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ジョッキーベイビーズ2026、北海道地区代表で最年少の笠松渚さん(11)が優勝 ルメール「冷静に乗りましたね」

ジョッキーベイビーズ2026、北海道地区代表で最年少の笠松渚さん(11)が優勝 ルメール「冷静に乗りましたね」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

小中学生がポニーで日本一を争う全国ポニー競馬選手権「第16回ジョッキーベイビーズ」の決勝大会が10月11日、東京競馬場の芝直線400メートルで行われた。8人の出場者でただ一人の小学生だった北海道地区代表の笠松渚さん(11)が、ゴールデンフジとのコンビで優勝。表彰式のプレゼンターを務めたクリストフ・ルメール騎手は、その騎乗を「冷静に乗りましたね」とたたえた。

大外8番から抜け出し2馬身差で日本一

決勝は東京競馬場の最終12レースが終わったあとに始まった。舞台は芝コースのホームストレッチ、直線400メートル。全国7カ所の地区代表決定戦・選考会を勝ち抜いた8人が、JRA所属のポニーに乗って横一線に並んだ。

笠松さんは浦河ポニー乗馬スポーツ少年団に所属する小学6年生。JRAが発表した出場者の一覧を見ると、ほかの7人は全員が中学1年生で、年齢も12歳か13歳だった。出場資格は小学4年生から中学1年生までなので、上の学年の選手と戦う構図になる。

騎乗したのは5歳のせん馬ゴールデンフジで、枠は大外の8番。五分のスタートから加速すると、残り200メートル付近で早くも先頭に立った。後方から東北・新潟地区代表の佐々木鉄大さん(13)とタムタムが迫ったものの、脚いろは最後まで鈍らない。勝ちタイムは31秒6、2着との差は2馬身だった。

北海道地区代表の優勝は、2025年の第15回で頂点に立った八嶋駿吏さんに続く2年連続となった。

着順騎手名(地区)学年・年齢馬名タイム・着差
1笠松渚(北海道)小学6年・11歳ゴールデンフジ31秒6
2佐々木鉄大(東北・新潟)中学1年・13歳タムタム2馬身
3内山優(関東)中学1年・12歳愛桜3馬身
4上間裕大(沖縄)中学1年・13歳蘭丸クビ
5後藤杏奈(九州)中学1年・12歳はなクビ
6久徳琉斗(関西)中学1年・13歳ジュン2馬身
7岩﨑優馬(関東)中学1年・12歳ちくわ大差
8山中心夏(中部)中学1年・13歳ミナクビ

着順・着差は10月11日のJRA発表による。

ルメール「大外からすごく良かった」と称賛

優勝の表彰でプレゼンターを務めたのは、栗東・フリーのルメール騎手だった。ルメールは笠松さんの騎乗について「大外からすごく良かったです。すごくいい騎乗でした。おめでとうございました。冷静に乗りましたね」と評価している。

表彰式では、将来の夢を「ジョッキー」と答えた笠松さんに笑いを交えて語りかけた。「(ジョッキーになる頃には)たぶん僕は引退しているけど(笑)。いい未来を期待しています」。冗談めかした言葉で、未来の後輩にエールを送った。

敢闘賞のプレゼンターは競馬学校教官で元JRA騎手の武士澤友治が担当した。表彰式には上里直汰、杉原誠人、佐藤翔馬、遠藤汰月の4騎手も参加している。

「負けると思っていた」憧れは今村聖奈

レース後の笠松さんは、右手を挙げて歓声に応えた。JRAが公表した優勝コメントは「負けると思っていたのですが、勝ててとても嬉しいです」。続けて「ジョッキーです。好きな騎手は、今村聖奈騎手です。温かい声援をありがとうございました」と夢を語った。

なぜ今村聖奈なのか。

報道陣の取材に笠松さんは「女性ジョッキーでG1を勝っているので、憧れています」と理由を明かしている。今村はジュウリョクピエロでオークスを制した栗東・寺島良厩舎の騎手。11歳の少女が目標に掲げる先輩ジョッキーだ。

