マスターソアラ、秋華賞へ追い切り 武豊はテン乗りで勝てば21年ぶりV、父シスキン・母マスターワークの血統

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
10月18日に京都競馬場の芝2000メートルで行われる第31回秋華賞(G1)に向け、紫苑ステークスを勝ったマスターソアラ(牝3、美浦・蛯名正義厩舎)が10月14日、美浦トレーニング・センターのウッドチップコースで最終追い切りを行った。単走で4ハロン54秒4、ラスト1ハロン12秒4。本番は武豊(57)が初めて手綱を取るテン乗りで、勝てば武豊にとって2005年のエアメサイア以来21年ぶりの秋華賞制覇となる。
美浦ウッドで単走、ラスト12秒4の最終追い切り
最終追い切りは10月14日だった。マスターソアラは美浦のウッドコースを単走で回り、半マイル(約800メートル)から馬なりのまま流す程度の内容で、4ハロン54秒4、ラスト1ハロン12秒4をマークした。併せ馬はなく、終始手綱は動かないまま。それでも末脚は軽く、気分よく伸びていく動きだった。
負荷をかける調教は、すでに前の週に済ませている。10月7日の1週前追い切りでは、ウッドコースで3歳1勝クラスのランブルスコと新馬のポッドトリガーを追走し、6ハロン85秒1、ラスト1ハロン11秒6を馬なりで出した。結果は半馬身の遅れ。ただ、蛯名正義調教師(57)は「いい感じ。使って上がってきている」と気にするそぶりを見せなかった。
最終追い切りを終えた蛯名正師は、関西への長距離輸送を控えているため今週は短めにさっと流すイメージだったと説明した。そのうえで、いい状態に仕上がったと話し、引き揚げてきた後もテンションが上がらず冷静だったことに手応えを示した。
体調面の不安も小さい。春先は使うたびに放牧に出す流れが続いていたが、紫苑ステークスの後は「今回は何の不安なくこられたと思います」と調教師は話す。もともと丈夫ではないところがあった馬が、トレセンにとどまったまま大一番を迎える。
同期の蛯名正義調教師から武豊へ「レジェンドがうまくエスコート」
鞍上は武豊に決まった。一口馬主クラブのインゼルサラブレッドクラブが9月14日に公式サイトで発表している。デビューから新馬戦とクイーンカップは横山武史、紫苑ステークスは大野拓弥が騎乗しており、4戦目にして3人目の騎手を迎える。
武豊と蛯名正師は、JRA競馬学校騎手課程の第3期生として1987年に同時デビューした同期だ。武豊は10月12日時点でJRA通算4685勝を挙げ、歴代1位を走り続ける。蛯名正師も2021年に騎手を引退するまでJRA通算2541勝を積み上げ、調教師に転じた。ともに騎手として何度もG1で争った2人が、今度は調教師と騎手として同じ馬で勝負をかける。重賞で武豊が蛯名厩舎の馬に乗るのは、開業以来初めてとなる。
テン乗り、つまり武豊がマスターソアラに乗るのは秋華賞のレース本番が初めてだ。報道によると、蛯名正師が追い切りについて相談した際、武豊から返ってきたのは「任せるよ」のひと言だけだった。調教で乗ってもらう段取りは組まず、仕上げは厩舎側が受け持った。
京都競馬場はマスターソアラにとって初めてのコースになる。それでも蛯名正師は、初めての中山コースで走れたので心配はしていないという考えを示した。緊張しやすい気性については「レジェンドがうまくエスコートしてくれる」と話し、同期に信頼を寄せた。
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勝てば21年ぶり、武豊と秋華賞の歩み
武豊はこれまで秋華賞に27回騎乗し、3勝を挙げてきた。1998年のファレノプシスで初めて勝ち、2002年にファインモーション、2005年にエアメサイアで続いた。2005年10月16日の第10回秋華賞では、エアメサイアが先に抜け出したラインクラフトをゴール寸前にクビ差だけ捕らえている。勝ち数はC.ルメールの4勝に次ぎ、岩田康誠と並ぶ2位タイだ。
ところが、そこから勝ち星が止まった。エアメサイアの後は19連敗。2013年のスマートレイアー、2017年のリスグラシュー、2024年のボンドガール、2025年のエリカエクスプレスと2着が4回あり、2025年はエリカエクスプレスで逃げてエンブロイダリーに半馬身差まで迫った。あと一歩の結果が並ぶ。
