任天堂・宮本茂氏ら8人に文化勲章、ゲーム界初 年金はいくら?文化功労者との違いと2026年の受章者一覧

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政府は10月23日、2026年度(令和8年度)の文化勲章を8人に贈ると発表した。「スーパーマリオ」の生みの親として知られる宮本茂氏(73)=任天堂代表取締役フェロー=が選ばれ、ゲーム業界からの受章は初めてとなった。
宮本茂氏ら8人に文化勲章、ゲーム業界から初めて
文化勲章そのものに年金は付かない。受章者が受け取るのは「文化功労者」としての年金で、額は年350万円だ。宮本氏は2019年度にゲーム業界から初めて文化功労者に選ばれており、2つの制度の関係を、受章者8人の一覧とあわせて整理する。
2026年度の文化勲章は、建築家の伊東豊雄氏、作曲家の都倉俊一氏、照明デザイナーの石井幹子氏らに加え、宮本氏を含む8人に贈られる。親授式は文化の日の11月3日、皇居で開かれる予定だ。
宮本氏は発表に先立つ10月22日、京都市の任天堂本社で記者会見に臨んだ。約1時間にわたって報道陣の質問に答え、ゲーム作りの50年や、生成AIが広がる時代のものづくりについて語っている。
同じ日には、文化功労者21人も発表された。ジャズサックス奏者の渡辺貞夫氏(93)、アニメ映画「銀河鉄道999」などで知られるアニメーション監督のりんたろう氏(85)、プロゴルファーの岡本綾子氏、日本画家の千住博氏らが名を連ねる。今年のノーベル化学賞に決まった硤合憲三氏(76)=東京理科大栄誉教授=は、文化功労者と文化勲章に同時に選ばれた。
「本当に光栄」 会見で語ったゲーム作りと「作る」ことの意味
会見の冒頭、宮本氏は受章について「ものすごく照れくさい」と心境を明かし、「本当に光栄」と続けた。ゲームは作家が1人で作るものではなく、大勢の人たちと一緒に作ってきた結果であり、それを代表して受けるつもりだという。
話は京都にも及んだ。流行に流されず、マイペースにものを作り続けられた京都にいて良かったと感じたという。中学時代の夢は漫画家。子どもの頃から自分が作ったもので人を驚かせるのが好きで、ゲームと出会えたのは幸運だったとも振り返った。
「スーパーマリオブラザーズ」の誕生にも話は及ぶ。子どもの頃、電車の窓から外を眺めながら、頭の中で人を走らせたり川を飛び越えさせたりした。誰にでもあるそんな体験を、アクションに落とし込んだのだという。最後に待つクッパとは直接戦わず、上を飛び越えて後ろの斧で橋を落とす仕掛けも、宮本氏はこの作品の大きな工夫に挙げた。
生成AIについての問いも出た。宮本氏は、作業そのものは楽しく満足感があるとしたうえで、いちばん怖いのは作業に満足して「いいものができた」と思い込んでしまうことだと指摘した。AIが作業を肩代わりするほど、本当に作るとはどういうことかを、皆が真剣に考えるようになる。そんな見方を示している。
若い開発者への助言は、はっきりしていた。
既存の面白いゲームを土台に「こう改造すればもっと面白くなる」と考える作り方は、やめてほしいと伝えているという。誰かが作ったものに手を加えるより、「こんなことをしてみたら面白いんじゃないか」という発想をゼロから形にするほうが、きっと楽しく、仕事のやりがいもある。宮本氏はそう語った。
マリオ、ゼルダ、ピクミン 宮本氏の歩み
宮本氏は1952年、京都府園部町(現・南丹市)に生まれた。金沢美術工芸大学で工業デザインを学び、1977年に任天堂へ入社する。
アーケードゲーム「ドンキーコング」で頭角を現し、1985年の「スーパーマリオブラザーズ」、翌86年の「ゼルダの伝説」でファミコンブームを支えた。その後も2001年の「ピクミン」、2006年の「Wii Sports」などを手がけ、2015年に代表取締役フェローに就いた。
最近はゲームの外へと仕事の場が広がる。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」に関わり、映画では2023年の「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」に続いて、2026年4月24日に日本公開された「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」でも、イルミネーションのクリス・メレダンドリ氏とともに製作を務めた。
文化勲章の年金はいくら? 受け取るのは「文化功労者」の年350万円
「文化勲章をもらうと年金が出る」と言われることがある。正確には、年金を支給する根拠は文化勲章ではなく、1951年に制定された文化功労者年金法だ。
同法は、文化の向上発達に関して特に功績顕著な人を「文化功労者」とし、終身の年金を支給すると定める。額は政令で決まる仕組みで、文化功労者年金法施行令が年額350万円と規定している。文部科学省の予算資料でも、1人あたり350万円を直接支給すると説明されている。額は1980年代から350万円のまま据え置かれてきた。
