全東信・髙山萬保社長が死去、破産手続きは「影響なし」と管財人 負債1259億円の決済代行会社が破綻した経緯と、加盟店の売上金のゆくえ

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破産手続き中の決済代行会社、全東信(大阪市中央区)の髙山萬保社長が死去した。東京商工リサーチ(TSR)が11月6日、複数の関係者への取材で伝えた。破産管財人室は手続きへの影響はないと説明する。全東信は飲食店向けのカード決済代行で、2025年3月期の時点で約1259億円の負債を抱え、7月に破産していた。
髙山萬保社長の死去と、管財人室「手続きに影響なし」
全東信の代表取締役社長、髙山萬保氏の死去は、11月6日に東京商工リサーチが報じて明らかになった。同社によると、複数の関係者が死去を明かしたという。死去の日時などは公表されていない。
破産管財人室は東京商工リサーチの取材に「代表者への聞き取りは不可能になるが、破産手続きへの影響はなく、これまで通り粛々と進められる予定」と答えた。会社の破産手続きは、代表者の死去で止まることなく続く。
髙山氏自身も、9月16日付で大阪地方裁判所から破産開始決定を受けていた。会社の破産とは別に、社長個人の破産手続きも進んでいたことになる。
髙山社長の経歴で公表されていること
髙山氏の経歴について、公表・報道で確かめられる情報は限られる。東京商工リサーチは7月、全東信の代表者は2006年9月の設立から破産まで同じ人物が務めていたと伝えている。7月の会社の破産は、企業として機関決定が難しい場合などに使われる「準自己破産」と呼ばれる手続きで、申し立てたのは全東信の代表者だった。
全東信とはどんな会社か 飲食店のカード売上を早く店へ
全東信は、飲食業を中心に、サービス業や物販業の店を対象としたクレジットカードの立替払いを手がけていた。客がカードで払った代金を、カード会社からの入金を待たずに全東信が先に店へ立て替えて払う仕組みだ。
売りは入金の早さにあった。週2回・月6回の早期決済は業界初とされ、このサービスで知られた。加盟店は2018年9月時点で20万店を超え、一時期は毎月2000店以上のペースで新規の契約が増えていたという。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本社 | 大阪市中央区島之内 |
| 創業 | 1987年5月 |
| 設立 | 2006年9月 |
| 資本金 | 45億円。設立時は9000万円で増資を重ね2022年3月に45億円に |
| 事業 | 飲食業などを対象にしたクレジットカードの立替払いと決済代行 |
| 加盟店 | 20万店以上 |
| 売上高 | 約82億円 |
| 破産管財人 | はばたき綜合法律事務所の印藤弘二弁護士 |
2020年3月期の売上高は約82億円に上った。取引先の中心が飲食店だったことが、のちのコロナ禍で業績を直撃する。
全東信の破産はなぜ スマホ決済との競争とコロナ禍、重い債務
東京商工リサーチによると、新型コロナウイルスの流行に伴う飲食店の営業制限などで業績が悪化した。コロナ禍の影響が和らいだ後も過去の金融債務の負担が重く、財務を立て直せないまま事業を続けられなくなった。時事通信によると、破産申立書には、スマートフォン決済の普及で加盟店から受け取る手数料率の引き下げを迫られ、2015年ごろから収益が急速に悪化したと書かれている。
7月6日、全東信について大阪地裁に破産が申し立てられ、同日に破産開始決定が出た。負債総額は2025年3月期決算時点で約1259億2900万円。負債が1000億円を超える倒産は、2025年12月のドローンネット以来7カ月ぶりだった。共同通信は、申し立ての時点の債権者を115人、負債総額を約1151億円と報じており、数字は時点によって異なる。
共同通信は、大阪地裁に出された破産申立書などをもとに、過去の決算が粉飾されていた疑いがあると伝えている。実態の解明は、破産手続きの中で進むことになる。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1987年5月 | 創業 |
| 2006年9月 | 株式会社全東信を設立 |
| 2018年9月 | 加盟店が20万店以上に |
| 2020年3月期 | 売上高約82億円 |
