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菊花賞、ロブチェン最終追い切りで半馬身先着 杉山晴紀調教師「反応も良かった」

菊花賞、ロブチェン最終追い切りで半馬身先着 杉山晴紀調教師「反応も良かった」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

史上9頭目の牡馬クラシック3冠がかかる2冠馬ロブチェン(牡3)=栗東・杉山晴紀厩舎=が10月21日、第87回菊花賞(G1、10月25日・京都芝3000m)に向けた最終追い切りを栗東CWコースで行った。半マイル(4ハロン)からの併せ馬で、4ハロン52秒5、ラスト1ハロン11秒1をマークし、馬なりのまま僚馬に約半馬身先着。追い切り後、杉山晴紀調教師はこの日の内容について、もう本当に言うことはないという趣旨の言葉で仕上がりに太鼓判を押した。

栗東CWで半馬身先着、ラスト1ハロン11秒1

追い切りは21日の朝、栗東トレーニングセンターのCWコースだった。鞍上は厩舎の花田助手。4歳の3勝クラス馬ミュージシャンを4馬身ほど前に置いて向正面から加速し、道中は前を深追いせずに自分のリズムを守る。4コーナーでペースが上がっても手綱は持ったままで、直線で僚馬の外へ回ると、重心の低いフォームでじわりと前に出た。

時計は4ハロン52秒5、ラスト3ハロン36秒9、1ハロン11秒1。全体の数字は目立つものではないが、ゴール後の走りも軽く、余力を残したままの先着だった。

なぜ、この軽めの内容なのか。

答えは厩舎の調整パターンにある。2週前と1週前は主戦の松山弘平騎手が乗って動きを確かめ、当週は厩舎スタッフが乗って半マイルから軽く済ませる。この流れは皐月賞、日本ダービーと同じで、1週前の10月15日にはCWコースの3頭併せで最先着し、負荷をかける作業はすでに終わっていた。

杉山晴紀調教師「整える感じ」と納得の表情

杉山師は追い切り後の取材で、先週である程度負荷はかけ終わったので、今週は「整える感じ」でやったと説明した。そのうえで、鞍上が「抑えるところはしっかり収まって」、動くときは「反応も良かった」と動きを評価する。この日の内容を受けて、もう本当に言うことはなかったと語り、笑みを浮かべた。

トレーナーにとっても特別な一戦となる。2020年にはデアリングタクトで無敗の牝馬3冠を成し遂げており、ロブチェンが菊花賞を勝てば、牡馬と牝馬の両方で3冠馬を送り出す史上初の調教師となる。デアリングタクトの主戦も松山騎手で、騎手と調教師のコンビとしても前例のない記録がかかる。厩舎は2016年10月に栗東で開業し、ちょうど10年の節目を迎えた。2026年7月にはJRA現役最速で通算400勝に到達しており、勢いに乗ったまま最後の1冠に挑む。

1週前に騎乗した松山騎手は、2週前に感じた緩さがほとんどなくなり、ぐんと良くなったと手応えを口にした。週末は雨の予報だが、馬場や脚質を問わない点を相棒の長所に挙げ、「自在性があるところがやはり一番」と信頼を寄せている。

ホープフルSから皐月賞、日本ダービーまでの歩み

ロブチェンは父ワールドプレミア、母ソングライティング(米国産)の血統で、生産はノーザンファーム、馬主はフォレストレーシング。父は2019年の菊花賞と2021年の天皇賞・春を勝ったステイヤーで、3000mの舞台は父が最初のG1を手にした場所でもある。

デビューは2025年11月9日の京都。重馬場の芝2000mで2着に0秒5差をつけて勝ち上がると、2戦目のホープフルSで7番人気ながらフォルテアンジェロを抑え、G1初制覇を飾った。年明けの共同通信杯はリアライズシリウスに敗れて3着。ここが今のところ唯一の黒星だ。

