ディエゴ・ゴメス、ハーフウェーライン付近から50m以上のゴール ブライトンの一撃にベッカム彷彿の声

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
ブライトンのパラグアイ代表MFディエゴ・ゴメス(23)が、現地10月18日(日本時間同日夜)のクリスタル・パレス戦で、ハーフウェーライン付近から約51mのロングシュートを決めた。チームは5-0で大勝。英BBCの番組解説者は、1996年にデビッド・ベッカムが決めた有名なゴールを引き合いに出してたたえた。
前半7分、GKの頭上を越えた51.3mの一撃
試合はプレミアリーグ第7節、ブライトンの本拠地アメリカン・エキスプレス・スタジアムで、現地時間10月18日14時(日本時間同日22時)にキックオフした。相手は同じイングランド南部の宿敵クリスタル・パレス。両クラブの本拠地を結ぶ高速道路の名から「M23ダービー」と呼ばれる一戦だ。
前半4分、パスカル・グロスのFKをパレスのDFジェイディー・カンボが頭でクリアしきれず、オウンゴールでブライトンが先制。その3分後に問題の場面が来る。ハーフウェーライン付近でボールを受けたゴメスは、わずかに相手陣内へ持ち出すと、前に出ていたGKワルテル・ベニテスの位置を見て右足を振り抜いた。ボールは大きな弧を描いてGKの頭上を越え、そのままゴールへ吸い込まれた。
データ会社オプタの計測では、シュート距離は51.3m。2006-07シーズン以降のプレミアリーグで8番目に遠い位置からのゴールとなった。これより遠い位置からのゴールは、2017年11月にエバートンのウェイン・ルーニーがウェストハム戦で決めた57.7mまでさかのぼる。ゴメスがプレミアリーグで50m超の位置から放ったシュートはこれで4本目で、ネットを揺らしたのは初めてだった。
勢いは止まらない。前半10分にはヤシン・アヤリが3点目を加え、開始10分で3-0。プレミアリーグで開始10分以内に3得点を挙げたのは、2023年4月にトッテナムを6-1で下したニューカッスル以来だった。後半もハラランボス・コストゥラス、途中出場のジャック・ヒンシェルウッドが加点し、5-0で試合を終えた。
| 時間 | 得点者 | スコア |
|---|---|---|
| 前半4分 | オウンゴール(パレスのカンボ) | ブライトン 1-0 |
| 前半7分 | ディエゴ・ゴメス | ブライトン 2-0 |
| 前半10分 | ヤシン・アヤリ | ブライトン 3-0 |
| 後半4分 | ハラランボス・コストゥラス | ブライトン 4-0 |
| 後半39分 | ジャック・ヒンシェルウッド | ブライトン 5-0 |
勝ったのはブライトン。パレスに5点差をつけたのは、両クラブが旧3部南地区に所属していた1956年1月14日の5-0以来、約70年ぶりだった。
「ベッカムを思い出させる」BBC解説者がうなった理由
ゴールの直後から、30年前の一撃が引き合いに出された。BBCの看板番組「マッチ・オブ・ザ・デイ」で解説を務める元ニューカッスルのGKシェイ・ギブンは「驚くべきゴールだ。デビッド・ベッカムを思い出させる」と語った。念頭にあったのは、1996年のウィンブルドン戦でベッカムが決めたゴールだ。ギブンは元GKらしく、前に出ていたベニテスについても「彼を責めるつもりはない。ポジションは問題なかったと思う」とかばい、「ゴメスには脱帽するしかない」と続けている。
英米の報道でも、ゴメスの一撃がベッカムのゴールの記憶をよみがえらせたと伝えられた。ラジオ中継で解説した元プレミアリーグFWのエファン・エココは「今季ここまでのベストゴール」と評している。
では、比較されたベッカムのゴールとはどんなものだったのか。
1996年8月17日、1996-97シーズンのプレミアリーグ開幕日。当時ウィンブルドンが本拠地として使っていたロンドン南部のセルハースト・パークで、マンチェスター・ユナイテッドは2-0とリードして終盤を迎えていた。当時21歳のベッカムは自陣のハーフウェーライン付近でボールを持つと、わずかに前に出ていたGKニール・サリバンを見て迷わずロングシュート。ボールはGKの頭上を越えてネットに収まり、ユナイテッドは3-0で勝った。このゴールでベッカムの名は一気に世界へ広まり、イングランドのサッカー史でも有名なゴールとして語り継がれる。