勲章に年金を付けられない理由
背景には日本国憲法がある。第14条3項は「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」と定めており、勲章に年金のような経済的な特典を結び付けることはできない。
1937年に制定された文化勲章にも、この規定のもとでは年金を付けられなかった。そこで1951年に文化功労者の制度をつくり、文化勲章の受章者が文化功労者として年金を受け取る運用を重ねて、終身年金の道を開いた。現在、文化勲章の受章者は原則として前年度までの文化功労者の中から選ばれる。
宮本氏は2019年度から文化功労者
宮本氏は2019年度に文化功労者に選ばれている。このときもゲーム業界からは初めての選出だった。
つまり宮本氏の年金は、文化勲章の受章で新たに始まるものではない。文化功労者として受け取っている年350万円が、そのまま続く。
一方、硤合氏は今年度、文化功労者と文化勲章に同時に選ばれた。前年度までの文化功労者から選ぶという原則の外にあたる例で、文化勲章の受章とともに文化功労者として年金の対象にもなる。
文化勲章と文化功労者の違い
どちらも文化の発展に大きく貢献した人をたたえる制度だが、性格は異なる。文化勲章は国の「勲章」、文化功労者は法律に基づく「顕彰」で、年金が付くのは文化功労者の側だ。主な違いを表にまとめた。
| 項目 | 文化勲章 | 文化功労者 |
|---|---|---|
| 性格 | 勲章(栄典) | 年金による顕彰 |
| 始まり | 1937年(文化勲章令) | 1951年(文化功労者年金法) |
| 対象 | 科学技術や芸術などの文化の発達に、特に顕著な功績をあげた人 | 文化の向上発達に関し、特に功績顕著な人 |
| 選び方 | 文部科学大臣が文化審議会・文化功労者選考分科会の委員全員の意見を聞き、文化功労者の中から選んで推薦。閣議で決定 | 文化審議会の選考を経て、文部科学大臣が決定 |
| 年金 | なし | 終身で年350万円 |
| 2026年度の人数 | 8人 | 21人 |
| 式典 | 11月3日、皇居での親授式(天皇陛下から直接授与) | 11月4日、東京都内のホテルでの顕彰式 |
文化勲章の受章者は、ほぼ全員がすでに文化功労者でもある。文化功労者の中から、さらに功績の大きい人が文化勲章に選ばれる、と考えると分かりやすい。
親授式では天皇陛下が受章者に文化勲章を手渡し、その後、内閣総理大臣が勲記を伝達する。勲章は橘の五弁の花の中央に三つ巴の曲玉を配したデザインで、常緑の橘が持つ永続性を、文化の永久性に重ねたと言われる。
2026年度(令和8年度)文化勲章受章者8人の一覧
受章者8人の顔ぶれは次のとおりだ。年齢は発表時点。
| 氏名 | 年齢 | 肩書き・分野 | 主な業績 |
|---|---|---|---|
| 石井幹子 | 88 | 照明デザイナー | 東京タワーのライトアップなどを手がけ、都市の文化づくりに貢献 |
| 伊東豊雄 | 85 | 建築家 | 国内外で評価される建築を手がけ、私塾で後進を育成 |
| 黒岩常祥 | 84 | 東京大名誉教授(細胞生物学) | ミトコンドリアなど細胞内小器官の構造と、分裂・増殖の原理を解明 |
| 塩川徹也 | 81 | 東京大名誉教授(フランス文学) | 文学・思想・宗教を横断する研究で、17世紀フランス文学研究を発展 |
| 都倉俊一 | 78 | 作曲家 | ピンク・レディーの「ペッパー警部」「サウスポー」などを作曲。文化庁長官も務めた |
| 長田重一 | 77 | 大阪大栄誉教授(免疫学) | 細胞死の一つ、アポトーシスの仕組みを解明 |
| 硤合憲三 | 76 | 東京理科大栄誉教授(有機合成化学) | 鏡写しの関係にある分子の一方だけが、自らを触媒として増える反応を発見。2026年ノーベル化学賞 |
| 宮本茂 | 73 | 任天堂代表取締役フェロー(ゲーム) | 「スーパーマリオブラザーズ」などを手がけ、ファミコンブームを支えた |
最年長は88歳の石井氏で、最年少が73歳の宮本氏。分野は建築、音楽、照明デザイン、生命科学、文学研究、化学、ゲームと幅広い。
1977年に工業デザインの学生から任天堂に入った作り手が、横山大観や湯川秀樹らと同じ文化勲章の受章者に名を連ねる。宮本氏は11月3日、皇居で勲章を受け取る。
[文/構成 by あおい りんご]














































































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