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細野勇策、日本オープン初優勝で年間2冠 山口県山陽小野田市出身の23歳がマスターズ切符

細野勇策、日本オープン初優勝で年間2冠 山口県山陽小野田市出身の23歳がマスターズ切符

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男子ゴルフの日本オープンゴルフ選手権は10月18日、滋賀県甲賀市のタラオカントリークラブ西コースで最終ラウンドを行い、山口県山陽小野田市出身の細野勇策(23)=三共グループ=が通算13アンダーで初優勝した。5月の日本プロゴルフ選手権に続く国内メジャー2勝目で、優勝賞金は4200万円。2027年のマスターズと全英オープンの出場資格も手にした。

13アンダーで逃げ切り、2位に2打差

単独首位からスタートした最終ラウンドは、5バーディー・5ボギーの70。4日間のスコアは65、64、68、70で、通算267ストロークだった。2打差の2位は通算11アンダーの坂本雄介。1打差の2位で最終組に入った今平周吾は74と崩れ、李尚熹とともに通算8アンダーの3位タイに終わった。

最終日のタラオCCは、前日までの北風から一転して南からの風が吹き、日本ゴルフ協会(JGA)は「この4日間で一番強い風」と伝えている。7411ヤード・パー70と大会史上最長の設定に、強風が重なった。

細野は4番でバーディーを先行させると、5番のボギーを6番で取り返す。8番は残り約40ヤードからのチップインバーディーとなり、前半で2つ伸ばして15アンダーで折り返した。本人はこの一打を「めっちゃラッキーだった」と明かしている。10番のボギー直後には11番、12番と連続バーディー。後続との差は一時6打まで開いた。

だが、終盤は楽ではなかった。14番、17番、18番でボギーを重ね、一つ前の組で一時4つスコアを伸ばした坂本に2打差まで迫られる。18番はティーショットを右のバンカーに入れたものの、無理をせず刻んでボギーにとどめ、短いウイニングパットを沈めると両手でガッツポーズをつくった。

「最後までドキドキした。優勝できてホッとしている」。細野はラウンド後にそう話した。2位の坂本は2310万円、3位タイの今平と李は1333万5000円を手にしている。ローアマチュアは通算6オーバーの小林翔音だった。

日没サスペンデッドをはさんだ4日間

大会は10月15日に開幕した。初日は大岩龍一が大会18ホール最少タイの62をマークして単独首位に立ち、細野は65で4位タイの発進だった。

関連記事:大岩龍一、日本オープン初日62で単独首位、2日目は68で暫定2位 今年ドライバーイップス再発、スイング改造中の28歳

流れが変わったのは16日の第2ラウンドだ。細野は6アンダーの64で回り、通算11アンダーで単独首位に浮上する。この日は日没のため一部の選手がホールアウトできずサスペンデッドとなり、細野は「暫定」の首位として一夜を越した。

関連記事:細野勇策、日本オープン2日目64で暫定単独首位 日没サスペンデッド、レフティーの経歴と所属

第2ラウンドの残りは17日午前6時54分に再開され、そのまま決勝ラウンド進出者が決まった。同じ日のうちに第3ラウンドが2ウェイ・3サムで行われ、細野は大岩、K・コボリと最終組でティーオフ。68で2つ伸ばして通算13アンダーとし、首位を守った。66をマークした今平が1打差まで迫り、優勝争いは最終日の直接対決へ持ち込まれた。

「年間2冠」の中身は日本プロと日本オープン

今季のもう1勝は、5月24日に滋賀県の蒲生GCで行われた日本プロゴルフ選手権大会センコーグループカップだ。通算15アンダーで逃げ切り、ツアー初優勝を飾った。日本選手の左打ちによるツアー優勝は、1991年の羽川豊以来35年ぶりとなった。

日本オープンは、それから約5カ月後に手にした2つ目のタイトルとなる。大会前の時点で、細野はすでに国内男子ツアーのポイントランキングで首位を走っていた。JGAによると、日本プロと日本オープンを同じ年に制したのは2008年の片山晋呉以来で、史上11人目。左打ちの選手が日本オープンを制したのは1981年大会の羽川以来、2人目だ。細野は羽川について「追いつき、追い越せるように頑張りたい」と語っている。

海外の舞台も経験した。日本オープン前週の10月8日から11日には、横浜で開催された米PGAツアーのBaycurrent Classic Presented by LEXUSに出場して33位タイ。そこで2日間同じ組を回った同級生の久常涼について、細野は第2ラウンド後に「気持ちの強さの差を感じました」と打ち明けている。

マスターズ切符は2027年大会の規定に基づく招待

マスターズへの道は、日本オープン優勝で開かれた。根拠は、マスターズを主催するオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブと全英オープンを主催するR&Aが9月22日(日本時間)に共同で発表した2027年度の出場資格だ。JGAはこの発表を受け、2026年度日本オープン優勝者が翌年のマスターズに招待され、全英オープン本選にも出場できることが決まったと告知していた。対象は優勝者だ。

この仕組みは2025年大会から始まった。オーガスタ・ナショナルとR&Aは日本、スコットランド、スペイン、香港、オーストラリア、南アフリカの6つのナショナルオープンの優勝者に1年間の出場資格を与えると発表し、2025年の日本オープンをプレーオフで制した片岡尚之が2026年の両大会に出場した。片岡はマスターズで予選落ちしたものの、全英オープンでは予選を通過して59位に入っている。

マスターズ出場はまだ想像の中の話だ。細野は「みんゴル(人気ゲーム『みんなのGOLF』)でしかやったことないが、出るからには優勝を目指して頑張りたい」と意気込んだ。来年4月、その舞台に自分の足で立つ権利を得た。

山陽小野田市から世界へ、心臓手術を越えた左打ち

細野は2003年1月9日、山口県山陽小野田市に生まれた。生後2カ月で先天性の心臓の病気が見つかって手術を受け、激しい運動は制限された。野球はあきらめたが、6歳のころに父の手ほどきでゴルフを始め、当時から左打ちだった。

ジュニア時代には左打ち用の子ども向けクラブが少なく、女性用クラブを切って使ったり、海外から取り寄せたりしたという。用具をそろえたのは父で、細野は日本プロ優勝後に「全部父親がやってくれてたので、父親にすごく感謝しています」と感謝を口にした。

ジュニア時代から結果を残した。小学6年だった2014年に全国小学生ゴルフ大会の男子の部で1位タイとなり、2017年には山口県アマチュアゴルフ選手権を制している。その後はルネサンス大阪高等学校を経て、2021年にプロテストに合格。2022年にツアーデビューを果たした。

地元とのつながりも続く。山陽小野田市は2023年2月、ツアー本格参戦を前にした細野が2月15日に市役所で市長と市議会議長を表敬訪問すると発表していた。前年12月に宮崎県のトム・ワトソンゴルフコースで行われたファイナルクォリファイングトーナメントで8位に入り、2023年シーズンのチャレンジツアー全試合とレギュラーツアー前半戦の出場権をつかんだ直後だった。市は当時、細野を「市内在住」のプロゴルファーとして紹介している。

山口県勢初と伝えられた日本プロ制覇から5カ月。3年前、ツアー本格参戦を控えていた20歳のプロは、ゴルファー日本一の称号とともにオーガスタへ向かう。

[文/構成 by スポーツライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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