2005年から数えて21年。報道によると、勝てば同一G1での武豊の最長ブランク優勝となり、2006年のディープインパクトから2025年のメイショウタバルまで19年空いた宝塚記念の記録を2年更新する。
その記録に挑むパートナーは、春のクラシックに一度も出ていない。
キャリア2戦目のクイーンカップ4着の後に休養へ入り、7カ月ぶりの紫苑ステークスで重賞を勝って、3着以内に与えられる秋華賞への優先出走権を手にした。キャリア4戦目でのG1挑戦になる。
父シスキン、母マスターワークの血統とキャリア3戦
マスターソアラは2023年4月20日生まれの鹿毛の牝馬で、生産は北海道白老町の社台コーポレーション白老ファーム。馬主はインゼルレーシングだ。
父のシスキンはアイルランドで調教された馬で、アメリカのファーストディフェンスを父に持つ。2歳時にフェニックスステークス(G1)を勝ち、3歳の2020年にアイルランドの2000ギニー(G1)を制して無傷の5連勝とした。引退後は日本で種牡馬入りし、北海道安平町の社台スタリオンステーションで供用されている。紫苑ステークスの直前には、2歳の産駒が中京2歳ステークスで1、2着を占めるなど、産駒の勢いも報じられていた。
母はマスターワーク(2017年生まれ)で、母の父はダイワメジャー。ダイワメジャーは皐月賞や天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップ2連覇などG1を5勝した名マイラーだ。
戦績は3戦2勝だ。2025年11月15日、東京競馬場の芝1600メートルの新馬戦で、上がり3ハロン32秒8の末脚を使って勝ち上がった。2戦目は2026年2月14日のデイリー杯クイーンカップ(G3)で4着。勝ったドリームコアから0秒6差だった。
春は休養に充て、復帰戦が9月6日の紫苑ステークス(G2、中山・芝2000メートル)。朝からの雨で重馬場になったなか、6番人気で中団から運び、直線で外へ出されると力強く伸びて重賞初制覇を飾った。勝ちタイムは2分3秒5で、2着サムシングスイートに半馬身、3着には春のオークスで2着だったドリームコアが入った。馬体重は10キロ増の492キロ。騎乗した大野拓弥は「思ったよりポジションもとれて、その中でリラックスして走ることができて、最高の形になった」と語っている。インゼルレーシングにとってもJRA重賞の初勝利だった。
京都内回り2000メートル、残る課題と出走の見通し
JRAが公表した第31回秋華賞の第1回特別登録は18頭で、出走可能頭数の18頭と同じだ。登録の段階では抽選の対象になる頭数を超えていない。出馬表はJRAが10月15日に公開する予定だ。
ライバルの顔ぶれも厚い。ローズステークスを勝って4戦4勝のモンローウォーク、オークス2着でクイーンカップの勝ち馬ドリームコア、阪神ジュベナイルフィリーズと桜花賞でともに2着だったギャラボーグなどが登録した。一方、オークスを勝ったジュウリョクピエロは秋華賞を回避し、エリザベス女王杯へ目標を切り替えている。
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課題は気性面にある。マスターソアラは厩舎での調整も、京都への長い輸送も初めてだ。蛯名正師は中間のテーマを「春先から課題の緊張するところを、いかに緊張しないでいさせられるか」と説明し、パドックやゲート裏でテンションが上がっても、また下がってくれる余白を作ることに取り組んできたと話している。紫苑ステークス後に大野も、テンションが高ぶりやすいところをクリアすれば力を出せると話していた。
もう一つの見どころは馬場だ。紫苑ステークスは重馬場での勝利で、乾いた良馬場の京都でどこまで脚を使えるかはまだ分からない。JRAの出走馬紹介は、紫苑ステークスで見せた一瞬の脚が京都の内回りにも向きそうだとし、初めての関西への輸送を鍵に挙げている。
初めての京都に挑むマスターソアラと、57歳で21年ぶりの秋華賞制覇を狙う武豊。発走は10月18日、京都競馬場の第11レースだ。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]







































































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