KDDI、モンゴル草原火災の経緯を公表 同行の日本人は越智CEOのみ、モビコム側は社員7人で当局車両が先導

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KDDIは10月23日、子会社モビコムの社員が乗った車両から発煙し、モンゴルのヌムルグ自然保護区に燃え広がった草原火災について、現時点で確認している経緯を公表した。訪問は国境港湾局の要請によるもので、モビコム側は社員7人・車2台、車列の前後を当局の車両3台が走っていたという。出火の具体的な原因は、モンゴルの関係当局が調べている最中だ。ここでは、今回の公表で新たに示された点を中心に整理する。
KDDIが10月23日に公表した経緯、何が新しく分かったのか
KDDIは23日、「モンゴルのヌムルグ自然保護区において2026年10月8日に発生した草原火災についてのお詫び」と題したニュースリリースを出した。同じ日にモビコムが公表した事実関係を踏まえ、親会社として報告する内容だった。
公表に至った理由について、KDDIは「さまざまな憶測も含む事実と異なる発信がなされるなか」、モビコムが確認した事実関係を整理し、公表できる状況になったためと説明している。これまで会社側は立ち入りの目的を4Gネットワークの通信試験と説明していたが、今回KDDIは訪問の依頼元、車両と人数、車列の組み方、出火したときの状況まで具体的に示した。
火災は10月8日、モンゴル東部ドルノド県ハルハゴル郡で起き、8日間燃え続けて16日朝に消し止められた。モンゴル政府によると焼失面積は約52万9000ヘクタールに上り、保護区のおよそ8割が被害を受けた。東京都の面積の2倍を超える広さだ。被害の規模や賠償をめぐるこれまでの動きは、次の記事にまとめている。
関連記事:KDDI子会社モビコム、モンゴル草原火災を謝罪 ヌムルグ自然保護区の約8割が焼失、モンゴル政府は賠償請求の方針
訪問は国境港湾局の要請、開通式典と4G品質の確認が目的
KDDIによると、モビコムは2018年以降、モンゴル国内の遠隔地や国境地域で通信インフラの整備を続けてきた。最近ではハルハゴル国境警備隊の各拠点への4Gネットワーク導入や、通信用の光ファイバー回線の敷設を、国境港湾局などの要請を受けて進めていたという。
その工事が、ひと区切りついたところだった。ヌムルグ自然保護区内の全拠点で4Gネットワークが整い、スンベル国境検問所までの光ファイバーも敷き終わっていた。
社員が保護区を訪れたのは10月6日から8日にかけてで、これも国境港湾局の要請に基づくものだった。目的は、モビコムが整備した通信ネットワークの開通式典に出席することと、4Gの通信品質などを現地で確かめることの2つ。火災は、この訪問中の車での移動中に起きたとしている。
保護区への立ち入りは、国境警備隊が出した入域許可に基づいていた。KDDIは、許可が出ていた事実は10月13日に国境警備総局(国境警備隊を管理する機関)が公表した声明でも確認されている、と付け加えた。
モビコム側は社員7人・車2台、当局の車両3台が前後を走行
今回の公表でとくに詳しかったのが、保護区内での動き方だ。KDDIの説明では、保護区内での行動と移動は国境港湾局がすべて管理・監督していた。移動中はモビコムの車両2台の前後を当局の車両3台が挟み、車列の先頭と最後尾を当局側が走る体制だったという。
通信品質を調べる場面でも、社員は当局が指定したエリアへ当局の管理のもとで移動し、現地で確認していたとしている。
モビコムが持つ車両は2台で、乗っていた社員は運転手2人を含む計7人だった。同行していた日本人はモビコムの越智康博CEOだけで、越智氏はモビコムの社員が運転する車に乗っていた。KDDIの公表は、当局の車両に何人が乗っていたかには触れていない。
関連記事:越智康博氏の経歴。KDDIの法人営業部長からモンゴル通信最大手モビコムのCEOに至った経緯
枯草を取り除くため停車した際、車両下部から発煙
出火までの流れについて、KDDIは次のように説明した。
保護区の中は草丈が高く、路面の状態も厳しかった。そのためモビコムの車両は、国境港湾局の車両の先導と後方支援を受けながら、低速で走っていたという。枯草が車両の下にからみつくと火災につながるおそれがあり、安全管理として20〜30分ごとに車を止め、付いた枯草を取り除きながら進んでいた。
10月8日の移動中、枯草を取り除くために停車していたところ、社員が乗る車両の下部から煙が出ているのが見つかった。国境港湾局とモビコムの社員は当局の指示に従って消火にあたったが、火は周りの草に燃え移り、延焼を止めることはできなかった。火はその後、広い範囲に広がっていった。
車両の下から煙が出た具体的な原因と、延焼が広がった要因は、関係当局が調べている段階だ。そのうえでKDDIは、リリースで次のように記した。
「なお、本火災についてはモンゴルの関係当局が調査中ですが、当社は、モビコムの社員がその他法令違反行為を行っていないことを確認しています。」
当局の声明・報道との違いと、調査の行方
国境警備総局の10月13日の声明は、地元の国境警備隊の部隊長が、10月6日から8日にかけての国境地帯への立ち入りを13人(車5台)に許可していたと説明していた。現地では、許可の対象にはモビコムの経営陣のほか、国境港の関係者や地元住民も含まれていたと報じられている。この声明は、車両から出た火が草原火災につながったとし、立ち入った人たちの不注意によるものだとの見方も示していたと伝えられた。
一行の目的をめぐっても、現地メディアの報道として、絶滅が心配される大型の淡水魚アムールイトウの釣りや狩猟を計画していたと伝えられていた。KDDIの今回の公表は、目的を開通式典への出席と通信品質の確認とし、社員が「その他法令違反行為」を行っていないことを確認したとしている。釣りや狩猟という言葉を挙げての言及は、リリースにはない。声明の13人(車5台)とKDDIが示したモビコム側の7人(車2台)の関係も、当局の車両に乗っていた人数が公表されていないため、内訳は明らかになっていない。立ち入りの目的をめぐる説明の違いがどう整理されるかは、当局の調査の結果を待つことになる。
モンゴル政府は10月21日、火災の原因と条件を突き止め、責任のある者に損害を賠償させる方針を示した。法執行機関による調べも進んでいるが、結論はまだ出ていない。
KDDIは親会社として、モビコムとともに当局の調査に全面的に協力するとした。被害を受けた自然環境の状況を把握し、早期の回復と地域の環境保全に、モビコムや関係当局と連携して取り組むという。モビコムはモンゴルで30年にわたって通信事業を続けてきた会社で、KDDIは「その社会的責任を強く感じております」と記している。
[文/構成 by 飯田タツヤ]
















































































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