ニコ・パス、メッシの”10番”を受け継ぐ21歳 コモをCL初出場に導いた”ポスト・メッシ”の実力とその経歴を解説

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アルゼンチン代表のリオネル・メッシ(39)が8月31日に代表引退を表明した。その直後、ESPNアルゼンチンがニコ・パス(21=コモ)を次の背番号10に内定したと報じ、世界中で反響が広がる。600万ユーロでレアル・マドリードから移籍した青年は、わずか2年でセリエAベストMFに選ばれ、クラブ史上初のCL出場権をもたらした。
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メッシ、21年の代表キャリアに別れ
8月31日、メッシはインスタグラムに手書きの手紙を投稿し、アルゼンチン代表からの引退を発表した。「決勝戦から時間がたち、じっくりと考えた末に、代表チームを引退することを皆さんに伝えたいと思います」。続けてこう記した。「辛い決断でしたし、今も心の奥底では痛みを感じていますが、潮時であることは理解しています」「持てるものはすべてささげました。もう出し切るものは何も残っていません」。
代表通算207試合125ゴール68アシスト。W杯には歴代最多タイの6大会に出場し、2022年カタール大会で悲願の優勝を手にしている。W杯通算21得点は歴代2位の記録だ。
引退の伏線は7月19日にあった。2026年W杯決勝で、アルゼンチンはスペインと延長戦を戦い、0-1で敗れた。連覇を逃したメッシの涙がスタジアム中のカメラに抜かれ、「これが最後になるのでは」という空気が一気に広がった。それから約1カ月半。39歳のレジェンドは静かに代表を去った。
メッシには前科がある。2016年、コパ・アメリカ決勝でチリに敗れた直後にも代表引退を表明し、わずか2カ月後に撤回している。今回も「また戻るのでは」と疑う向きはあったが、年齢と「出し切った」という本人の言葉が、今度ばかりは最後だという見方を裏づける。
なぜニコ・パスなのか
メッシが去った翌日の9月2日、ESPNアルゼンチンの記者フェデリコ・ブエノが「スカローニ監督の契約延長が決まり次第、背番号10はニコ・パスのものになる。これはすでに内部で決まっており、非常に重く受け止められている」と伝えた。
エンソ・フェルナンデス(チェルシー)やアレクシス・マクアリスター(リバプール)といったビッグクラブの主力がいるなかで、21歳のパスが選ばれた背景には明確な理由がある。セリエAのコモで2シーズンにわたって中心選手として活躍し、攻撃的MFとして際立った数字を残してきたからだ。
2024-25シーズンはセリエA35試合で6ゴール9アシスト。リーグのU-23ベストプレーヤーに選ばれ、シーズンベストイレブンにも名を連ねた。続く2025-26シーズンはさらに飛躍し、35試合12ゴール6アシスト。セリエAのベストMFに選出されている。
パスのプレースタイルは「現代の10番」と評される。左足から繰り出すスルーパスとフリーキック、ドリブルで相手を崩す力が持ち味で、メッシ本人も2024年10月のボリビア戦で代表デビューしたパスについて「ファンタスティックだ。まだ若いが素晴らしい頭を持っている」と語っていた。DAZNがこのコメントを報じている。
テネリフェ島生まれ、父は98年W杯戦士
パスの本名はニコラス・パス・マルティネス。2004年9月8日、スペイン・カナリア諸島のテネリフェ島で生まれた。父パブロ・パスは1998年フランスW杯に出場した元アルゼンチン代表のDFで、テネリフェのクラブでプレーしていた時期に息子が誕生した。母はスペイン人で、パスはアルゼンチンとスペインの二重国籍を持つ。
サッカーを始めたのは地元クラブのサン・フアン。その後テネリフェの下部組織を経て、2016年にレアル・マドリードの育成機関「ラ・ファブリカ」に加入する。当初はセンターバックだったが、年齢を重ねるにつれてポジションを前に移し、やがて攻撃的MFに落ち着いた。
2023年11月、19歳でレアル・マドリードのトップチームデビューを果たす。CLグループステージのブラガ戦に途中出場し、同月のナポリ戦ではCL初ゴールも記録した。このシーズン、レアルはラ・リーガとCLの二冠を手にしており、パスも優勝メダルを手に入れている。
だが、トップチームでの出場機会は限られた。パスは2024年8月、移籍金600万ユーロ(当時約9億円)でセリエA昇格直後のコモへ移った。レアルは将来の買い戻しオプションを設定していたが、2026年にコモが6000万ユーロ(約100億円)でその権利を買い取り、完全移籍が確定した。わずか2年で市場価値は10倍に跳ね上がった。
