名越スタジオが解散、官報で判明 『GANG OF DRAGON』の行方と名越稔洋氏の現在、設立からの経緯

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
『龍が如く』シリーズで知られる名越稔洋氏が率いてきた名越スタジオが、10月31日の株主総会の決議で解散した。11月2日発行の官報で分かった。2025年12月に発表した『GANG OF DRAGON』の扱いについて公式の説明はなく、スタジオの発表も確認できない。
官報に載った解散公告の中身
株式会社名越スタジオの解散公告は、11月2日発行の官報号外第240号の176ページに載った。公告の文面は定型で、解散の理由や『GANG OF DRAGON』には触れていない。
「当社は、令和八年十月三十一日株主総会の決議により解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から二箇月以内にお申し出下さい。なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。」
読み違えやすいのが「解散」と「倒産」の差だ。官報に載ったのは株主総会の決議による解散で、破産手続きの公告ではない。株主総会の決議で解散した株式会社は清算に入り、債権や債務の整理を終えて清算が結了すると法人格がなくなり、その旨を登記する。
つまり会社は10月31日に消えたわけではなく、解散とともに片付けの段階に入った。公告が債権者に求めている申し出の期限は、掲載の翌日から2か月以内。
11月2日時点で、スタジオ、NetEase、名越氏の公式コメントは報道でも確認できない。公式サイトは閲覧できず、公式Xは2月17日の投稿を最後に更新が止まったままだ。
『GANG OF DRAGON』はどうなるのか
結論から書くと、開発中止とも開発継続とも公式には発表されていない。
SteamのGANG OF DRAGONのストアページは11月2日時点でも公開されていて、リリース日の欄は「近日登場」のまま。開発元とパブリッシャーの欄には、どちらもNagoshi Studio Inc.とある。
作品の権利や開発済みの素材がどこへ行くのか、別の会社が引き継ぐのかも公表されていない。Bloombergは3月の報道で、素材の扱いをスタジオとNetEaseが話し合っていると伝えていたが、その結論は確認できなかった。
ゲーム専門メディアには中止の可能性が高いとみる論調もある。ただ、これは各媒体の見方で、公式の発表とは別の話になる。解散の公告だけでは、作品の中止は確定しない。
GANG OF DRAGONは、米国時間の2025年12月11日、日本時間では12日の「The Game Awards 2025」で発表された。東京・新宿歌舞伎町を舞台にしたアクションアドベンチャーで、韓国の俳優マ・ドンソクが韓国系マフィアの幹部シン・ジソンを演じる。格闘に刀、銃、車を使ったアクションまでをそろえた三人称視点の作品として紹介され、発売日は発表されないまま、ここまで来た。
NetEaseの資金提供停止から解散までの動き
流れが変わったのは2026年3月だった。Bloombergが3月7日、NetEaseが5月から名越スタジオへの資金提供を止めると報じ、NetEaseの広報担当者も取材に事実だと答えた。同社はゲーム開発の縮小を進めていて、世界各地のスタジオで人員削減や閉鎖が続いていた。
同じ報道によると、社員への通知は3月6日。作品の完成には少なくとも70億円の追加資金が必要だとNetEase側が判断したことが背景にあり、名越氏は新たな出資者を探していたものの、その時点で見つかっていなかった。
その後の動きを並べると、次のようになる。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月17日 | 公式Xの最後の投稿 |
| 3月6日 | 社員に資金提供停止を通知 |
| 3月31日 | 名越氏を含む取締役が退任 |
| 4月 | 公式YouTubeチャンネルが削除され、のちに復旧 |
| 5月12日 | 公式サイトが閲覧できないとの報告が相次ぐ |
| 5月31日 | 新たな代表取締役が就任。取締役会と監査役を置く定めを廃止 |
| 5月末 | 複数のスタッフが退職 |
| 10月5日時点 | 登記上は会社が存続、 |
| 10月31日 | 株主総会で解散を決議 |
| 11月2日 | 官報に解散公告 |
役員の動きと10月5日時点の登記は、Game*Sparkが登記簿を取って確かめた内容だ。5月末の退職も同じ媒体がスタッフのLinkedInなどを調べて報じたもので、デザイン部門を率いた人が本人のプロフィールで5月31日付の退職を報告していたほか、6月からカプコンやMIXIなどで働いていると記した人もいた。プロフィールに変化がないスタッフもいて、全員の去就は分かっていない。
資金提供の停止と解散には、時間の順番がある。ただし、官報の公告に解散の理由は書かれておらず、会社も説明していない。両者の因果関係を公式に示した資料は、確認できなかった。新たな出資者が見つかったのか、交渉がどう終わったのかも不明のままだ。
名越稔洋氏の現在は
名越氏の現在について、本人や会社の説明は見つからなかった。確認できるのは、登記と肩書の変化までだ。
登記簿では、名越氏を含む取締役が3月31日付で退任している。この変更が登記されたのは6月18日で、5月20日時点の登記にはまだ代表取締役として名前があった。Game*Sparkは、この「退任」を任期の区切りによるものとみていて、これだけでスタジオを離れたとは言えないと書いている。
ただ、10月5日時点の登記でも名越氏の再任の記録はなく、取締役は別の1人だけだった。6月の週刊ファミ通の40周年企画に出たときの肩書も、「名越スタジオ」ではなく「ゲームクリエイター」だったという。
共に会社を立ち上げた佐藤大輔氏も、同じ登記で再任の記録はなかった。6月にはSNSのプロフィールが「元名越スタジオ」に変わったと伝えられている。ただ、離れた時期は分かっていない。
次にどの会社で、どんな作品を作るのか。名越氏の新しい所属や新作の発表は、11月2日時点で確認できなかった。
セガを離れてからの約5年
名越氏は1989年にセガへ入社した。『デイトナUSA』『スパイクアウト』『スーパーモンキーボール』などを手がけ、2005年12月8日にプレイステーション2向けに発売された『龍が如く』からは、シリーズの中心に立つ。2011年には自身が率いる制作チームで龍が如くスタジオを立ち上げ、そのトップとして知られた。
転機は2021年10月だ。龍が如くスタジオの公式サイトで新体制が発表され、名越氏と佐藤氏のセガ退社が明らかになった。同年11月、NetEase Gamesの100%出資で名越スタジオを設立し、2022年1月に公式サイトを開いて公表する。所在地は東京都渋谷区の恵比寿で、名越氏が代表取締役社長に就いた。
設立時の顔ぶれには、『龍が如く』シリーズや『スーパーモンキーボール』シリーズに携わった開発者が並んだ。掲げたのは、家庭用ゲーム機向けのハイエンド作品を世界に向けて作ること。社名に自身の名前を入れた理由を、名越氏は設立時のファミ通のインタビューでこう語っている。
「自分の名前を冠するということで覚悟を表明したかったというのがいちばんの理由で。」
設立から約4年を経た2025年12月、GANG OF DRAGONは最初の作品として世界に示された。それから1年足らずで、会社は解散を決議したことになる。
世に出ないまま終わるのか、誰かの手で続くのか。作品の行き先も、名越氏の次の一手も、公式の言葉はまだ出ていない。
[文/構成 by ライター あおい りんご]









































































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