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渡部海、楽天が中日との抽選制し1位交渉権獲得 大阪市出身、住吉ボーイズから智弁和歌山・青学大へ

渡部海、楽天が中日との抽選制し1位交渉権獲得 大阪市出身、住吉ボーイズから智弁和歌山・青学大へ

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10月22日のプロ野球ドラフト会議で、青山学院大学の渡部海捕手(22)を楽天と中日が1位で指名し、抽選の末に楽天が交渉権を獲得した。くじを引いたのは楽天の石井一久GM。大阪市住吉区で育ち、住吉ボーイズ、智弁和歌山高校を経て大学No.1捕手と呼ばれるまでになった。楽天が捕手を1位で指名するのは球団史上初めてだ。

楽天と中日が重複、石井GMが「黄金の左」で当たりくじ

2026年のドラフト会議は10月22日に都内のホテルで開かれた。1位入札で渡部の名前を書いたのは楽天と中日の2球団。抽選に臨んだのは、楽天が石井一久GM、中日が荒木雅博球団本部長補佐だった。

当たりを引いたのは石井GMだった。日米通算182勝を挙げた左腕は、この日も左手でくじをつかんだ。2020年のドラフトでも、4球団が競合した早稲田大の早川隆久投手を同じ左手で引き当てている。

「本気の時は左です。ここは外せないんで」。石井GMはくじを手にした瞬間に当たりだと感じたと明かし、「ほっとしました。人生2番目で緊張しました」とも語った。指名後は吉井理人監督とともに青山学院大学を訪れ、指名のあいさつをしている。会議には験担ぎで、以前ドラフトで当たりくじを引いた時のネクタイを締めて臨み、渡部へのあいさつ用に青学のネクタイも用意していたという。

石井GMが高く買うのは技術だけではない。面談の時点で、人間性や精神面は自分より成熟していると感じたといい、勝者のメンタリティーを持っている選手だと評価した。

ここで押さえておきたいのは、今の時点で決まったのは「交渉権の獲得」だという点だ。ドラフトで指名した球団が、その選手と入団交渉をする権利を手にした段階で、契約を結んで正式に入団するのはこの先になる。

外れた中日は宮原廉を指名、ここでも抽選に

くじを外した中日は、外れ1位として近畿大学の宮原廉投手を指名した。ところがここでもロッテと重複し、2度目の抽選となる。再び壇上に上がった荒木球団本部長補佐が、今度は当たりを引き当てた。

宮原は広島県出身で、崇徳高校から近畿大学に進んだ。最速157キロを誇る右腕で、3年春からエースを任され、大学日本代表にも選ばれている。荒木球団本部長補佐は「意気消沈しているところで、次に(交渉権を)取れたので、ホッとしています」と胸をなで下ろした。中日は支配下6人、育成2人の計8人を指名した。

一方の楽天は、1位の渡部に続いて4位でも東芝の萩原義輝捕手を指名した。即戦力の捕手2人の交渉権を得て、支配下6人、育成4人の計10人で指名を終えている。

大阪市住吉区で育ち、住吉ボーイズでU15代表に

渡部は2004年8月20日生まれ、大阪市の出身だ。長身180cmの右投げ右打ちで、住吉区にある遠里小野小学校の1年の時に大阪ゴールデンファイヤーで野球を始めた。

大阪市立大和川中学校に進むと、硬式野球の住吉ボーイズでプレーし、U15日本代表にも選ばれた。地元の少年野球チームで白球を追い始めた少年は、中学の硬式チームで早くも日の丸を背負っている。

時期学校・チーム主な出来事
小学校遠里小野小学校(大阪ゴールデンファイヤー)小学1年で野球を始める
中学校大阪市立大和川中学校(住吉ボーイズ)U15日本代表に選出
高校智弁和歌山高校2年夏に正捕手として甲子園優勝、3年時にU-18W杯で銅メダル
大学青山学院大学1年春から正捕手、東都大学リーグ6連覇、2年秋にリーグMVP
2026年10月ドラフト会議楽天と中日が1位で重複、抽選で楽天が交渉権を獲得

智弁和歌山で全国制覇、青学大では1年春から正捕手

高校は和歌山の強豪、智弁和歌山を選んだ。1年夏からベンチに入り、2年夏の甲子園では正捕手として全国制覇を経験する。3年夏の甲子園は初戦で敗れたが、この年はU-18日本代表に選ばれ、U-18ワールドカップで銅メダルを手にした。高校通算は38本塁打を数える。

