今永虎雅、世界への試金石。12月27日サウジ決戦へ

アマチュアで10冠という輝かしい実績を誇る大橋ジムのホープ、前日本ライト級王者の今永虎雅（26）。プロ転向後も9戦全勝（5KO）と無敗街道を突き進む彼が、キャリア最大の挑戦を迎える。2025年12月27日（土）、サウジアラビアの首都リヤドで開催されるビッグイベント「THE RING V: NIGHT OF THE SAMURAI」にて、WBO世界スーパーフェザー級10位のエリドソン・ガルシア（ドミニカ共和国）とライト級8回戦で拳を交えるのだ。

この興行は、4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥の防衛戦をメインイベントに据え、日本トップ選手が集結する歴史的な一夜。その大舞台で、今永は世界ランキング入りを懸けた重要な一戦に臨む。当初の対戦相手が出場辞退するアクシデントに見舞われながらも、より難解なサウスポー対決に挑むことになった。この記事では、注目の一戦の試合開始時間予想から、両選手の詳細、そして勝敗の鍵を握るポイントまでを徹底的に掘り下げる。

試合開始時間はいつ？日本時間での視聴タイミング

ファンにとって最も気になるのは、試合が日本時間の何時に始まるかだろう。

興行「THE RING V: NIGHT OF THE SAMURAI」は、日本国内では映像配信サービス「Lemino」によって独占PPV（ペイ・パー・ビュー）配信される。Leminoの発表によると、配信開始は日本時間12月27日（土）の17:00頃を予定している。

今永虎雅 vs ガルシアの試合順と開始時間時刻

今永虎雅 vs エリドソン・ガルシア戦は、全5試合が予定されている興行のアンダーカードに組まれており、今永の試合は第２試合目。そして公式では今永の試合は日本時間で18時50分に開始されると発表されている。

対戦カード詳細：無敗のホープ vs “無冠の帝王”

この一戦は、無敗のプロスペクト（有望株）と、世界ランクに名を連ねる実力者が激突する興味深いカードとなった。

“アマ10冠”の超エリート：今永 虎雅（いまなが たいが）

1999年8月9日生まれ、大阪府出身の26歳。大橋ボクシングジム所属のサウスポー。奈良・王寺工業高校時代に史上初の高校8冠を達成し、東洋大学時代と合わせてアマチュア通算10冠という金字塔を打ち立てたエリートである。

2022年6月にプロデビュー後、9戦全勝（5KO）と順調にキャリアを重ね、2025年9月には日本ライト級王座を獲得。しかし、その王座をわずか約1ヶ月半で返上し、世界への道を突き進むことを選択した。177cmの長身から放つシャープな左ストレートと、上下の打ち分けが武器だ。

所属	大橋ボクシングジム
戦績	9戦9勝（5KO）無敗
生年月日	1999年8月9日（26歳）
身長/リーチ	177cm / 180cm
スタイル	サウスポー
主な実績	第66代日本ライト級王者、アマチュア10冠

“無冠の帝王”の異名を持つ実力者：エリドソン・ガルシア

ドミニカ共和国出身のサウスポー。プロ戦績は22勝（14KO）1敗と豊富なキャリアを誇る。現在はWBO世界スーパーフェザー級10位、WBA同級13位にランクされる世界ランカーである。

テンポの良さとスピードを兼ね備えた技巧派と評され、今永が所属する大橋ジムの大橋秀行会長は「無冠の帝王と呼ばれている選手」と最大級の警戒を示している。身長は173cmで、今永よりやや小柄だが、映像からはフィジカルの強さも見て取れる。

国籍	ドミニカ共和国
戦績	22勝（14KO）1敗
身長	173cm
スタイル	サウスポー
世界ランク	WBOスーパーフェザー級10位、WBA同級13位

対戦相手変更の経緯と影響

今永は当初、WBA世界ライト級3位のアルマンド・マルティネス（キューバ）と対戦する予定だった。17戦全勝15KOという驚異的なレコードを持つオーソドックス（右構え）の強豪であり、今永にとって大きな挑戦となるはずだった。

しかし、マルティネスが出入国の規制問題で出場を辞退。急遽、代役として白羽の矢が立ったのがエリドソン・ガルシアであった。この変更により、今永陣営は対策の練り直しを余儀なくされた。最大の変更点は、対戦相手がオーソドックスからサウスポー（左構え）になったこと。これにより、試合は「サウスポー対決」という全く異なる構図となったのである。

試合の見どころと勝敗の鍵

対戦相手の変更は、この試合に新たな見どころをもたらした。勝敗の行方を左右するであろう3つの鍵を分析する。

鍵①：サウスポー同士の主導権争い

ボクシングにおいて、サウスポー対オーソドックスと、サウスポー同士の戦いは全くの別物である。特に重要となるのが「ポジショニング」。互いの前足（右足）がぶつかり合うため、相手の外側に自分の前足を置く「外の取り合い」が主導権を握る上で極めて重要になる。外側を取った方が、自身の得意なパンチ（左ストレート）を当てやすく、相手のパンチは遠くなるからだ。

今永の武器は長身から放たれる左ストレート。一方のガルシアも技巧派サウスポー。どちらがフットワークと前手の使い方で優位なポジションを確保し続けられるか。この地味ながら高度な攻防が、試合全体の流れを決定づけるだろう。

鍵②：今永の対応力とメンタル

今永にとって、今回は試練の連続だ。プロ初の海外での試合、井上尚弥らが集うビッグイベントの雰囲気、そして試合直前での対戦相手変更。これら複数のプレッシャーを跳ね返す精神的な強さが問われる。

しかし、本人はこの状況を前向きに捉えているようだ。試合前のインタビューでは「（ライト級の）壁を語る声もあるが、同じ人間。思い込みがブレーキになっている」と語り、格上との対戦を恐れない姿勢を見せている。この強心臓ぶりをリング上で発揮し、急な戦術変更にも冷静に対応できるかが、勝利への大きな鍵となる。

鍵③：世界への扉を開く一戦

日本王座を返上し、世界を見据える今永にとって、この一戦はキャリアの岐路となる。対戦相手は世界ランカー。この相手に敵地で勝利すれば、一気に世界ランキング入りが現実味を帯び、その名を世界にアピールする絶好の機会となる。

「勝って世界に自分の名前をアピールして、来年さらに上のレベルで戦っていけるような試合につなげます」と語る今永。まさに有言実行となるか。彼のボクシング人生を左右する大一番である。

今永虎雅、世界へ名を売る絶好の機会

2025年12月27日、アマチュアエリート・今永虎雅がプロキャリア最大の試練に挑む。舞台はサウジアラビア、相手は「無冠の帝王」の異名を持つ世界ランカー、エリドソン・ガルシア。対戦相手の急な変更、そして慣れないサウスポー同士の対決という逆境を乗り越え、その真価を世界に示すことができるか。

試合は日本時間12月27日（土）の夜、Leminoの独占配信で観戦可能。この一戦での勝利は、怪物たちがひしめくライト級戦線において、彼の未来を大きく切り開くことになるだろう。日本のボクシングファンにとって、見逃せない一夜となる。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

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