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錦織圭、フェデラーと初ペアのダブルスで勝利 引退記念イベントで「皆さんに支えられて、悔いなく終えることができた」

錦織圭、フェデラーと初ペアのダブルスで勝利 引退記念イベントで「皆さんに支えられて、悔いなく終えることができた」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

今季限りで現役を退いた男子テニスの元世界ランキング4位、錦織圭(36)が10月11日、東京・有明コロシアムで開かれた引退記念イベント「UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2026 with Kei Nishikori」に出演した。ロジャー・フェデラー(45)=スイス=と初めてダブルスのペアを組み、添田豪、岩渕聡の組に1セットマッチで6-3と勝利。約9000人のファンを前に「皆さんに支えられて、悔いなく終えることができた」とスピーチした。

錦織とフェデラーの組が6-3、添田・岩渕組を下す

イベントは錦織の所属先で、グローバルブランドアンバサダーを務めるユニクロが主催した。会場は、錦織が10日前に現役最後の試合を戦った有明コロシアム。観覧は無料の事前応募による抽選制で、応募は7万5000件を超え、倍率は8倍以上に達した。当選した約9000人がスタンドを埋めた。

メインのダブルスは1セットマッチで行われた。錦織とフェデラーの相手は、デビスカップ日本代表監督の添田豪と、錦織のツアーコーチを務めたこともある岩渕聡のペアだ。第1ゲームはフェデラーのサービスエースで先取し、錦織も俊敏なバックハンドを披露する。最後は6-3で錦織、フェデラーの組が勝った。

試合を終えた錦織は「対戦こそありますけど、ロジャーと初めてダブルスが組めてすごく良い思い出になりました」と笑顔を見せた。フェデラーも「特別な経験になりました」と応じ、試合前に2人で「お互いアクティブにやろう」と話していたことを明かして「すごく楽しかった」と汗をぬぐった。

国枝慎吾やゴードン・リードも登場、車いすテニスとの組み合わせも

イベントには、車いすテニスで四大大会とパラリンピックをすべて制した国枝慎吾(42)と、車いすテニス元世界1位のゴードン・リード(35)=英国=も出演した。司会はフリーアナウンサーの内田恭子が務めた。

最初はトークショー。続いて国枝とリードの車いすテニスのエキシビションがあり、現役を続けるリードが勝った。

その後、錦織と国枝が組んで、健常の選手と車いすの選手がペアを作る約10分のダブルスが始まる。錦織が「スイスから友人が来ています」と呼び込むと、フェデラーがコートに現れ、リードと組んだ。4ゲームマッチの一戦は、錦織が力強いスマッシュを決め、フェデラーがネットプレーで会場を沸かせたものの、錦織と国枝の連係が乱れる場面もあり、フェデラーとリードの組が勝利。試合後は4人が握手を交わした。

フェデラーと国枝、リードの3人は、いずれもユニクロのグローバルブランドアンバサダーだ。2022年11月には、現役を退いたフェデラーの来日に合わせて「UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer」が有明コロシアムで開かれ、錦織、国枝、リードも参加していた。4年後、立場を入れ替えるように、今度は錦織を送り出す側にフェデラーが回った。

16歳の練習相手から3勝8敗の好敵手へ

トークショーで、2人は出会いのころを語り合った。

錦織は16歳のとき、米マイアミで大会前の約1週間、フェデラーの練習相手を務めた。「これが世界一が打つボールなんだって。すごく刺激的でいい経験でした」と当時を語ると、フェデラーは「練習相手のことをいつも覚えているわけではないが、錦織は鮮明に覚えている」と返す。「16歳の彼のボール、エネルギーは普通ではなかった」とも続け、その後の練習で「いつか自分が負ける日が来るかもしれない」と話したことを打ち明けた。

ツアーでの対戦成績は、錦織の3勝8敗。フェデラーは錦織のコートカバーとバックハンドを「世界トップクラス」と評し、サーブは「それほどではなかった」と前置きしながら、次第に攻撃的になって「危険な選手」になったと語った。

称賛が続くと、錦織は「半分くらいはお世辞じゃないですか」「どれくらいがお世辞ですか」と照れ隠しのように切り返す。フェデラーの答えは「お世辞ではありません」。錦織は会場に向かって「ちょっとイチャイチャしてすいません」と頭を下げ、笑いが起きた。

