キンシコウの優優(ヨウヨウ)が22歳で死ぬ 熊本市動植物園の国内最後の1頭、日本の動物園から姿消す

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
熊本市動植物園(熊本市東区)は11月6日、キンシコウのメス「優優(ヨウヨウ)」が同日朝に死んだと発表した。22歳だった。国内で飼育されていた最後のキンシコウで、日本の動物園でこのサルを見られる場所はなくなった。死因は調査中で、園は7日午後からキンシコウ舎の前に献花台を設ける。
4日まで普段どおり、6日朝に寝室で見つかる
熊本朝日放送(KAB)、熊本日日新聞、RKK熊本放送の報道によると、優優は11月4日までは食欲もあり、いつもどおりに過ごしていた。様子が変わったのは5日午前で、食欲が落ち、嘔吐も見られた。園は展示を取りやめ、午後に寝室へ移して獣医師が診察にあたった。
翌6日朝、寝室で死んでいる優優が見つかる。死因は調べている最中だ。
優優は2004年4月11日、中国から来たオスのパオパオとメスのヘンヘンの間に生まれた。園の説明では、穏やかで優しく、おおらかな性格だったという。飼育展示班の溝端菜穂子さんは熊本日日新聞の取材に「穏やかな性格でお客さんや飼育員に愛されており、さびしい」と話した。
日本でキンシコウはもう見られないのか
国内でキンシコウを飼育する動物園は、熊本市動植物園だけになっていた。KABは2025年12月の時点で、優優を「日本で唯一の個体」と紹介している。その優優が死んだことで、国内で飼育されるキンシコウはいなくなった。
かつては熊本のほかにも、キンシコウを飼育する動物園があった。神戸市立王子動物園には1985年にキンシコウが来園し、1993年には中国国外で初めての赤ちゃんが生まれている。横浜市の金沢動物園には1995年10月に中国・上海市からキンシコウが来園し、1999年4月によこはま動物園(ズーラシア)へ移ったが、2008年4月に展示を終えた。
新しい個体を迎える計画は、6日時点の報道では伝えられていない。KABの2025年12月の取材に対し、熊本市はキンシコウの返還などの話は出ていないと答えていた。
この取材は、東京・上野動物園の双子のジャイアントパンダが中国へ返還されると明らかになった時期のものだ。熊本市の大西一史市長はパンダが見られなくなることを「寂しい」と話し、キンシコウも友好の証だとして、動物たちが友好をつないでくれればと語っていた。
1989年の初来園から優優まで、熊本とキンシコウの歩み
熊本とキンシコウの縁は、1979年に熊本市と中国・桂林市が友好都市になったことに始まる。
1989年、桂林市の協力で3か月限定の展示が実現した。RKK熊本放送によると、この時キンシコウは「孫悟空のモデル」として話題になり、期間中には前年の年間入園者数を大きく上回る200万人以上が動植物園を訪れたという。
本格的な飼育は1993年から。中国動物園協会と結んだ「キンシコウの長期学術共同研究に関する協議書」に基づき、中国の西安動物園からオスのパオパオを借り受け、その後メスのヘンヘンも来園した。園では、生まれた子の飼育や、種を守るための共同研究も続けてきた。
パオパオとヘンヘンの間には6頭が生まれ、3頭が育った。そのうちの1頭が優優だ。熊本日日新聞が2026年10月1日に載せたコラムでは、パオパオのほか「美美(メイメイ)」「輝輝(キキ)」と、園で暮らしたキンシコウの名前が紹介され、同じ日に始まった連載の案内役を優優が務めていた。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1979年 | 熊本市と中国の桂林市が友好都市に |
| 1989年 | 桂林市の協力で3か月限定の展示 |
| 1993年 | 協議書に基づき西安動物園から借り受けて飼育を開始 |
| 2004年4月11日 | 父パオパオと母ヘンヘンの間に優優が誕生 |
| 2026年11月5日 | 食欲減退と嘔吐で展示を中止 |
| 2026年11月6日 | 朝に寝室で死んでいるのが見つかる |
| 2026年11月7日 | 午後からキンシコウ舎前に献花台 |
最初の来園から37年、飼育が始まった1993年から数えると33年。熊本で続いたキンシコウの飼育は、優優で区切りを迎えた。
金色の毛をもつ中国の高地のサル
キンシコウは、中国の山あいの森にすむオナガザル科のサルだ。名前のとおり金色の長い毛が目を引く。RKK熊本放送によると、甘粛省や湖北省などの標高1400〜3000メートル級の高地で暮らす。
環境省生物多様性センターのデータベースでは、分布は中国中西部の甘粛、湖北、陝西、四川の4省とされる。長いときは半年ほど雪に覆われる山の森にすみ、主に木の葉を食べる。
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは「絶滅危惧IB類(EN)」に分類され、ワシントン条約では国際取引が原則禁止される附属書Iに載っている。中国ではジャイアントパンダと並ぶ国の第1級保護動物だ。
野生でも数が限られるこのサルを、熊本の園は30年以上にわたって中国と協力しながら飼育してきた。優優は、その中で熊本で生まれ育った1頭だった。
献花台は7日午後から、キンシコウ舎の前に
園は11月7日の土曜日、午後からキンシコウ舎の前に献花台を設ける。熊本日日新聞は、設置は午後1時ごろからの予定と伝えている。
死因は調査中で、6日時点で園は詳しい結果を明らかにしていない。1989年の展示から37年、熊本の人たちが見守ってきたキンシコウの最後の1頭に、7日から花を手向けられるようになる。
[文/構成 by ライター 飯田タツヤ]









































































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