小田凱人、地元愛知のアジアパラで初戦6-0、6-0 1ゲームも与えず準々決勝へ

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
車いすテニス男子の小田凱人(20)=東海理化=が10月20日、愛知・名古屋アジアパラ大会の男子シングルス2回戦に登場し、カザフスタンの選手に6-0、6-0で勝った。愛知県一宮市出身の小田にとって、この試合が大会の初戦。1ゲームも与えない内容で準々決勝へ進み、試合後は「このまま突っ走りたい」と大会連覇を見据えた。
名古屋市東山公園テニスセンターで30分の完封勝利
日本で初めて開かれるアジアパラ競技大会は第5回を数え、10月18日から24日までの7日間、アジア各地から集まった選手が18競技で争う。車いすテニスは10月19日から23日までの5日間の日程で、会場は名古屋市天白区の名古屋市東山公園テニスセンターだ。
2回戦のコートに小田が入場すると、スタンドから大きな歓声が上がる。相手はカザフスタンの41歳、Y.カディムベルゲノフ。世界ランキング1位の小田は第1セットにリターンエースを決めて流れをつかみ、自身のサービスゲームではサービスエースも奪って、6-0で先取した。
第2セットも集中を切らさなかった。フォアハンドの精度は最後まで落ちず、相手の位置を見てコートの深い場所へ打ち込む配球で主導権を渡さない。試合時間はわずか30分、セットカウント2-0(6-0、6-0)。最後のポイントを取ったあと、ようやく笑顔がこぼれた。
「相手は関係なく、どんどん攻めた」。小田は試合後、自分のテニスを貫いたことを強調した。大会前には「世界一として、一味違うなというところを見せたい。完封して勝ちたい」と語っており、その言葉どおりの初戦となった。
| 種目 | 日程 | 勝者 | 敗者 | スコア |
|---|---|---|---|---|
| 男子シングルス2回戦(小田の初戦) | 10月20日 | 小田凱人(日本) | Y.カディムベルゲノフ(カザフスタン) | 6-0、6-0 |
「うわー、やべー」地元開催に沸いたスタンド
コート上でのインタビューの間、拍手はなかなか鳴りやまなかった。小田はスタンドを見渡し、「すごく高ぶっていた。初戦からこれだけの人が入ってくれてうれしい」と喜びを口にする。試合後には「このまま突っ走りたい」とも宣言した。
普段の主戦場は海外のツアーで、国内で大きな大会に出る機会は少ない。地元での試合について聞かれると「いつも海外ばっかりで愛知で大会があるというのは”うわー、やべー”って感じだった」と答え、会場の笑いを誘った。試合後には観客にサインボールを贈り、地元での1勝をかみしめていた。
客席には車いすテニスを初めて見る人も多かった。小田は「(プレーへの)反応は大きく感じた。もっともっと知ってもらいたい」と話し、「いい準備をしてきたのでベストを尽くして、この後もレベルが上がってくるので見て欲しい」と呼びかけた。
一宮市で育ち、9歳で骨肉腫を経験
小田は2006年5月8日、愛知県一宮市に生まれた。幼い頃はサッカーに打ち込んだが、骨肉腫のため9歳で車いす生活になる。入院中に主治医からパラスポーツを勧められ、動画で国枝慎吾のプレーを見たことがきっかけで、10歳のときに車いすテニスを始めた。地元の一宮市立西成中学校を卒業し、現在は名古屋市に練習拠点を置く。
母校とのつながりも深い。2024年6月21日、初の著書「凱旋 9歳で癌になった僕が17歳で世界一になるまでの話」の発売日に西成中学校を訪れ、全校生徒438人に本を贈った。体育館に集まった後輩たちの前で、懐かしい思い出話や車いすテニスへの思いを語っている。
最年少の記録を重ねてきた20歳
国際舞台での歩みは早かった。2023年の全仏オープンで、17歳33日の四大大会男子シングルス史上最年少優勝を果たし、同じ年に世界ランキング1位にも立つ。2023年秋に中国で開かれた杭州大会(第4回アジアパラ競技大会)では、男子シングルス決勝で眞田卓との日本人対決に臨んだ。世界ランキング8位だった先輩を6-3、7-5のストレートで退けた。金メダルとともに、パリ・パラリンピックの出場権を手にした。銅メダルの三木拓也を含め、表彰台を日本勢が独占した大会でもある。
2024年のパリ・パラリンピックでは男子シングルスで金メダルを獲得した。2025年9月の全米オープンで同大会を初めて制し、四大大会すべてとパラリンピックを制する「生涯ゴールデンスラム」を19歳で達成している。
2026年は1月の全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドンと四大大会を3連勝した。7月のウィンブルドン決勝ではアルフィー・ヒューエット(英国)を6-1、6-1で退けている。だが、1シーズンで四大大会すべてを制する年間グランドスラムがかかった9月の全米オープンは、決勝で同じヒューエットに0-6、6-7で敗れた。第1シードとして臨み、準々決勝、準決勝をストレートで勝ち上がった末の準優勝だった。悔しさを抱えたまま迎えたのが、地元でのアジアパラ大会だった。
単複の金メダルへ、次は準々決勝
小田にとって、今大会は特別な位置づけにある。開幕前の10月13日には名古屋市緑区で女子の上地結衣とともに練習を公開し、金メダル獲得を誓った。大会前の取材では「身近な人や、お世話になった人に向けて試合ができる。自分がものにしたいという、他の大会とは違った気持ち」と明かしていた。視線はその先にも向く。「パラではあまりいない、日本を代表するような選手になりたい」。車いすテニスやパラスポーツの枠を越えた存在になることが、今の小田を動かす。
シングルスで優勝すれば、2028年ロサンゼルス・パラリンピックの出場権が条件付きで得られるが、本人は「あまり意識していない」と話し、「愛知県に車いすテニスが広まってくれたらうれしいので、きっかけになるような大会にしたい」と語っている。
10月20日は荒井大輔=BNPパリバ=と組んだ男子ダブルスでも初戦を突破し、4強入りを決めた。「単複(で優勝を)狙っているので、期待していただけたら」。小田は2種目での頂点を目標に掲げる。
大会の日程では、10月21日に男子シングルス準々決勝と男子ダブルス準決勝、22日に男子シングルス準決勝と男子ダブルス決勝が組まれている。男子シングルスの決勝は23日の予定だ。男子シングルスでは、静岡県沼津市出身の鈴木康平もマレーシアの選手にストレート勝ちし、準々決勝へ進んだ。同じ10月20日には、女子シングルスの上地も初戦の準々決勝でタイの選手にストレート勝ちし、準決勝へ駒を進めた。
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杭州大会に続く連覇へ。生まれ育った愛知のコートで、小田は10月21日の準々決勝に臨む。
[文/構成 by スポーツライター TAKU]









































































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