米フロリダ州でビジネスジェット機が墜落、9人全員死亡 機種はリアジェット60、墜落直前に「着氷」報告と「メーデー」

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米フロリダ州パームビーチ郡で現地時間11月1日の昼過ぎ、ビジネスジェット機「リアジェット60」が墜落し、乗っていた9人全員が死亡した。テキサス州からバハマへ向かう途中で、墜落の数分前には機体への着氷を管制に伝え、その後「メーデー」を宣言していた。原因は米国家運輸安全委員会(NTSB)が調べている。
9人全員が死亡、住宅街近くの道路脇に墜落
米連邦航空局(FAA)によると、墜落は米東部時間11月1日午後0時50分ごろ、日本時間では2日午前2時50分ごろだった。現場はフロリダ州パームビーチ郡を南北に走るミリタリー・トレイル沿いで、クレストヘイブン大通りと10番街ノースの間にあたる。グリーンエーカーズ周辺の住宅街に近く、ウェストパームビーチの空港からは南へ約4マイル(約6.4キロ)の距離だ。
ダフィー運輸長官は自身のXで、搭乗していた9人全員の死亡を明らかにし、「horrific tragedy(恐ろしい悲劇)」と表現した。亡くなった人たちの家族や大切な人のために祈ってほしいとも呼びかけている。
FAAによると、機体はテキサス州のオースティン・バーグストロム国際空港を出発し、バハマのノース・エルーセラ空港へ向かう予定だった。フロリダ半島の東岸から海を渡る手前で墜落したことになる。
現場の映像には、機体が機首から地面に落ち、火の玉となる様子が映っていた。現地で会見したデサンティス州知事は「ミサイルが落ちていくように見えた。道路脇に大きなクレーターを残した」と語り、墜落を「cataclysmic(壊滅的)」と表現した。素早く駆けつけた消防や救急の隊員には謝意を示している。
リアジェット60とはどんな機体か
リアジェットは、米カンザス州ウィチタで生産されてきたビジネスジェットのブランドだ。カナダの航空機メーカー、ボンバルディアの傘下に入ってからも、小型から中型まで複数の機種が造られてきた。
リアジェット60は、その中で中型にあたる双発ジェット機で、客室の定員は8人。航空専門誌の報道によると、2012年4月末までに改良型の「60XR」を含め409機が顧客に引き渡されていた。
ボンバルディアは同じ2012年、需要が弱まったとして60XRの生産を一時止めると発表した。リアジェットのブランドそのものも、2022年3月に最後の1機となる「リアジェット75」を引き渡し、約60年にわたる生産に区切りをつけている。
墜落した機体は、FAAによると製造から22年が経っていた。FAAの登録記録では米デラウェア州の有限責任会社(LLC)の所有で、インターネット上ではチャーター機として掲載されていた。民間企業が所有し、過去にはレンタル機として使われたこともあると報じられている。
墜落直前の交信、「軽い着氷」から「メーデー」へ
航空無線の録音サイトに残る交信を、米メディアが相次いで伝えた。それによると、操縦士は墜落の数分前、マイアミ航空路管制センターに「軽い透明な氷が付いているが、対処できる。乱気流は中程度」と報告していた。外気温はセ氏マイナス47度で、乱気流によって機体が最大700フィート(約213メートル)上下していたとも伝えている。
状況が変わったのは、その少し後だった。
操縦士は降水が始まったことを伝えて上昇を求め、その直後に緊急事態を宣言する。「メーデー、メーデー」に続けて「毎分1万フィート(約3048メートル)で降下している」と告げ、次の交信では「オーバースピード(機体の制限速度を超えた状態)で、毎分2万フィート(約6096メートル)で降下中」「地面に墜落する」と伝えた。
報道された交信とFAAのデータを、順を追ってまとめると次のとおりだ。
| 段階 | 交信・データの内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 墜落の数分前 | 「軽い透明な氷が付いているが対処できる」「乱気流は中程度」、 | 管制交信の録音 |
| 降水の報告後 | 上昇を要求し、 | 管制交信の録音 |
| 緊急宣言 | 「メーデー、 | 管制交信の録音 |
| 最後の交信 | 「オーバースピードで毎分2万フィートで降下中」「地面に墜落する」 | 管制交信の録音 |
| 降下の記録 | 高度3万5250フィートから8750フィートまで1分余り | FAA |
FAAによると、機体は高度3万5250フィート(約1万744メートル)から8750フィート(約2667メートル)まで、1分余りで降下した。落ちた高さは2万6500フィート(約8077メートル)で、毎秒約350フィート(約107メートル)の速さにあたる。
当時、周辺には散発的な雷雨があり、機体は降下を始める数分前に、より強い雨雲の中を通っていたと報じられた。ただ、着氷や乱気流、雷雨が墜落に関係したのかどうかについて、調査当局はまだ何も説明していない。
原因はNTSBが調査中、搭乗者の身元は公表されず
調査はNTSBが主導し、FAAが支える。ダフィー長官は、FAAがNTSBの調査を支援するためのチームを現場へ送ると明らかにした。FAAは、公表した情報について「暫定的なもので、変わる可能性がある」としている。
墜落の原因は、現時点で分かっていない。着氷の報告やオーバースピードの交信が何を意味するのかも、NTSBの調査を待つ段階だ。
搭乗者の氏名や国籍は、日本時間2日朝の時点で公表されていない。機内にいた9人がどのような人たちだったのか、日本人が乗っていたかどうかも明らかになっていない。
住民約600人に避難先、ミリタリー・トレイルは通行止め続く
墜落の影響は、地上にも広がった。パームビーチ郡のジョエル・フローレス委員は「今夜、避難先を確保しなければならない人が約600人いる」と説明した。近くの移動住宅(モバイルホーム)の住宅地に住む人たちが移る見通しで、郡は避難所2か所を待機させ、赤十字も支援に入る態勢を整えている。
デサンティス知事は会見で、地上で死傷者が出たという報告は受けていないと説明した。機体は住宅をかすめるように落ちたと伝えられているが、住宅への被害の有無ははっきりしていない。
ミリタリー・トレイルは、10番街ノースからパーディ・レーン/アラメダ・ドライブまでの区間が南北とも通行止めとなり、緊急車両だけが通れる状態だ。郡の委員は道路に大きなくぼみができたとして、通行止めが長引く可能性に触れた。いつ再開できるかは、連邦当局の調査の進み具合しだいだという。
テキサス州を飛び立ち、バハマの島へ向かっていた9人は、目的地に着くことなく命を落とした。墜落に至った経緯と搭乗者の身元は、NTSBや当局の今後の発表で明らかになる。
[文/構成 by ライター 飯田タツヤ]








































































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