつかはYouTubeもやめようとは思っている」と語る一方、毎月お金を払って応援してくれるメンバーシップの会員のために「動画をあげ続けたい」とも話していた。

報道によると、引退表明を受けてXでは、最後の予約客をうらやむ投稿や、2年も先では来ない客が多そうだと見る投稿が寄せられた。

引退を明かした動画の最後、しげちは商売で勝てたのは動画を見ている人たちが「僕の価値に気づいてくれたから」だと語った。8月の発言からおよそ3か月。新規の受付を止めた茨城の店で、2年分の予約を自分のペースでこなしていく日々が続く。

[文/構成 by ライター ミヅキ]

寄稿者

ミヅキ
Xで今どんな話題が盛り上がっているかを追いかけるのが日課のWebライター、ミヅキです。SNS発のニュースやネットの反応、思わぬ形でバズった出来事を中心に担当しています。紹介する投稿は本人や公式のものかを確かめてから扱い、反応を大げさに盛らないのが自分ルール。トレンド欄を眺めながら飲むカフェラテが一日の始まりです。

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