KDDI子会社モビコム、モンゴル草原火災を謝罪 ヌムルグ自然保護区の約8割が焼失、モンゴル政府は賠償請求の方針

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モンゴル東部のヌムルグ自然保護区で10月8日に起きた草原火災をめぐり、現地の通信大手モビコムと親会社のKDDIが謝罪した。焼失は約52万9000ヘクタールと東京都の約2.4倍で、保護区の79.8%に及ぶ。モンゴル政府は国の損失を賠償させる方針を示したが、出火の詳しい経緯は警察が捜査中で、結論はまだ出ていない。
8日間燃え続けた草原火災、保護区の約8割が焼失
KDDIは報道機関の取材に対し、グループ会社の活動に関連して火災が起き、モンゴルの自然環境に大きな影響を与えたことについて「極めて重く受け止めております」とコメントし、謝罪した。立ち入りの目的は4Gネットワークの通信試験だったと説明している。一方、現地では別の目的を指摘する報道もあり、事実関係はモンゴル当局が調べている。
火災が起きたのは、モンゴル東部ドルノド県ハルハゴル郡にあるヌムルグ(ノムログとも表記)自然保護区だ。最初の通報は10月8日の現地時間11時55分で、出火地点は立ち入りが厳しく制限された保護区の中心部だった。
12日に制御下に入り、完全に消し止められたのは16日朝。8日間にわたって燃え続けた計算になる。
モンゴル環境・気候変動省の暫定集計では、焼損面積は約52万9000ヘクタールに上る。このうち約46万9000ヘクタールが保護区の中で、保護区の総面積の79.8%が焼けた。同省は作業部会を設けて現地調査を進めており、野生動物の被害も改めて評価するとしている。
消火には、モンゴル側が複数の県から消防隊員や国境警備隊員、地元住民を集め、60チーム・606人と機材100台を投入した。火が国境に迫った中国側も、内モンゴル自治区で消防救援隊など3400人余りを動員し、国境沿いに人員を配置して、自国側への延焼を食い止めた。
出火の原因は 報道とモビコムの説明
報道によると、モビコムの一行13人が車5台で保護区に入り、走行中の車両の底部に枯れ草が絡まって火が出たとされる。一行には日本人幹部も含まれていた。
モビコムは、通信網の整備に向けた現地調査の最中に車両から出火したと説明している。KDDIも、保護区の中にモビコムの越智康博CEOと幹部2人がいたことを認めた。国境地域への立ち入りについては、国境警備機関に事前に通知していたという。
ただし、警察の捜査の最終結果はまだ公表されていない。KDDIのコメントも、報道されている出火の詳しい状況をそのまま認める内容にはなっていない。原因の確定は、当局の調査を待つことになる。
モビコムとはどんな会社か KDDIとの関係
モビコムは、モンゴルの首都ウランバートルに本社を置く通信会社だ。1990年代半ばに、KDDIの前身企業と住友商事、モンゴルのニューコムグループが共同で立ち上げた、同国初の携帯電話事業者として知られる。
現在はKDDIの連結子会社で、モンゴルの携帯電話市場で最大のシェアを持つ。携帯電話のほか、高速インターネットや電子決済などのサービスも手がける。CEOの越智康博氏はKDDIから出向している。
日本ではなじみの薄い社名だが、モンゴルでは国内の通信を支える最大手として広く使われている。国境警備隊の拠点を4Gでつなぎ、国境検問所に光ファイバー回線を引く事業も進めてきた。
KDDIとモビコムの謝罪、その中身
KDDIが子会社のモビコムから火災の報告を受けたのは10月11日だった。モビコムは14日、本社で謝罪の動画を撮影し、同日に同社のFacebookに掲載した。
越智CEOはモンゴル国民に向けて謝罪し、責任を回避せず、捜査の結果と関係する法令に基づいて損害賠償の措置をとると述べた。
KDDIは今後の対応として、モビコムによる関係当局の調査への協力を引き続き支援するとした。あわせて、モビコムのフィールド試験の実施手順と安全管理体制を根本から見直し、再発防止に取り組むと説明している。保護区に入った幹部以外の同乗者については、コメントを控えた。
賠償はどうなる モンゴル政府は責任追及の方針
モンゴル政府は厳しい姿勢を見せる。テムーレン法務・内務相は、モビコムの職員と国境検問所の管理部門の関係者について責任を追及し、国の損失を賠償させる方針を示した。
緊急事態を担当するノムトイバヤル副首相も、モビコムの関係者が業務として保護区に入る必要が本当にあったのか、追加の調査が必要だと指摘した。野生動物の被害についても、改めて評価するとしている。
賠償額はまだ決まっていない。環境・気候変動省による被害の評価と、警察の捜査結果がそろって初めて、具体的な金額や責任の範囲が固まる見通しだ。
ヌムルグ自然保護区はどこ、どんな場所か
ヌムルグ自然保護区は、モンゴルの最も東にあたるドルノド県ハルハゴル郡に位置し、中国の内モンゴル自治区との国境に接している。国の中でも保護の度合いが最も高い「厳格保護区」に指定されている。
森林ステップと草原の境目にあたり、森林や草地、川沿いの谷が広がる。人が住む場所からは90キロ以上離れており、家畜はほとんどいない。
その分、野生動物には貴重なすみかとなってきた。ヒグマやイノシシ、ノロジカ、カワウソなどが暮らし、希少な鳥類も多い。火災の際には、火を逃れた動物が中国との国境の方向へ移動し、中国側が受け入れたと伝えられている。
アムールイトウ釣りが目的との報道も 会社側は「通信試験」と説明
関心を集めているのが、保護区に入った目的だ。モンゴルの複数のメディアは、一行が狩猟や、同国で絶滅危惧種に指定されている大型の淡水魚アムールイトウ(タイメン)の釣りを計画していたと報じた。
これに対し、KDDIは立ち入りの目的を4Gネットワークの通信試験と説明し、モビコムも通信網整備に向けた現地調査だったとしている。釣りや狩猟が目的だったという指摘は、当局が確認した事実ではない。会社側も、この指摘を認めていない。
一行には幹部以外の同乗者もいたと報じられているが、その顔ぶれや役割についても公式な説明は出ていない。目的をめぐる食い違いが、副首相が求めた追加調査でどこまで明らかになるかが注目される。
今後の焦点は捜査結果と被害の評価
焦点は3つある。警察による出火原因の捜査結果、環境・気候変動省による被害の評価、そしてそれらを受けた賠償の中身だ。
KDDIとモビコムは謝罪したうえで、調査への協力と再発防止策を打ち出した。一方、モンゴル政府は責任の追及と賠償を求める構えを崩していない。立ち入りの目的についての報道と会社側の説明は食い違ったままで、事実関係が確定するのはこれからとなる。
[文/構成 by 凪]






































































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