コートの上で同じチームになるまでには、長い時間がかかった。2012年のロンドン五輪では、錦織と添田の日本ペアが、男子ダブルスの初戦でフェデラーとスタン・ワウリンカのスイスペアに7-6、4-6、4-6で敗れている。このとき錦織の隣にいた添田が、14年後には対戦相手としてネットの向こうに立った。

「最高の一日でした」、国枝とフェデラーから贈る言葉

イベントの終盤には、出演者から錦織へメッセージが贈られた。

国枝は、リハビリを続ける姿や重圧の中で戦う錦織に勇気をもらったと語り、「本当にありがとうという気持ちがものすごく強いです」と感謝した。そのうえで「これからは自分の幸せな人生を歩んでほしいです」と願う。

四大大会で通算20勝を挙げたフェデラーは「素晴らしいキャリアを終え、心からおめでとうと言いたい」と祝福した。多くの人にとって錦織は大切な存在で、テニス界にとっても特別な存在だとたたえ、これからは家族との時間を大切にしてほしいと言葉を添えた。この日は錦織を「非常に危険で予測不能な選手だった」とも振り返っている。

最後にマイクを握った錦織は、この日を「最高の一日でした」と表し、長く支援を続けてくれたユニクロとファンに感謝を伝えた。「皆さんに支えられて、悔いなく終えることができた」。

イベントの後には引退記者会見も開かれた。スーツ姿で臨んだ錦織は、19年間の現役生活を「めちゃくちゃ長い青春時代をテニスに全部注げた」と振り返り、「没頭できた時間は本当に幸せだったと思う」と語った。今後の活動は未定としつつ、日本のジュニアを世界のトップに近づける仕組みづくりに意欲を示し、日本でのアカデミー運営や海外留学を支援する財団の立ち上げなどを例に挙げた。相談相手として「高市総理かな」と冗談交じりに名前を挙げ、会見場を和ませている。

現役最後はティアフォー戦、12月6日はドリームテニスARIAKEへ

錦織が現役最後の試合を戦ったのは10月1日。木下グループ・ジャパン・オープンのシングルス1回戦で、世界ランキング8位のフランシス・ティアフォー(米国)に4-6、4-6で敗れ、19年のプロ生活を終えた。試合後は涙を見せながら「日本でのプレーは格別。幸せな最後の一週間だった」と語り、「けがで何年も失った中で諦めずにできたことは誇り」とキャリアを総括している。

錦織は2014年全米オープンで日本選手として初めて四大大会シングルスの決勝に進み、2016年のリオデジャネイロ五輪では男子シングルスで銅メダルを手にし、日本勢に96年ぶりのテニスのメダルをもたらした。ATPツアーのシングルス優勝は12回、最高位は世界4位で、年間上位8人だけが出場できるATPファイナルズにも4度出場している。

ジャパン・オープン最終日の10月6日には引退セレモニーがあり、日本テニス協会から特別栄誉賞を贈られた。

関連記事:錦織圭、ジャパンOP最終日に日本テニス協会の特別栄誉賞を受賞 「休ませてください。必ず戻ってきて何かはします」と語った現在と今後

この先、錦織が有明に戻る日はもう決まっている。12月6日に有明コロシアムで開かれる「U-NEXT presents ドリームテニスARIAKE」で、錦織自身が10月4日にXで「2年ぶりに」開催されると報告した。東日本大震災の復興チャリティとして錦織の呼びかけで始まったイベントで、国枝も出演者に名を連ねている。

関連記事:錦織圭、ドリームテニスARIAKEが「2年ぶりに」開催とXで報告 12月6日に有明コロシアム、チケット発売日は10月10日と出演者

少年時代に憧れたフェデラーと並んで立った有明のコートで、錦織は勝って現役の区切りの一日を終えた。2カ月後には、同じ会場でドリームテニスARIAKEが待っている。

[文/構成 by スポーツライター TAKU]

寄稿者

TAKU
ボールを使う競技なら何でも観ます、TAKUです。学生時代はずっとバスケ部、いまは週末にフットサル。スポーツを中心に書くWebライターになって5年です。Bリーグ、バレーボール、ラグビー、テニスを中心に、野球やサッカーも書きます。試合の流れが変わった瞬間を、スコアと一緒に伝えるのが得意です。

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