映画監督・萩生田宏治さん死去、59歳 『楽園』『神童』『コドモのコドモ』、遺作『月の海』まで手がけた作品と経歴

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映画監督の萩生田宏治(はぎうだ・こうじ)さんが2026年10月21日に亡くなった。59歳だった。日本脚本家連盟が11月4日、公式サイトで連盟員の訃報として伝えている。島を舞台にした初期作から『神童』『コドモのコドモ』、遺作の中編『月の海』まで、手がけた作品を経歴順にたどる。
日本脚本家連盟が11月4日に発表、10月21日に59歳で死去
日本脚本家連盟は11月4日、公式サイトの「おくやみ」の欄に萩生田さんの訃報を載せた。告知は短く、次の2文だけだった。
連盟員の萩生田宏治氏が2026年10月21日にご逝去されました。59歳でした。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
これに先立つ11月2日には、共同通信も訃報を配信した。病気のため亡くなり、葬儀はすでに済ませたという。日本経済新聞や北海道新聞が同じ内容を伝え、6日にはスポーツニッポンが経歴と主な作品を添えて報じている。
萩生田さんは1967年生まれで、埼玉県さいたま市の出身。1995年に映画監督としてデビューし、監督作の多くで脚本も自ら書いた。遺作『月の海』の公式サイトのプロフィールによると、テレビではドキュメンタリー番組の演出や、ドラマの演出・脚本も数多く手がけている。
年表で見る萩生田宏治さんの主な作品
監督デビューから遺作まで、劇場公開や上映の年を軸に主な仕事を並べた。製作年と公開年がずれる作品は公開年の行に書き、『楽園』だけは製作した年の行も設けた。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1967年 | 埼玉県さいたま市に生まれる |
| 1995年 | 『君が元気でやっていてくれると嬉しい』 |
| 1998年 | 監督2作目『楽園』を製作。監督と脚本を兼ねる |
| 2000年 | 『楽園』が6月17日に劇場公開。文化庁芸術祭のテレビドラマ部門で優秀賞 |
| 2002年 | 日本テレビ系ドラマ『私立探偵 |
| 2005年 | 西島秀俊主演『帰郷』 |
| 2006年 | 『帰郷』で第20回高崎映画祭の若手監督グランプリを受賞 |
| 2007年 | 成海璃子と松山ケンイチが出演した『神童』が4月21日に公開 |
| 2008年 | 『コドモのコドモ』が9月27日に公開。第13回釜山国際映画祭に出品 |
| 2014年 | 黒川芽以主演の日台合作『南風』が7月12日に公開 |
| 2018年 | NHK総合『ミステリースペシャル |
| 2022年 | 中編『月の海』を東京・ |
| 2026年 | 10月21日に死去、 |
山本政志・林海象の現場から、島を撮ったデビュー作と『楽園』
監督になる前の萩生田さんは、山本政志監督や林海象監督の作品で助監督を務めた。林監督の『遥かな時代の階段を』も、助監督として関わった作品の一つ。河瀬直美監督の現場にも助監督として加わっている。
デビュー作は1995年3月18日公開の『君が元気でやっていてくれると嬉しい』だった。大島の片隅に家を建てようとする男・プー(荒野真司)のもとを、葉書を頼りに女・ラー(石本由美)が訪ね、家づくりを手伝い始める。だが、ある日プーは地主から土地を返すよう迫られる。小さな島の暮らしを舞台に、2人の交流を描いた。
2作目の『楽園』(1998年製作)でも、舞台は小さな島に置かれた。買い手のつかない船を造り続ける老人と、そんな祖父を理解できない孫娘がいる。そこへ巡業の獅子舞一座の青年が現れ、船づくりを手伝い始めると、遠くから見ていた孫娘も船に引かれていく。
出演は松尾れい子、荒野真司、谷川信義ら。荒野はデビュー作に続く出演で、撮影は田村正毅が担当した。国内の劇場公開は2000年6月17日。遺作『月の海』の公式サイトのプロフィールやスポーツニッポンによると、この作品はトロント映画祭や釜山映画祭などに招待され、2000年には文化庁芸術祭のテレビドラマ部門で優秀賞を受けた。
『帰郷』『神童』『コドモのコドモ』、俳優と組んだ2000年代