智弁和歌山では、イチロー氏から指導を受けた経験もある。指名を受けた渡部は「ここまで来れたのはイチローさんの指導が大きかった」と感謝を口にした。

青山学院大学では1年春の2023年からマスクをかぶり、リーグ戦デビューの年に新人賞を受けた。チームは3年秋まで東都大学リーグで6季連続の優勝を果たし、全国の大舞台でも頂点に立っている。2年秋にはリーグMVPを獲得した。

大学日本代表には3年時から2年続けて選ばれ、4番も任された。2026年7月の第1回ワールド・カレッジ・ベースボール・チャンピオンシップ(WCBC)では主将を務めた。強肩強打に加え、投手を引っ張るリードにも定評があり、「大学No.1捕手」と評されてきた。

台湾・台中で開かれたWCBCは2026年に新設された大学野球の国際大会で、日本は決勝で米国を破り初代王者になった。渡部は主将としてマスクもかぶり、その優勝を支えた。この大会には中日から1位指名を受けた宮原も名を連ねていた。リーグ戦のベストナインには5度選ばれている。

「ルーキーから出るつもり」本人と吉井監督の言葉

指名を受けた会見で、渡部は「自分を必要としてくださる楽天さんから1位指名をいただき、本当にうれしい気持ちです」と喜びを語った。楽天については若手が中心のチームという印象を持っており、その一員になれるよう練習に励みたいと話している。

目標ははっきりしていた。「レギュラーとしてルーキーから出るつもりでいるので、準備していきたい」。自分の持ち味については「投手の能力を最大限に引き出すところ」だと言い切った。

指名のあいさつに訪れた吉井監督は「1回組んでみたいなと思えるキャッチャーですね。座っているしぐさを見ても、投手が良くなる雰囲気を出している」と評価した。現役時代に投手として活躍した指揮官らしい見方だ。対面した渡部は「吉井監督は焦らずにと言ってくださったが、早くレギュラーをつかんで試合に出たい気持ちが強い」と、はやる気持ちを隠さなかった。

楽天には、智弁和歌山の先輩にあたる黒川史陽内野手と、青山学院大学の先輩にあたる中島大輔外野手が在籍する。仙台を訪れたことはまだないが、知っている選手が多く不安はないという。地域に密着し、地元の人に応援されるのが楽天の特徴だと感じており、仙台を温かい街だと話した。

青学大は鈴木泰成とバッテリーで1位、仙台での挑戦へ

この日は、大学で渡部とバッテリーを組んできたエースの鈴木泰成投手も、ソフトバンクから1位で指名された。青山学院大学から1位指名が2人出るのは4年連続で、史上初めてのことだ。

大学で受けてきた投手と、来季からは別のチームで向き合うことになる。渡部がプロで対戦したい相手として挙げたのは、打者ならソフトバンクの近藤健介、投手なら同じくソフトバンクのモイネロ。捕手としても打者としても、球界を代表する選手を相手に力を試したい考えだ。

大阪の少年野球チームから始まった野球人生は、智弁和歌山の甲子園優勝、青山学院大学の東都6連覇を経て、仙台へと続く。今後は楽天との入団交渉に進み、契約がまとまれば、球団初の「捕手ドラ1」としてプロでの一歩を踏み出す。

今年のドラフト候補の顔ぶれは、週刊ベースボールの増刊「2026ドラフト候補選手名鑑」にもまとめられている。

関連記事:渡部海の父・達人さん「僕の役割は野球を嫌いにならないようにするだけでした」 大学まで野球の父が見守ったドラ1候補の原点

[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]

寄稿者

高瀬翔吾
Webメディアでスポーツ、エンタメ、時事ニュースなど、累計数千本の記事制作に携わってきたスポーツ系ライター。野球分野では、プロ野球の試合結果や選手の記録をはじめ、MLB、高校野球、ドラフト、移籍、契約更改などの記事を継続的に担当。数字や公式記録を基に情報を整理する記事を得意としており、結果を伝えるだけでなく、その記録が持つ意味や、選手・球団を取り巻く背景までわかりやすく解説することを心がけている。主な執筆分野は、プロ野球、MLB、高校野球、侍ジャパン、ドラフト、移籍情報。

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