高橋光成、海外FA権の去就「本当に悩んでいる」 西武の秋季練習初日に参加

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
西武の高橋光成投手(29)が10月20日、埼玉県所沢市の球団施設で始まった秋季練習に参加した。5月に海外FA権を取得した右腕は、去就について「本当に悩んでいる」と胸の内を明かしている。ライオンズへの愛着と感謝も口にしつつ、結論はまだ出していない。
秋季練習初日、取材で語った「心の準備」
西武の秋季練習は10月20日、本拠地ベルーナドームに隣接する室内練習場で始まった。高橋光もこの日から参加し、ランニングなどで体を動かしたあと、報道陣の取材に応じた。
話題の中心は、海外FA権の行使だった。昨オフはポスティングシステムでのメジャー移籍を目指しながら西武に残った経緯がある。今回は自分の権利で動ける立場にあり、本人は「去年よりはどこにでも行ける」と状況の違いを口にした。続けて、今すぐはっきり言いたい気持ちもあるとしたうえで「本当に悩んでいる」と語り、いい準備、心の準備をしている段階だと説明している。
選択肢の多さも、迷いの理由になっている。「選択肢がたくさんある状況は初めて」と話し、ベストな選択ができるよう準備を進めているという。
海外FA権は、メジャー球団だけでなく国内の他球団とも交渉できる権利だ。報道によると、高橋光は国内移籍についても、権利がある以上は選択肢の一つになるという考えを示した。メジャー一本に絞った発言ではなかった。
ライオンズへの感謝「お別れみたいな感じに…」
去就への迷いを語る一方で、チームへの思いは何度も言葉にした。
「もちろんライオンズが好きですし」。高橋光はそう切り出し、12年間、いろんなことを許してもらって、のびのびやらせてもらったからここまで来られたと感謝を口にした。取材の流れが別れのあいさつのようになったことには「お別れみたいな感じになっちゃってますけど」と笑い、そういう意味ではないと付け加えている。
練習を終えると、コーチ陣や関係者と握手を交わした。今後はチームを離れ、自主トレーニングに入る見込みだ。
甲子園優勝からポスティング、FA権取得まで
高橋光は群馬・前橋育英高から2014年のドラフト1位で西武に入団した。前橋育英高では2年生エースとして2013年夏の甲子園に臨み、初出場で全国制覇を成し遂げた。プロ入り後は先発の柱に育ち、2021年に11勝、2022年に12勝、2023年に10勝と3年続けて2桁勝利をマークしている。
ただ、順風満帆の道のりではなかった。2024年は15試合に登板して0勝11敗と、1勝も挙げられずにシーズンを終えている。翌2025年は24試合で8勝9敗と持ち直し、その年のオフに大きく動いた。
西武は2025年11月5日、ポスティングシステムを使ったメジャー移籍を容認すると発表する。本人は以前から球団にメジャー挑戦の思いを伝えてきたと語っており、広池浩司球団本部長は本音では残ってほしいとしながらも、意思を尊重したと説明した。
しかし、交渉はまとまらなかった。高橋光は11月下旬にポスティングの手続きを経てメジャー球団との交渉に入ったが、交渉期限は日本時間2026年1月5日午前7時(米東部時間1月4日午後5時)で、米メディアは3球団から条件提示があったと報じたものの、移籍は成立していない。西武は期限直前の1月4日に2026年シーズンの契約合意を発表し、高橋光は1月28日の契約更改で推定年俸2億5000万円でサインした。このときも米球界への挑戦の意向は変わらないと語り、「ここで諦めたら一番、ださい」という言葉を残している。
そして5月10日、西武は高橋光の海外FA権取得を発表した。本人は球団を通じ、ファンや関係者への感謝とともに、まずは目の前のシーズンに集中するとコメントしていた。
ポスティングと海外FAでは、移籍の仕組みが違う。ポスティングは球団が移籍を認めて初めて使える制度で、移籍が決まれば元の球団に譲渡金が支払われる。海外FA権は選手自身が持つ権利で、球団の同意がなくても行使できる。昨オフは球団の容認が出発点だったが、今オフは本人の判断で動けるわけだ。
2026年は9勝6敗、防御率2.54
FA権を取って臨んだプロ12年目は、22試合に登板して9勝6敗、防御率2.54だった。投球回は138回1/3、奪三振は114。勝ち星こそ2桁に届かなかったが、防御率は2点台半ばにまとまっている。
本人は序盤にいいスタートを切り、中盤から後半に苦しんだと振り返った。それでも最後の3登板で来年につながる投球ができたとして、成績には満足していないものの手応えのあるシーズンだったと話している。
プロ通算は218試合で82勝83敗、防御率3.30(2026年シーズン終了時点、日本野球機構の記録)。0勝11敗から2年。数字の上では、立て直しをはっきり示した1年になった。
西武は残留を要請、平良海馬も米移籍希望
球団は残ってほしいという姿勢をはっきり示している。広池球団本部長は10月12日、高橋光について「チームに残ってほしい。条件はしっかり出していく」と述べた。同じ日には、ポスティングでの米移籍を希望する平良海馬投手とも話し合う考えを明かしている。
西口文也監督も10月16日、ベルーナドームで2人について問われ、「選手の権利だし、そこは尊重する。残ってほしいなというのは本音ですよ」と語った。2人が抜けた場合の穴埋めは簡単ではないとして、投手陣への影響の大きさにも触れている。
関連記事:西口文也監督、高橋光成と平良海馬に「もちろん残ってほしい」 メジャー挑戦報道で
先発の柱と、米移籍を望む右腕。2人の去就しだいで、来季の西武の投手陣は大きく変わる。
FA行使の期限は日本シリーズ終了後
FA権を行使するかどうかの意思表明は、日本シリーズ終了の翌日から土曜、日曜、祝日を除く7日以内に行う決まりだ。2026年の日本シリーズは10月24日に開幕する予定で、最短の4試合で終われば10月28日に閉幕し、翌29日から意思表明の期間に入る。シリーズが長引けば、高橋光の結論は11月にずれ込む。
メジャー側にも気になる事情がある。現行の労使協定は12月1日に失効する予定で、交渉の行方によってはロックアウト(オーナー側による活動停止)となる可能性も報じられている。報道によると、高橋光は自分がどこで投げたいかが一番大事だとして、こうした状況は気にしていないという。
来年2月で30歳。報道によると、本人は野球人生の折り返しに来ているとも話し、残りの現役生活を見つめたうえで結論を出すつもりだという。シーズン中はメジャーへの思いをあまり意識してこなかったとして、これから自分の気持ちがどう動くかを大事にしたいと語った。
メジャー挑戦か、国内他球団か、西武残留か。秋季練習の初日に「悩んでいる」と率直に明かした右腕は、残された時間で答えを探る。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]









































































コメントはこちら