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井岡一翔、現役続行を正式発表 大みそかに再起戦へ、右目眼窩底骨折の手術を経て

井岡一翔、現役続行を正式発表 大みそかに再起戦へ、右目眼窩底骨折の手術を経て

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元世界4階級制覇王者の井岡一翔(37)=志成=が10月22日、東京都内で取材に応じ、現役続行を正式に表明した。5月に井上拓真に敗れた試合で右目の眼窩底を骨折して手術を受けたが、回復は順調で、20日にはスパーリングも再開。大みそかに所属ジムの主催興行で再起戦に臨む。対戦相手は未定だ。

「ラストチャンス」大みそかに再起戦、相手は未定

井岡は10月22日、東京・港区のグランドプリンスホテル高輪で開かれた志成ジム創立5周年の記念祝賀会を前に報道陣の取材に応じ、現役を続けると明言した。再起戦の舞台は12月31日、志成ジムが主催する大みそか興行だ。大みそかのリングは2年連続で、通算14度目となる。

「正直、もうラストチャンスだと思う」

井岡は今の立場をそう言い表した。階級は引き続きバンタム級で、狙いは日本男子初の世界5階級制覇。ジムの後輩たちに向けて「諦めずに闘い続けた人間が最後に勝つというのを見せたい」とも語っている。

対戦相手は決まっていない。前戦で敗れた立場であることを踏まえ、井岡は「すぐにタイトル(戦が)決まらなくても仕方がない」と冷静に受け止めた。世界戦の機会があれば相手を問わず挑む構えを見せつつ、「またチャンスをつくりにいかないといけない立場でもある」と自らを戒めている。

東京ドームで2度のダウン、試合後に手術

決断までの道のりは平たんではなかった。

5月2日、東京ドーム。井岡はWBC世界バンタム級王者の井上拓真(30)=大橋=に挑み、勝てば日本男子初の5階級制覇という一戦に臨んだ。だが2回にダウンを喫すると、3回にも倒され、主導権を握れない。判定は0-3(120-106、119-107、118-108)の完敗だった。

2回は終了間際の連打から右フックを浴び、約9年ぶりのダウン。3回も開始からおよそ40秒で右アッパーを受けて再び倒された。その後は最終回まで立ち続けたものの、ポイント差を詰めることはできなかった。

試合後は会見を取りやめて病院へ向かい、右眼窩底骨折と診断される。当初はすぐに手術する必要はないとの診断だったものの、セカンドオピニオンで即手術を勧められ、手術に踏み切った。

「初めてのケガで不安もあったので、セカンドオピニオンで信頼している先生に見てもらったら即手術と言われた」と井岡は振り返る。手術のあとはハワイなどで長く休養を取り、現役を続ける意思を固めて8月に練習を再開した。

術後の経過は順調だ。医師から実戦練習の許可が出たことで、10月20日にスパーリングを始めた。「フルラウンドでスパーできるところまで来た」と井岡は手応えを口にし、見え方も以前と変わらないと説明している。

引退は「考えていなかった」背中を押した後輩の戴冠

敗戦直後から、去就には注目が集まっていた。それでも井岡は「リングを下りた瞬間から、現役を引退しようという気持ちはなかった」と明かす。周囲の意見を聞いても、その気持ちは変わらなかったという。

心をさらに動かしたのが、同じ志成ジムの後輩の快挙だった。9月2日、横浜BUNTAIで行われたWBA世界ライトフライ級王座決定戦で、吉良大弥(23)がカルロス・カニサレス(ベネズエラ)に7回TKO勝ちし、世界王座を手にする。リングサイドで見届けた井岡は、試合後に現役を続けたい思いを語っていた。

吉良は2003年5月30日生まれ、大阪府門真市出身。東京農業大学在学中に井岡の誘いを受けて志成ジムに入った。この試合では3回にダウンを先取し、7回38秒でTKO。プロ5戦目での世界王座獲得は、田中恒成に並ぶ国内最速タイ記録となった。

井上拓真との再戦について問われると、こだわりは見せなかった。再戦を求めるような立場ではなく、もう一度世界挑戦の機会を自分の力でつかみにいく、というのが井岡の考えだ。

それでも、敗れたままでは終われない思いは強い。「井上拓真選手に負けて、このままで終わりたくない気持ちもある」と井岡は話し、ここまで応援してくれた人たちに向けて「最後、結果で恩返しできるように、井岡一翔を応援してよかったと思ってもらえるように頑張りたい」と続けた。

4階級制覇から5階級へ 再起を重ねてきたキャリア

井岡は1989年3月24日、大阪府堺市生まれ。興国高で全国6冠を手にし、東農大を中退して2009年にプロデビューした。2011年にWBC世界ミニマム級王座を奪うと、2012年にWBA世界ライトフライ級、2015年にWBA世界フライ級を制覇。2019年6月にはWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、当時日本男子初の世界4階級制覇を成し遂げた。

キャリアは順風満帆だったわけではない。2017年の大みそかに一度は引退を発表しながら、翌2018年9月にリングへ戻っている。

近年も苦しい時期が続いた。2023年6月にWBA世界スーパーフライ級王座を手にしたものの、2024年7月にフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に敗れて王座を失う。同年の大みそかに組まれた再戦は相手のインフルエンザ感染で前日に中止となり、2025年5月に行われた再戦も判定で敗れた。

そこから階級を上げ、2025年の大みそかには東京・大田区総合体育館でのWBA世界バンタム級挑戦者決定戦で、マイケル・オルドスゴイティ(ベネズエラ)から2回に左ボディでダウンを奪い、4回にも左ボディで沈めてKO勝ち。バンタム級初戦を快勝で飾ると、試合後に「できれば井上拓真チャンピオンに挑戦させていただきたい」と語り、その言葉どおり5月の東京ドームで挑戦にこぎつけた。通算戦績は32勝(17KO)5敗1分けとなる。

大みそかの相手と、5階級制覇への道筋

焦点は大みそかの対戦相手に移る。世界王座への再挑戦には、まず再起戦で内容と結果を示し、ランキングを立て直す必要がある。井岡自身も、すぐに世界戦が組まれなくても受け入れる構えだ。

37歳で迎える14度目の大みそか。1度は引退を表明し、王座を失い、骨折の手術も乗り越えて、井岡は再びリングに戻ってくる。「ラストチャンス」と口にした一戦の相手と配信などの詳細は、今後発表される見通しだ。

関連記事:「雲の上の存在だった」「挑まずして終わるのは違う」――井上拓真vs井岡一翔、東京ドームで刃を交える日

井岡が自らの考え方や歩みをつづった著書『今をブレない。』は、講談社から刊行されている。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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