那須川天心の「負けた気がしていない」に和気慎吾がYouTubeで論評 「この負けを受け入れていけば、めちゃくちゃ強くなると思う」と期待

※この記事には、商品・サービスの広告リンクが含まれています。
時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
元東洋太平洋スーパーバンタム級王者の和氣慎吾が、きのう6日に公開した自身のYouTube動画で、那須川天心の試合後の「負けた気がしてない」という発言を取り上げた。「ダウンの重みを勘違いしてる」「プライドが高すぎる」と厳しい言葉を並べながら、最後は「この負けを受け入れていけば、めちゃくちゃ強くなると思う」と再起に期待を寄せた。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
和氣慎吾が動画で語った「ダウンの重み」
動画が公開されたのは、きのう6日の正午だった。タイトルは「【拓真vs天心2】天心『負けた気がしない』にハッキリ言ってみる」。和氣が運営する「和氣慎吾 リーゼントチャンネル」で配信され、長さは28分ほどある。東スポWEBによると、動画にはフレアジム会長の赤井祥彦氏も出演し、2人で9月27日の世界戦を語り合った。
和氣が問題にしたのは、天心陣営の判定の受け止め方だった。東スポWEBが伝えた発言は、次のとおり。
「(那須川陣営は)ダウンの重みを勘違いしてるんですよ。ダウン1回取ったらから、ほぼこっちが勝ちだと。それまでのポイントなんて全く関係ないと。ダウンでひっくり返るんだみたいな。ボクシングを分かってないなと俺は思う」
続けて和氣は、プロボクシングの採点の仕組みを説明している。「ボクシングは1ラウンドごとの採点の積み重ねで最後決まる。ダウンを取ってるということは10-8でそのラウンドは終わり」。ダウンを奪えばそのラウンドで2点差がつくが、12ラウンドすべての合計で勝敗が決まる。1度のダウンで試合全体がひっくり返るわけではない、という指摘だ。
和氣は現役時代、OPBF東洋太平洋と日本のスーパーバンタム級王座に就き、2016年7月にはIBF世界スーパーバンタム級王座決定戦のリングにも立った。ジョナサン・グスマンに11回TKOで敗れ、世界王座には届いていない。現在は東京・国立市で「Wake Riseボクシングジム」を運営し、YouTubeでは試合の展開予想や論評を続けている。
「負けた気がしてない」発言と0-3の判定
和氣が取り上げたのは、9月27日にトヨタアリーナ東京で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチだ。同級1位の那須川天心(28)=帝拳=が、王者の井上拓真(30)=大橋=に挑んだ。2人は2025年11月24日の王座決定戦で対戦し、拓真が3-0の判定で勝っている。約10カ月ぶりの再戦だった。
序盤は拓真が試合を組み立てた。4回終了時に公開された途中採点は、1人が拓真のフルマーク、1人が2点差で拓真、1人が同点という内容で、天心は0-2と追う展開になる。5回からは被弾を恐れずに前へ出て、7回に左ストレートで拓真からダウンを奪った。ロープ際まで追い込んだものの、倒しきれない。8回からは拓真がギアを上げ、最後まで主導権を渡さなかった。
判定は0-3。スコアは111-116が2人、113-114が1人で、拓真が2度目の防衛に成功した。天心は同じ相手に2連敗となった。
問題の言葉が出たのは、試合後の会見だった。デイリースポーツによると、天心は「ボクサーとしての限界は感じてないっすよ。ダウンも取ったし、自分の中では負けた気がしてないが、ボクシングで負けたなと。ポイントゲームで」と語っている。「そこまでポイントを取られたのが、なかなか理解できないところはあります」とも話し、判定への違和感を隠さなかった。
天心を指導する葛西裕一トレーナーも、4回終了時の採点に「ビックリしました」と明かした。「ジェネラルシップは取れていたのかなと思ったが」と、ジャッジとの受け止め方の違いを口にしている。
この試合はPrime Videoの独占ライブ配信で行われた興行「Prime Video Boxing 16」のメインイベントだった。Prime Videoには27日の「井上拓真 vs 那須川天心2」のページが残っており、7回のダウンの場面を含めて見返すことができる。視聴にはAmazonプライム会員への登録が必要だ。
辛口の先にあった「この負けを受け入れていけば」
和氣の言葉は、採点の話だけで終わらなかった。天心の「負けた気がしてない」という発言そのものにも、はっきりと異を唱えている。
「俺は負けるたびに自分が負けたということをしっかりかみしめて、次に負けないために頑張る。負けたのに負けてないと思ってやってると、また次負けると思う」
自分の経験を重ねた言葉だった。さらに和氣は「プライドが高すぎる。プライドが邪魔してると思う」と踏み込み、「ボクシングやりにきていて、試合で負けてるということは、ただの負けでしかない」と言い切った。いずれも東スポWEBが伝えている。
同席した赤井氏も、判定には疑問を挟まなかった。「僕は天心を応援していて、5ポイント差で拓真選手の勝利」と、自分の採点を明かしたうえで、「逆に、天心が勝ってたら大騒動になってたと思う」と話した。
それでも、2人は天心を突き放したわけではない。
赤井氏は「天心には俺は引き続き期待をしたい。やっぱりスターだからね」とエールを送った。和氣も「この負けを受け入れていけば、めちゃくちゃ強くなると思う」と、再起への期待を口にしている。厳しい言葉の数々は、負けを認めた先に伸びしろがあるという見立てとつながっていた。
王者陣営も「ボクシングのルール」を強調
天心の発言には、試合翌日の時点で王者陣営も反応していた。
拓真は28日、横浜市の大橋ジムで会見に臨んだ。デイリースポーツによると、父の井上真吾トレーナーは「もう1回あらためて見直したら、わかると思いますよ」と話し、「やっぱりボクシングのルールがあって、ポイント云々があるわけじゃないですか。ただ、そこに則ってやるだけのこと」と強調した。
大橋秀行会長は「別に、ダウンを取ったら勝つってことはないし。接戦に見えても思ったより大差がつくこともある」と、一般論として採点の考え方を説明した。和氣が動画で語った「1ラウンドごとの採点の積み重ね」と、ほぼ同じ趣旨だ。
一方で大橋会長は、天心について「1戦目とは全然違う気迫で、必ず世界チャンピオンになる選手だなと確信しました」とも評価している。拓真自身も「セコンドの指示通りに動いてやれていたので、そこは別になんとも思わない」と天心陣営の不満を気にとめず、「お互いリスペクトして、またお互いもっと上のステージにいければいいのかな」と語った。
天心の次の一歩はまだ白紙
天心は試合直後の会見で、今後について「わかんないっすね。すぐに次どうこうとか、考えられない」と話した。ボクシングへの向き合い方を聞かれても「とりあえず、今日は口にしたくないです」と答え、気持ちの整理がついていない様子だった。
「倒すだけがボクシングじゃない、ダメージだけがボクシングじゃないんだと。ちょっとしたポイントだったり、優位に見せるとか、そこの学びが必要なのかな」
この言葉も、同じ会見で天心の口から出ている。ポイントの取り方を学ぶ必要がある、という自己分析は、和氣が動画で求めた「負けを受け入れる」姿勢と重なる部分がある。
プロボクシングのデビュー戦から3年半。天心はプロボクシングで、拓真以外の相手には負けていない。2度目の敗戦をどう受け止め、どこへ向かうのか。その答えはまだ本人の口から語られていない。7回のダウンと、判定を分けた12ラウンドの流れは、Prime Videoの見逃し配信で確かめられる。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]








































































コメントはこちら