| 2025年3月期 | 決算時点の負債約1259億2900万円 |
| 2026年7月6日 | 大阪地裁が破産開始決定、 |
| 2026年7月10日 | 経済産業省が加盟店などの資金繰り支援を発表 |
| 2026年9月16日 | 髙山社長個人が破産開始決定を受ける |
| 2026年9月25日 | 管財人が未精算の売上金をカード会社が支払うと発表 |
| 2026年10月9日 | 管財人とクレディセゾンが支払日を10月15日と発表。6社分は当初10月30日頃の予定だった |
| 2026年10月15日 | カード会社7社分の未精算の売上金の支払日 |
| 2026年11月6日 | 髙山社長の死去が報じられる |
加盟店の売上金はどうなる カード会社が約54億円を支払い、10月15日から入金
破産の影響は、全東信と契約していた飲食店に広がった。7月6日の破産開始で決済代行と付帯するサービスはすべて中止となり、カード決済ができないと店先に貼り紙を出す飲食店も出た。大阪府社交飲食業生活衛生同業組合は端末の使用停止を緊急で呼びかけ、組合には代わりの決済機器を導入したいという相談が相次いだ。
入金されないまま残った売上金も多い。共同通信の管財人への取材では、7月1日から5日までの売上金が入っていない店は少なくとも2万店を超え、総額は計53億円に上った。全東信は端末の使用停止を呼びかけていたが、破産開始後の6日から15日にかけて一部の端末が動き、数千万円分の売上が出ていたことも分かっている。千葉県浦安市で飲食店を営む店主は7月、共同通信の取材に「7月分の売上金はもう取り返せないのではと諦めている」と話していた。
当初の見通しは厳しかった。管財人の案内では、破産開始までに立替払いを受けていない売上金は法律上「破産債権」として扱われ、全東信が約束していた期日には払えないとされた。配当が見込める場合も、通常は割合に応じた弁済になると説明している。経済産業省は7月10日、日本政策金融公庫などのセーフティネット貸付の対象を広げ、全国約370カ所に相談窓口を設けると発表した。
流れが変わったのは9月25日だ。管財人は、カード会社が資金を用意して、約2万店に総額約54億円の未精算の売上金を支払うと発表した。支払うのは全東信と提携していたカード会社7社で、管財人が加盟店に出した案内では、このうちユーシーカード、ジェーシービー、三菱UFJニコス、三井住友トラストクラブ(ダイナースクラブカード)、三井住友カード、イオンフィナンシャルサービスの6社が扱うカードの分と、クレディセゾンが扱うカードの分とで、支払いの方法が分かれる。
支払いの対象は、7月1日から31日までに出た売上金と、6月以前の未精算分のうち各社の確認を経た金額で、所定の手数料が差し引かれる。6社分は管財人が管理する全東信の支払いシステムを使い、店が登録していた口座へ振り込む。9月の案内では10月30日頃の予定だったが、管財人は10月9日、支払日を10月15日と発表し、半月ほど早まった。クレディセゾンが扱うカードの分は別枠で、同社が店へ直接支払う。同社も10月9日、支払日を10月15日と加盟店に知らせた。
この支払いを受けた分は、破産債権の届け出など破産手続きに加わる必要がなくなる。日本経済新聞は、10月15日に未回収だった売上金がカード会社から振り込まれた大阪市の飲食店を伝えている。売上金を諦めかけていた店にとって、大きな前進となった。
社長の死去後も続く破産手続き
管財人室は、代表者から話を聞けなくなったことを認めつつ、手続きはこれまで通り進めるとしている。全東信の破産手続きは、大阪地裁のもとで続く。
加盟店の売上金は、カード会社の支払いで決着に向かう。一方、金融機関などほかの債権者に、残った財産からどれだけ配当できるかは、破産手続きの中でこれから決まる。
管財人は、加盟店の売上金について新しい取り扱いが決まれば、全東信のホームページで知らせるとしている。加盟店が20万店を超えた時期もあり、早い入金で飲食店の資金繰りを支えてきた決済代行会社の清算は、代表者不在のまま進む。
[文/構成 by ライター 凪]










































































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