4月19日の皐月賞は逃げて1分56秒5のレコードで快勝し、2着のリアライズシリウスに共同通信杯の借りを返した。5月31日の日本ダービーは18頭立ての17番という外の枠から、一転して中団に控えて運び、直線でパントルナイーフを差し切って2冠を手にした。逃げても差しても勝てる自在さは、ここで証明された。

秋初戦の神戸新聞杯(9月21日・阪神芝2400m)は、11頭立ての中団で運び、4コーナーで4番手まで押し上げる展開。直線で前をとらえ、アルトラムスを鼻差で退けた。2000年以降の3冠馬ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルはいずれも神戸新聞杯を勝って菊花賞を制しており、ロブチェンも同じ道を歩んでいる。

日付レース着順騎手
2025年11月9日2歳新馬(京都芝2000m)1着松山弘平
2025年12月27日ホープフルS(G1、中山芝2000m)1着松山弘平
2026年2月15日共同通信杯(G3、東京芝1800m)3着松山弘平
2026年4月19日皐月賞(G1、中山芝2000m)1着松山弘平
2026年5月31日日本ダービー(G1、東京芝2400m)1着松山弘平
2026年9月21日神戸新聞杯(G2、阪神芝2400m)1着松山弘平

通算6戦5勝。デビューから6戦すべてで松山騎手が手綱を取ってきた。重賞の勝ち星はいずれも1馬身未満の着差で、派手さより勝負強さが目立つ戦績だ。

3冠阻止を狙うダノンヒストリー、ジャスティンシカゴ

牡馬3冠は2005年ディープインパクト、2011年オルフェーヴル、2020年コントレイルなど過去8頭が達成しており、ロブチェンが勝てば6年ぶり9頭目となる。

対抗勢力の筆頭に挙がるのが、美浦・堀宣行厩舎のダノンヒストリー(父エピファネイア)だ。2025年6月の新馬戦を勝ち、11月の東京スポーツ杯2歳Sは1番人気で7着。その後は体調が整わずに春のクラシックを見送った。夏の北海道で芝2600mを2連勝して4戦3勝とし、トライアルを使わずに菊花賞へ直行する。21日は美浦Wコースでミッキーファルコンと併せ馬を行い、5ハロン67秒6、ラスト1ハロン11秒7をマークした。堀調教師は、これまで調教した馬の中でも一番フットワークが大きいと評し、その長所を生かすには長距離戦が向いているとの見方を示している。週末の雨についても、そうした馬場で走らせてみたいと前向きだった。

セントライト記念を勝ったジャスティンシカゴ(美浦・宮田敬介厩舎)は、21日に原優介騎手を背に美浦Wコースでオルグジェシダと併せ、ラスト3ハロン38秒2、1ハロン11秒9をマーク。終始馬なりで、リズムよく走れていた。原騎手は「自信を持って臨む舞台」と言い切り、2冠馬を負かしにいく構えを見せている。

関連記事:菊花賞2026の予想オッズ、ロブチェンがAI予想で単勝1.9倍の1番人気 20日時点

一方、神戸新聞杯でロブチェンと鼻差の勝負を演じたアルトラムスは、10月13日に左後肢の歩様の乱れが見つかり、菊花賞を回避した。その後の検査で左後肢の種子骨に骨折線が確認され、全治6カ月以上と診断されている。

枠順は10月22日に確定、初の3000mと雨が焦点

出走馬と枠順は10月22日に確定する。ロブチェンにとっては、これまでで最も長い2400mから600m延びる初の3000mとなり、週末の雨予報も絡む。

不安材料に見える条件だが、陣営は落ち着いている。デビュー戦は重馬場で2着に0秒5差をつけての勝利だった。父は同じ京都の3000mを制したワールドプレミア。条件がそろう一戦で、2冠馬は10月25日、3冠の最後の1冠に挑む。

[文/構成 by スポーツライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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