おもしろい偶然もある。セルハースト・パークは、今回ブライトンが大勝したクリスタル・パレスの本拠地だ。もっとも、打った位置には違いがあった。ベッカムは自陣から、ゴメスはわずかに相手陣内から。距離の数字よりも、前に出たGKを一瞬で見抜き、その頭上を越す軌道を選んだ判断が、2つのゴールを結びつけた。
監督「50mのシュートは練習していない」
試合後、ファビアン・ヒュルツェラー監督はインタビューで「こういうゴールを決めるのは簡単ではない」と認めつつ、「50mのシュートは練習していない。彼のフィニッシュが優れていることは分かっている。GKの位置に気づき、素早く実行に移した判断が見事だった」と分析した。
伏線は前節にあった。2-0で勝ったサンダーランド戦でも、ゴメスは同じような超ロングシュートを狙っていたという。ヒュルツェラー監督は「あの時は風が完璧ではなかった。今回は風が彼に味方した」と明かし、「クラブやチーム、自分の成長のために注いできた努力が報われて本当にうれしい」と話した。
すぐ後ろで見ていたDFルイス・ダンクも、試合後に「彼の足はハンマーだ。ボールが足を離れた瞬間、入ると分かった。信じられないゴールだ」と興奮気味に語っている。
ゴメスはパラグアイ出身の23歳。母国の名門リベルタからMLSのインテル・マイアミを経て、2025年1月にブライトンへ加わった。中盤ならどこでもこなす万能型で、2025年9月のリーグカップ3回戦バーンズリー戦では1試合4得点を挙げている。2026年8月14日には2031年までの契約延長にサインし、同年の北中米W杯ではパラグアイ代表の26人に名を連ねた。
23得点で首位争い、三笘薫は戦列復帰を目指す
この勝利でブライトンは5勝1分け1敗の勝ち点16とし、10月19日時点で首位マンチェスター・シティ、2位アーセナルに次ぐ3位につける。7試合で23得点はリーグ最多で、失点はわずか5。今季はアストン・ビラに4-0、王者アーセナルに3-0と強豪を次々に破り、10月15日のカンファレンスリーグでもリトアニアのカウノ・ジャルギリスから4点を奪っていた。4日間で9得点という数字が、チームの勢いを示す。
一方、ブライトンの三笘薫は負傷離脱中でメンバー外だった。三笘は2026年5月に左太もも裏を痛めて手術を受け、北中米W杯を欠場した。今季はまだ公式戦に出場していない。ヒュルツェラー監督はパレス戦前の会見で、11月の代表ウィーク明けの復帰を願いつつも「もう少し辛抱強く待つ必要がある」と話し、無理はさせない方針を示した。
関連記事:三笘薫、左太もも裏の肉離れでW杯落選 全治2カ月程度とされ、復帰の見通しと今後の日程
対するパレスでは、鎌田大地が2シャドーの一角で先発した。後半にはマテタのシュートがクロスバーを叩く場面もあったが、反撃は届かなかった。同じく日本代表の冨安健洋は負傷でメンバー外だった。
日本ではこの試合を、U-NEXTが「サッカーパック」でライブ配信した。プレミアリーグは同パックの対象で、U-NEXTの月額プランだけでは視聴できない。
ブライトンは現地10月22日(木)にカンファレンスリーグのヤブロネツ戦(日本時間23日1時45分キックオフ)、同25日(日)にはリーグ戦のリバプール戦が控える。ダンクは優勝争いについて問われると「それを話すのはあなたたちの仕事。僕らは次の試合に集中するだけ」とかわした。51.3mの一撃で勢いづいたチームが、上位争いの中で次の一戦に向かう。
[文/構成 by スポーツライター ミカ]










































































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