2000年代には、西島秀俊、成海璃子、松山ケンイチ、麻生久美子らが出演する作品を続けて撮った。2005年から2008年までの3作は、いずれもビターズ・エンドが配給している。
西島秀俊主演の『帰郷』
2005年6月11日に公開された『帰郷』(2004年製作)は、西島秀俊の主演作だった。母(吉行和子)の再婚式に出るため故郷へ戻った晴男(西島秀俊)が、かつての恋人・深雪(片岡礼子)と再会する。ところが深雪は幼い娘のチハル(守山玲愛)を残して姿を消し、晴男がチハルと過ごす日々が始まる。
脚本は萩生田さんと、俳優で監督の利重剛の共同。光石研も出演した。翌2006年の第20回高崎映画祭では、萩生田さんが若手監督グランプリに選ばれ、西島秀俊が最優秀主演男優賞、片岡礼子が最優秀助演女優賞を受けた。
さそうあきらの漫画を映画にした『神童』
2007年4月21日公開の『神童』は、さそうあきらの同名漫画が原作だ。ピアノの才能を持て余す13歳の少女・うた(成海璃子)が、音大を目指す浪人生のワオ(松山ケンイチ)と出会い、音楽を楽しむ気持ちに目覚めていく。柄本明、手塚理美、貫地谷しほり、西島秀俊らも出演している。
小学生の妊娠を描いた『コドモのコドモ』
翌2008年9月27日には、再びさそうあきらの漫画を原作にした『コドモのコドモ』が公開された。原作は小学生の妊娠と出産を題材にした同名コミック。小学5年生の春菜が妊娠するが、周りの大人は彼女の話を信じない。萩生田さんは宮下和雅子と共同で脚本も書いた。
春菜を演じたのは新人の甘利はるな。担任の八木先生を麻生久美子が演じ、上野樹里や谷村美月、宮崎美子らも出演した。この作品は第13回釜山国際映画祭に出品されている。
台湾で撮った『南風』とテレビの仕事
6年後の2014年7月12日には、日本と台湾の合作『南風』が公開された。恋人にふられ、希望しない担当に異動したファッション誌編集者の風間藍子(黒川芽以)が、取材で台湾を訪れる。自転車を借りた店で出会ったのは、モデルを夢見る16歳の少女トントン(テレサ・チー)。21歳と偽って旅に加わったトントンと、藍子は日月潭を目指して走る。撮影は台湾で約500キロのロケを行った。
テレビドラマでも名前が残る。2002年に日本テレビ系で放送された『私立探偵 濱マイク』は、助監督として現場を共にした林海象が原作を手がけた作品で、萩生田さんは第3話「どこまでも遠くへ」(7月15日放送)の演出を担当した。2018年8月にNHK総合で3夜連続放送された『ミステリースペシャル 満願』では、米澤穂信の短編集を原作に、萩生田さん、榊英雄、熊切和嘉の3人の映画監督が演出を担当した。
遺作『月の海』は介護を描いた45分の中編
共同通信は、2022年に上映された『月の海』を遺作と伝えた。劇団「日穏-bion-」が2016年と2018年に上演した舞台をもとにした、約45分の中編映画だ。原案と脚本は、劇団を主宰する岩瀬顕子(当時は岩瀬晶子の名義)が手がけた。
物語の舞台は東京都内の一軒家になる。結月静子(岩瀬顕子)は、認知症で静子の名前すら覚えていない義母・晴江(矢野陽子)の介護に追われ、少しずつ周りから孤立していく。ある日、窃盗犯の小暮大輝(金子貴伸)が結月家に身を隠し、静子に見つかる。危機が迫る中で晴江が口にした一言が、家族に光を差し込む。公式サイトは、血のつながらない母と娘の関係を描いた作品と紹介している。
製作はジャパンコンシェルジュ、配給はビオン・エンターテイメント。文化庁の令和2年度文化芸術活動継続支援事業の助成を受けて作られ、東京都豊島区が後援した。
上映は舞台と組み合わせた形で行われた。2022年3月20日から22日まで、東京・高円寺のシアターバッカスで、舞台版『月の海』『星の砂』の映像と同時に上映され、映画の各回に15分のトークが付いた。公式サイトでは、大分市の映画館シネマ5でのモーニングショー上映も告知されている。
島で家を建てる男を描いたデビュー作から27年。都内の一軒家で介護に向き合う家族を描いた45分の作品が、萩生田さんの最後の監督作になった。
[文/構成 by ライター 小川 そら]











































































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