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豊昇龍、九州場所へ「出るつもり」 右ひざ手術後の朝稽古で幕下以下と15番13勝2敗

豊昇龍、九州場所へ「出るつもり」 右ひざ手術後の朝稽古で幕下以下と15番13勝2敗

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3場所連続で休場している横綱・豊昇龍(27)=立浪部屋=が10月27日、福岡県糸島市の立浪部屋宿舎で福岡入り後初めて相撲を取る稽古を行い、幕下以下の力士と15番取って13勝2敗だった。九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)について「出るつもり」と意欲を見せた一方、最終判断は「ぎりぎりまで分からない」とし、師匠の立浪親方(元小結旭豊)と話して決める考えを示した。

糸島の部屋宿舎で15番、福岡入り後初めて相撲

九州場所の番付が発表された翌日の朝だった。豊昇龍は四股やすり足で入念に体をほぐしてから、途中で土俵に入る。相手を務めたのは部屋の若い衆で、報道によると幕下の大花竜、三段目の木竜皇、春雷の3人。合わせて15番を取り、黒星は2つにとどまった。

右ひざにはテーピングを巻き、サポーターを着けての稽古となった。鋭い立ち合いから左上手を取れば地力の差を見せる。手術した右足から踏み込んでいく場面もあり、ひざをかばうしぐさはあまり見られなかった。ただ、低い体勢で攻め込まれると、あっさり土俵を割る場面もあった。負けた一番では悔しそうな表情をのぞかせつつ、動きを確かめていたという。

内容について、豊昇龍は部屋に関取経験者がいることに触れ、部屋の中でも良い稽古ができると手応えを口にした。7月下旬に手術を受けた右ひざは「日に日に良くなっている」。報道では、本場所ではサポーターを着けずに土俵に上がりたいとの思いも伝えられている。

この日の午後は福岡国際センターで開かれた力士会に出席し、その足で横綱・大の里、大関・安青錦らと福岡市役所、福岡県庁を表敬訪問した。稽古場から公の場へ、看板力士としての1日が続いた。

関連記事:大の里・豊昇龍・安青錦が福岡市役所を表敬、九州場所へ 大の里はラーメンを楽しみに

「出るつもり」と「ぎりぎりまで」 出場判断は師匠と

出場の可否を問われた豊昇龍の答えは、前向きな言葉と慎重な言葉が並ぶものだった。

「出るつもりでやっている」。報道によって語尾は「やっています」とも伝えられたが、九州場所に向けて出場を前提に準備していることをはっきり口にした。続けて「ぎりぎりまで分からない」と話し、立浪親方と相談したうえで決めると説明した。右ひざについては「悪化しないように」とも語り、状態を見極めながら調整を進める姿勢を崩していない。

場所前の出稽古も頭にある。ただ、いつから他の部屋へ出向くかは決めていないという。部屋の若い衆との稽古で感覚を取り戻しつつ、関取相手の稽古をどこで入れるかが、初日までの焦点になる。

次に出る場所は、横綱としての進退にもかかわる。

名古屋で右ひざ悪化、手術を経て3場所連続の休場

けがの流れを整理しておく。5月の夏場所は初日に右太もも裏を痛め、2日目から休場した。7月の名古屋場所には出場したものの、場所中に古傷の右ひざを悪化させ、14日目から休場。場所後の7月下旬、右ひざの内側側副靱帯の手術を受けている。

手術の事実を本人が明かしたのは、8月19日に両国国技館で行われた健康診断の場だった。以前から痛めていたものの、ここまで悪いとは思っていなかったと打ち明け、医師から手術をしなければ回復に1年かかると告げられたことが決め手になったと説明した。約1週間入院し、夏巡業は休場している。

9月の秋場所は初日から全休となり、夏場所から3場所続けて本場所の土俵を離れた。日本相撲協会の記録では、2026年の成績は次のとおりだ。

場所地位成績
初場所東横綱10勝5敗
春場所東横綱11勝4敗
夏場所東横綱0勝2敗13休
名古屋場所東横綱7勝7敗1休
秋場所西横綱0勝0敗15休

春場所までは2桁勝利を続けていた。流れが変わったのは5月以降だ。夏場所、名古屋場所、秋場所と3場所続けて15日間を取り切れず、7月の名古屋場所では7勝止まりで勝ち越しも逃した。

秋場所の休場が決まった9月11日、立浪親方は次に出る場所が進退にかかわるとの考えを示し、弟子の状態についても説明している。親方によると、精神的な落ち込みや不眠も重なり、名古屋場所で150キロあった体重は10キロ落ちていたという。秋場所前の9月4日の稽古総見でも、四股を踏み、ぶつかり稽古で胸を出す動きにとどまり、相撲を取る稽古はできていなかった。

横綱昇進は2025年春場所。九州場所は、昇進から数えて11場所目の本場所になる。

秋巡業で番数を重ね、師匠は出場を明言

復帰への足取りは、10月の秋巡業から本格化した。豊昇龍は10月10日の長野県松本市から途中参加し、14日の岐阜県高山市で相撲を取る稽古を再開。高山では大の里と10番取って7勝3敗。16日の京都市では大の里らと計19番で8勝11敗と負け越し、大の里との三番稽古では後半に力負けする場面が続いた。視察した八角理事長(元横綱・北勝海)から番数を重ねるよう指示されると、本人も「番数をこなしたい」と応じ、後半は疲れたと振り返っている。18日の兵庫県姫路市では平幕の湘南乃海、平戸海と18番取り、12勝6敗と白星を重ねた。

巡業は25日の山口県宇部市で全日程を終え、豊昇龍は最終日まで帯同した。この日は相撲を取らず基礎運動にとどめ、報道によると「良い感じに体も仕上がった。学ぶこともたくさんあった」と巡業を締めくくっている。福岡での15番は、その2日後のことだった。

その間の10月20日、立浪親方は豊昇龍を九州場所に出場させる方針をはっきり口にした。巡業から参加していることを挙げての発言だった。それから1週間後、福岡で相撲を取った本人は、出場への意欲を示しながらも、最後は右ひざの状態を見て決める姿勢を崩さなかった。

関連記事:豊昇龍、九州場所出場へ 師匠・立浪親方が方針示す 右膝手術を経て2場所ぶりの本場所

11月8日初日、横綱として初の賜杯へ

九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎え、22日まで15日間行われる。10月26日に発表された番付で、豊昇龍は西の横綱に座る。東の横綱は、秋場所で6度目の優勝を果たした大の里。九州場所では連覇がかかる。

福岡の土俵との相性は悪くない。2024年の九州場所では西大関として13勝2敗の好成績を残し、千秋楽まで琴桜と優勝を争った。横綱として臨んだ2025年の九州場所も12勝3敗で、優勝決定戦で安青錦に敗れて賜杯を逃した。

豊昇龍はモンゴル・ウランバートル出身で、叔父は元横綱・朝青龍。日本相撲協会の記録によると、幕内最高優勝は2回で、2023年名古屋場所で初優勝し、2025年初場所で2度目の賜杯を抱いた。その初場所後に第74代横綱へ昇進したが、横綱としての優勝はまだない。

出場すれば、7月の名古屋場所以来となる本場所の土俵。糸島の稽古場で取った15番は、その再出発に向けた最初の一歩になった。10月27日の時点で、初日までは12日。出稽古の時期と右ひざの回復ぶりが、最終判断を左右する。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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