石川遼の父が社長”名門ゴルフ場”での19歳研修生パワハラ自殺問題 遺族が1億円提訴「息子は悪くないと証明したい」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
福島県棚倉町のゴルフ場「棚倉田舎倶楽部」で2022年、プロゴルファーを目指していた19歳の研修生が自殺した問題で、遺族が2026年8月21日、運営会社や元上司に約1億200万円の損害賠償を求めて福島地裁いわき支部に提訴した。白河労働基準監督署は2025年3月、上司らの行為をパワハラと認定し労災決定を下している。運営会社「棚倉開発」の社長はプロゴルファー石川遼の父・石川勝美氏だ。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
遺族が約1億円の損害賠償を求め提訴
2026年8月21日、19歳で命を絶った男性の両親が福島地裁いわき支部に訴訟を起こした。被告はゴルフ場の運営会社「棚倉開発」、当時の支配人、指導係だった先輩研修生の3者で、請求額は計約1億200万円にのぼる。
訴状によると、男性は高校卒業直後の2021年3月に棚倉開発へ入社した。プロテスト合格を夢見て、福島県棚倉町にある「棚倉田舎倶楽部」の寮に住み込みながら、日中はボール拾いやキャディーなどの業務をこなし、勤務の前後にゴルフの練習を重ねる日々を送っていた。
入社から数カ月後、当時の支配人や先輩研修生から「バカ」「家に帰れ、会社に来なくていい」といった暴言を浴びせられるようになる。叱責は次第にエスカレートし、亡くなる直前の2022年4月から6月にかけては週2~3回、毎回1時間程度に及んだ。2時間半に達する回もあったと訴状は指摘する。胸ぐらをつかまれたり、日常的に無視されたりする場面もあった。
2022年6月24日、男性は寮内で自ら命を絶った。携帯電話には両親への謝罪動画が残されていた。
日記に赤字で「甘ったれんな」――追い詰められた19歳
男性がつけていた業務日記の存在が、記者会見で明らかになった。代理人弁護士が公開した日記には、男性が仕事の疲労を訴える記述に対し、上司が赤字で「甘ったれんな」「(頭が)もともと回ってない」と書き込んでいた。
福島民友の報道によると、亡くなる約2~3カ月前、男性は48日間にわたる連続勤務を強いられていた。プロを目指す練習と過酷な労働が重なるなかで、男性は母親に「怒られすぎて、何に怒られているのか分からない。できない自分が悪い」と漏らしている。亡くなる数日前、日記には「さようなら」とだけ記されていた。
白河労働基準監督署は2025年3月、上司らの叱責を「業務指導の域を超えたパワハラ」で「人格否定にあたる言動」と判断した。寮生活で逃げ場のない環境に置かれていた点も重く見て、男性の自殺を労災と認定している。
「夢があるから辞められなかった」代理人弁護士が指摘する構造
21日に福島市内で開かれた記者会見で、代理人の生越照幸弁護士は「ゴルフ場を練習で使わせてもらうという側面があり、夢であるプロになるために辞められなかった」と説明した。「スポーツ選手の育成全体に関わる問題だ」とも語り、研修生制度そのものが持つ構造に踏み込んだ。
ゴルフの研修生は、ゴルフ場で働く代わりにコースや練習場を使える仕組みで成り立つ。プロテスト合格を目指す若者にとっては貴重な練習環境だが、雇用関係と練習機会が一体になっているため、パワハラを受けても「辞める=夢をあきらめる」という選択を迫られやすい。寮生活で外出にも許可が必要だったと朝日新聞は報じており、閉じた環境が問題を深刻にした構図が浮かぶ。
男性は小学生からゴルフを始め、国体では福島県代表に選ばれた経歴を持つ。両親は代理人を通じ「私たちの大切な息子は、自分が悪いと思い込んで亡くなった。息子は悪くないと証明したくて、こういう形になった」とコメントを出した。読売新聞の取材に対しては「名門のゴルフ場で、息子がひどい扱いを受けるとは思っていなかった。私たちは毎日後悔している」と心境を明かしている。
棚倉開発は各社の取材に「弁護士に任せており、コメントは控える」と回答した。
石川遼の父が社長、経営権は”石川ファミリー”の会社が保有
棚倉田舎倶楽部は福島県棚倉町にある27ホールのゴルフ場で、日米大学対抗ゴルフ選手権の会場として使われてきた名門コースだ。2018年9月、プロゴルファー石川遼のマネジメント会社「ケーアイ企画」が運営会社・棚倉開発の全株式を取得し、石川の父・勝美氏が社長に就任した。ケーアイ企画は石川遼が取締役、母親が代表取締役を務める。
週刊文春は2024年5月、男性の自殺を初めて報じた。記事では、事件から約2年が経過しても勝美氏が遺族に一度も面会せず、説明や謝罪を行っていなかったと伝えている。
Xでは怒りと驚き、「今日初めて知った」の投稿も
提訴を受け、Xには関連する投稿が相次いだ。あるユーザーは「石川遼のお父さんが社長のゴルフ場で19歳の研修生が寮で首つり自殺。1時間以上の叱責が何度も続き『バカ』『家に帰れ』などと言われ続けていたらしい」と朝日新聞の記事を引用しながら「4年も前の事件らしいが今日初めて知った」と投稿した。
弁護士の岡田直己氏はXで「プロ合格を目指してゴルフ場で働く19歳が自殺 #パワハラ で #労災 認定」と朝日新聞の報道を引用して発信している。「ヒドイね 石川遼の父」と短く怒りを記す投稿や、「知らなかった…こんな事件あったんだ」と驚くリアクションも広がる。
一方で、日本のスポーツ指導の体質と結びつける議論も生まれている。あるXユーザーは、2007年に石川遼が鮮烈デビューした当時を振り返り、「打ちっぱなし練習場で、ジュニアと思しき子どもが父親にアイアンでぶっ叩かれ泣きながらスイングするのをよく見かけた」とつづり、「日本のゴルフはまだしばらく駄目だろうな」と感じたと明かした。
裁判の行方とスポーツ育成の”閉じた環境”
事件は2022年に起きたが、表面化するまでに2年、労災認定まで3年、提訴までに4年を要した。代理人弁護士がFNN福島テレビの取材に対し「容易に抵抗・拒絶できない閉鎖的環境」と表現したとおり、寮に住み込みで練習と労働が一体化した環境では、被害が外に出にくい。
労基署は既にパワハラと認定しており、裁判では会社側の安全配慮義務や、上司らが男性の自殺を予見できたかどうかが焦点になる。棚倉開発は取材に対してコメントを避けており、法廷での主張は明らかになっていない。
母親は朝日新聞の取材に対し、息子が棚倉田舎倶楽部で働くと決めたときの弾んだ声を「いまも鮮明に覚えている」と語った。「労働よりも練習メインでプロを目指せる。手が空いた時間はすぐに練習に行けるんだって」。明るくひょうきんだった息子の笑顔は、入社後に消えていった。
※つらいときや不安なときは、以下の相談窓口に連絡できます。 よりそいチャット(NPO法人ライフリンク):LINE @yorisoi-chat いのちの電話:0120-783-556
[文/構成 by さとう つづり]
































































コメントはこちら