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LIVゴルフが米連邦破産法11条の適用を申請 清算ではなく再建型、2027年以降のリーグ存続方針

LIVゴルフが米連邦破産法11条の適用を申請 清算ではなく再建型、2027年以降のリーグ存続方針

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LIVゴルフが9月8日、米ニュージャージー州の連邦破産裁判所にチャプター11の適用を申請した。清算型の破産法7条ではなく、事業を続けながら再建を目指す手続きだ。2027年以降は選手が株式の過半数を握る新体制「LIV2.0」への移行を目指す。

破産法11条の適用申請、選手への未払いも判明

申請書類によると、LIVゴルフの資産は1億〜5億ドル、負債は5億〜10億ドルに上る。上位債権者の一覧には、ジョン・ラームへの750万ドル、ブライソン・デシャンボーへの570万ドル、ダスティン・ジョンソンへの550万ドル、キャメロン・スミスへの480万ドルなど、主力選手への未払い契約金が並んだ。債権者は1000者を超えるという。上位30の債権者のうち14人を選手が占め、金額が確定している27者(選手以外の債権者を含む)の合計は6420万ドルに上る。

チャプター11は日本の民事再生法に近い制度で、事業を継続したまま負債を整理し、企業の再建を目指す仕組みだ。資産をすべて処分して事業をたたむ破産法7条の清算とは、性質がまったく異なる。米国では自動車大手ゼネラル・モーターズや、マーベル・エンターテインメントもチャプター11を経て経営を立て直した実績があり、清算とは一線を画す制度として知られる。CEOのスコット・オニールは声明で、今回の手続きについて「より強く、持続可能な未来を築くために設計したプロセスだ」と説明した。

PGAツアーとの対立から始まった5年

LIVゴルフは2021年、サウジアラビア政府系ファンド、PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)の資金で発足し、2022年に開幕した。PGAツアーは移籍した選手の出場資格を停止する対抗策を取り、2022年8月には選手11人がPGAツアーを反トラスト法違反で提訴。翌月にはPGAツアー側も反訴に踏み切り、対立は法廷闘争へと発展する。この過程で米司法省がPGAツアー側の運営に反競争的な問題がないか調査に乗り出す事態にもなった。

2023年6月、PIFとPGAツアー、DPワールドツアーの3者は係争中の訴訟をすべて終結させ、単一の新会社へ統合する枠組み合意を発表した。だが、その後の交渉は難航し、正式な合併には至らないまま2026年を迎えていた。潤沢な資金を投じながらも、LIVゴルフには米国内での有力な放映権がなく、視聴率の伸び悩みも長年の懸案だ。

PIFの支援縮小と8月の大量解雇

PIFは2022年以降、LIVゴルフに50億ドル以上を投じてきたが、2026年4月、今季限りでの資金拠出終了を発表した。この決定を受け、LIVゴルフは8月26日、スタッフの大半に解雇を通知。広報は「事業規模を縮小している」と説明し、当時から新体制「LIV2.0」への移行が示されていた。

関連記事:LIVゴルフ、スタッフの大半に解雇を通知 広報『事業規模を縮小している』、LIV2.0へ移行

今回の破産申請は、その延長線上にある。資金の出し手を失ったリーグが、法的整理という手段で存続の道を探る流れだ。

BCパートナーズと描く「LIV2.0」の中身

再建計画は、投資会社BCパートナーズとの合意が土台になっている。BCパートナーズは「LIV2.0」構想に3億ドルを拠出する意向を示しているが、この投資はチャプター11による再編の完了が条件だ。PIFも別枠で4960万ドルの融資(DIP融資、年利12%)を用意し、裁判所の承認を待つ。

新体制の狙いは、選手が株式の過半数を持つ「選手ファースト」の所有構造への転換だ。未払いの契約金は現金でなく株式への転換が軸となる案で、個人の商業権も選手へ返還し、賞金以外の収入源を広げる狙いがある。出場枠は75人規模へ拡大し、成績下位者を除くカット制度や、参加権を懸けた予選会の導入も検討されている。もっとも、BCパートナーズからの資金拠出には、必要な人数の選手を新体制へ引き留めることが条件として付いており、再建の成否は今なお不透明だ。

今回の申請により、これまでの契約(LIV1.0)はすべて終了する。ラームやデシャンボーら選手に、複数年契約を結んでいたとしても「LIV2.0」へ残る義務はない。ラームは2024年加入時に総額3億ドル規模の契約を結んでおり、今回の破産手続きでは、その未消化分である1億ドル超の将来支払いも扱いが不透明になった。破産手続きからの脱却時期は2027年初旬を見込んでおり、そこから新シーズンの開幕を目指す計画だ。選手への未払い契約金についても、今後は破産裁判所の債権確定手続きを通じて処理される見通しとなった。

今後の展開、選手の去就

焦点は、主力選手がどこへ向かうかだ。契約が消滅した以上、他ツアーへの移籍も選択肢に入る。ただしPGAツアーは、移籍組向けの特別な復帰枠には消極的な姿勢を崩しておらず、復帰するとすれば通常の予選ルートをたどることになりそうだ。いつから他ツアーとの交渉が可能になるかも、現時点でははっきりしない。

裁判所による審理はこれから数カ月続く見通しで、BCパートナーズの投資実行やPIFの融資承認、選手の残留人数といった条件がそろって初めて、2027年の「LIV2.0」始動が現実味を帯びる。ゴルフ界の勢力図を大きく揺さぶった5年間は、法廷の場で次の章を迎えている。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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