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東大総長選考、文科省が検証を依頼 議長・国谷裕子氏の回答と投票2位・藤垣裕子氏選出の経緯

東大総長選考、文科省が検証を依頼 議長・国谷裕子氏の回答と投票2位・藤垣裕子氏選出の経緯

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東京大学の総長選考・監察会議(議長=国谷裕子氏)が10月13日、次期総長の選考経緯について説明を求めた教職員有志の要望書に回答した。東大は16日にその内容を公表している。学内の意向投票で2位だった藤垣裕子教授の選出に疑問が出るなか、会議は意向投票を「重要な判断材料の一つ」と位置づけ、9月28日の会議では5人の候補の強みと課題を約1時間30分議論したと説明した。20日には文部科学省が、選考の過程を検証するよう東大側に依頼している。

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523人が賛同した要望書、国谷議長は同じ日に回答

要望書は「総長選考に関する説明の要望」と題し、10月13日付で選考会議に出された。有志は監事にも、議事の進め方についての意見を求めている。賛同者は13日正午の時点で523人に上り、このうち意向投票の投票資格を持つ人は387人と、有資格者のおよそ15%に当たる。

求めた説明は、意向投票の結果をどう扱ったのか、第2次候補の5人をどう選び、どう比べたのか、国際卓越研究大学の構想やガバナンス改革をどう評価したのか、公表されていない情報や個別の事案をどう扱ったのか、と多岐にわたる。

同じ13日、国谷議長は文書で回答した。

回答で示された選考の中身

意向投票は「重要な判断材料の一つ」

回答によると、意向投票の結果は、会議が掲げる「求められる総長像」のうち、構成員からの幅広い支持と合意形成の力に関わる判断材料にあたる。どこまで重く見るかは委員ごとに異なり、具体的な反映の仕方は示されなかった。それでも各委員の評価に大きな影響を与えたとの見方を添えている。

9月28日の議論は約1時間30分

28日の会議では、評価項目のどれを重視するかを委員全員が発言し、意見を交わした。続いて各候補の強みと課題を約1時間30分かけて議論し、無記名投票で委員の判断を確かめながら候補を絞り込んでいる。そのうえで、藤垣氏が最も多くの委員の支持を得たと説明した。

第2次候補5人は8月18日に決定

投票にかける5人は、8月18日の会議で決めた。3月に公開した手順に沿い、所信と8月14日・17日の面接を踏まえて無記名投票で選んだという。候補の多様性と、意向投票で幅広い選択肢を示す必要に配慮したとする。

非公開の判断材料は「ない」

推薦書と面接での質疑のほかに、公表されていない判断材料はないと回答は明記した。選考期間中に明らかになった、工学系研究科の関連法人「総合研究奨励会」をめぐる不正の事案は、大学が9月11日に公表した報告を委員が共有し、28日に意見を交わした。8月14日の面接でも、この件について質問が1問あったという。

国際卓越研究大学の審査への影響は、判断材料がないため議論していないと答えている。

投票2位の藤垣氏が選ばれた経緯

東大は9月28日、藤垣裕子教授を次期総長予定者に選んだと発表した。東大で初めての女性総長で、第32代にあたる。任期は2027年4月1日からの6年間だ。

意向投票(2回目)の結果は大学が公表している。有資格者2583人のうち2169人が投票し、1位は染谷隆夫副学長の1107票。藤垣氏は553票で2位、山本隆司氏が451票で続いた。藤垣氏の票は1位の約半分で、意向投票1位でない候補の選出は、総長選挙の制度ができて以来初めてとみられると報じられた。

28日の会議は午後1時ごろに始まり、決定の発表は午後8時50分だった。翌29日、本郷キャンパスの山上会館で開いた記者会見に国谷議長が出席し、「意向投票はあくまでも選考資料の一つ、という認識です」と語る。結果的に意向投票を覆す形になったことには、批判が全くないとは思わないが、大きな問題が生じるとも思わないとしたうえで、選考の過程の透明化と理由の明確化で理解を得たい考えも示した。

選考の舞台裏をめぐっては、国谷氏が反対の立場だったとする報道も一部で出た。ただ、会議での委員一人ひとりの発言は公表されておらず、何に反対したのかを含めて事実関係は確認されていない。

藤垣裕子氏と国谷裕子氏の経歴

藤垣裕子氏(64)は東京都生まれ。1990年に東京大学大学院総合文化研究科で博士(学術)を取得し、東大教養学部助手、科学技術庁科学技術政策研究所の主任研究官、同研究科助教授を経て、2010年から教授を務める。専門は科学技術社会論と科学計量学。科学技術が社会と接する場面で生まれる問題を、人文社会系の手法で読み解く分野だ。2021年から2025年までは理事・副学長として学生支援や入試、研究倫理などを担当した。

国谷裕子氏は米ブラウン大学を卒業後、NHK BS1「ワールドニュース」のキャスターなどを経て、1993年4月にNHK総合「クローズアップ現代」のキャスターに就いた。2016年3月まで23年間、番組の顔として出演を続ける。

番組を離れたあとは2016年4月に東京藝術大学の理事に就き、日本担当の国連食糧農業機関(FAO)親善大使としてSDGsをテーマにした催しにも登壇してきた。2023年には慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の特別招聘教授に就いている。東大では経営協議会の学外委員を務め、2026年4月からは総長選考・監察会議の議長として今回の選考を取りまとめた。

文科省が選考過程の検証を依頼、説明はどこまで届くか

関芳弘文部科学相は10月16日の閣議後会見で要望書に触れ、「法人としまして重く受け止めて対応いただく必要がある」と述べた。

さらに文部科学省は20日、高等教育局長名の文書を東大に届け、監事や運営方針会議などに総長選考の過程を検証するよう求めた。文科省がこうした依頼を大学に出すのは初めてと報じられている。関文科相は同日の会見で、選考会議の回答は秘密の保持を理由に外形的な選考過程の説明にとどまっていると指摘し、「法人運営を自ら検証し、改善を図っていくことが重要。自律的なプロセスを促す観点から依頼をした」と述べた。大学の自治との関係については、自治は重要だとしたうえで、監事や運営方針会議が職務を適正に果たすことが必要だとの考えを示している。

藤垣氏の総長就任は文部科学大臣の任命を経て、2027年4月の予定となる。

選考会議は回答で、評価項目ごとの議論の進め方や、投票を重ねて絞り込んだ手順を具体的に示した。一方で、意向投票の結果を各委員がどう反映したかまでは明らかにしていない。要望書を出した有志は、回答を受けても説明はなお不十分だとしている。

有志が求めた説明に、回答はどこまで応えたのか。監事と運営方針会議による検証の行方とあわせ、選考の透明性をどう確保するかが、新総長の就任までに引き続き問われる。

[文/構成 by さとう つづり]

寄稿者

さとう つづり
つづり|ライター・編集者 2018年より個人ブログの運営を開始。アフィリエイトライターとして活動後、Webメディアの運営、記事入稿、編集業務に携わる。7年にわたり「読まれる記事」を追求してきた経験を活かし、現在は日常での気になるニュースに対してコラムを執筆中。トレンドから日常の機微まで、幅広いテーマを独自の視点で言語化します。

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