コモの”奇跡”を支えた背番号10
コモは北イタリアのコモ湖畔に本拠を置くクラブで、2019年にインドネシアのタバコ財閥ハルトノ兄弟が買収した。当時はセリエD(実質4部)。そこからセスク・ファブレガス監督のもとで急上昇し、2024-25シーズンにセリエA復帰を果たした。
2025-26シーズン、パスはクラブの10番を背負った。開幕戦のラツィオ戦でFKから得点とアシストを記録すると、10月にはユベントス相手に1952年以来の勝利をもたらすゴールを決めている。
最終節のドラマも印象に残る。コモはアウェーでクレモネーゼを4-1で下し、同時刻にACミランがホームでカリアリに敗れたため、逆転で4位に滑り込んだ。クラブ創設119年目にして初のヨーロッパの舞台、CL出場権を手にした瞬間だった。ESPNは「セリエA11番目の人件費でCL出場を勝ち取った」と報じた。
パスのW杯でのキャリアはこれからだ。2026年大会ではアルゼンチンの26人に選ばれたものの、グループステージのアルジェリア戦とヨルダン戦で出場した以外は、ノックアウトステージの5試合でベンチから動くことがなかった。W杯決勝の相手スペインは、生まれ故郷の代表チーム。複雑な思いがあっただろうが、敗戦後に「このカップをいつか持ち帰りたい」と語ったとYahoo!ニュースが報じている。
チームメイトが語るメッシの不在
メッシの引退を受け、チームメイトからメッセージが相次いだ。
エンソ・フェルナンデスは「次の代表合宿にあなたがいないことを想像するのは難しい。ピッチに出て、前方に背番号10のあなたがいない」と投稿した。ラウタロ・マルティネスは「ピッチ上で成し遂げたこと以上に心に残っているのは、ピッチの外で教えてくれたことだ」と、ロイターの取材に応じている。元チームメイトのアンヘル・ディ・マリアは「引退するという言葉を読むのは本当につらい。もう水色と白のユニホームを着るあなたを見ることはない」とSNSに記した。
アルゼンチンサッカー協会のクラウディオ・タピア会長は「あなたは私たちに魔法を信じさせてくれた。だからこそ、あなたにも時が流れていることを受け入れるのが難しい」と声明を出した。
「ガチで悲しい」「ひとつの時代の終わり」SNSでは惜別の声
日刊スポーツの記事によると、SNSでは「メッシも代表引退か。サッカーを好きにさせてくれてありがとう」「ひとつの時代の終わりを感じる」「心から感謝してる、ありがとうレオ」「ガチで悲しい」「この時代にサッカー観られてほんと良かった」といった投稿が確認されている。
10番の行方についても議論は熱い。Yahoo!リアルタイム検索では「次の背番号10はニコパスみたいなド真ん中なトップ下」と歓迎する声がある一方、「10番は永久欠番にすべき」という意見も根強い。2016年にもスカローニ監督が「メッシの去就が決まるまで背番号10は使用しない」と明言していた経緯があり、「約束はどうなったのか」と疑問を呈する投稿も出ている。
2016年の引退撤回を持ち出す反応もXでは散見される。あるユーザーは「ちょうど10年前、メッシは一度代表引退してる。ただアルゼンチン国内で復帰を望む声が高まり、約1か月後に引退撤回→代表へ復帰した」と投稿し、今回も同じ展開を期待するニュアンスをにじませた。
メッシ不在のアルゼンチン、次の試金石は秋の代表戦
アルゼンチン代表は9月下旬から10月にかけて国際Aマッチ4試合を控える。メッシだけでなく、W杯後にニコラス・オタメンディも代表を退いており、2014年大会を戦った世代の離脱が本格化した。
スカローニ監督の契約延長交渉が今後数カ月で進む見通しで、その結果がパスの10番継承の正式発表に直結する。Goal.comが報じたESPNの情報によれば、2030年大会までの契約が検討されているという。
21歳の青年が背負おうとしているのは、マラドーナからメッシへと受け継がれてきた番号だ。マラドーナの背番号10を代表で172試合にわたって着用し、歴代最多の出場記録を打ち立てたメッシ。その重さをどれだけ理解しているか。パスはW杯後、「この代表のユニフォームを着るたびに身が引き締まる」と語っている。秋の代表戦が、メッシなきアルゼンチンの最初の一歩になる。
[文/構成 by さとう つづり]


























































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