勝負服は白地に青い山形一本輪、桃色の袖が入った「トウカイ」の柄を選んだ。ゆかりのある馬としてJRAで3勝したトウカイパシオンの名前を挙げ、好きな馬については「3回骨折してもG1を勝っているトウカイテイオーが好きです」と話した。そのトウカイテイオーが皐月賞、日本ダービー、ジャパンカップを勝った枠も8枠。同じ枠番からの勝利だった。

2着以下の子どもたちも、それぞれ悔しさと夢を口にしている。佐々木さんは「馬は頑張ってくれたけど勝てなくて悔しいです」と話し、将来の夢を騎手と答えた。関西地区代表で6着の久徳琉斗さん(13)は敢闘賞を受け、「とても嬉しいです。馬の邪魔をしないようにしっかりついていけるよう心がけています」と喜んだ。

3着の内山優さん(12)は「すごく楽しかったです」と笑顔を見せ、4着の上間裕大さん(13)は、岡部幸雄元騎手のイベントでジョッキーベイビーズを知って出場を目指したと明かした。8着の山中心夏さん(13)が思い出に挙げたのは「夕日を見ながら走れて楽しかったです」という景色だった。取材に答えた夢を数えると、優勝した笠松さんを含む8人中6人が騎手を挙げ、久徳さんは厩務員と答えた。

3回目の挑戦でつかんだ北海道代表

笠松さんにとって、決勝の舞台は簡単に届く場所ではなかった。

北海道地区の代表決定戦は、2024年から3年続けて浦河町のJRA日高育成牧場で行われた。最初の挑戦だった2024年7月28日の第14回では、小学4年生の笠松さんが4頭立ての決定戦に進み、4着だった。2025年7月27日の第15回では、小学5年生だった笠松さんが予選第1レースを1着で通過したが、ダート直線200メートルの決定戦は2着。勝ったのは、その秋に東京で日本一になった八嶋さんだった。

2026年は7月26日に5頭立ての決定戦があり、笠松さんがロンに乗って1着となった。代表に決まった直後のコメントは「三回目の挑戦で北海道地区の代表として決勝大会に出場できるので、みんなの期待に応えられるように頑張りたいです!」。2着から5着までの4人も、同じ浦河ポニー少年団の仲間だった。

浦河のポニー少年団で腕を磨き、東京の芝で先輩の中学生たちを抑える。3度目の挑戦で北海道代表の座をつかみ、初めて立った決勝の舞台で日本一にたどり着いた。

優勝者から生まれたJRA騎手たち

ジョッキーベイビーズは、全国各地で乗馬に打ち込む子どもたちの夢舞台としてJRAが開いてきた大会で、2026年で16回目を数える。地区代表決定戦・選考会は九州(6月7日、宮崎育成牧場)を皮切りに、中部、沖縄、関西、北海道、関東、東北・新潟の順で行われた。関東だけ2人、ほかの地区は1人ずつが東京へ進む。

過去の優勝者からは、実際にJRA騎手が生まれている。2012年11月4日の第4回で優勝した小林勝太は、2023年にJRAでデビューした。2013年11月3日の第5回を制した関東地区代表の斎藤新は、2019年に競馬学校を卒業してデビュー。翌2014年10月12日の第6回で優勝した関西地区代表の角田大和は、滋賀県の水口乗馬クラブ出身で、2021年にJRA騎手となった。2026年の敢闘賞を受けた久徳さんも、同じ水口乗馬クラブに所属している。

2023年の第13回では、東海地区代表の川田純煌さんが優勝した。父の川田将雅騎手は当時、レース後に「僕よりバランスがいいと思っていますので」と息子の騎乗を語っている。

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JRA騎手を目指す場合、中学卒業後に競馬学校の騎手課程へ進むのが一般的な道だ。小学6年生の笠松さんがその門をたたけるのは、早くても中学を卒業した後の2030年春になる。ルメールは「たぶん僕は引退している」と笑ったが、11歳の優勝者が東京競馬場の芝で残した31秒6の走りは、その長い道のりの最初の一歩になる。

[文/構成 by スポーツライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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