ロマンチックウォリアーが現役引退、香港ジョッキークラブが発表 G1・15勝で獲得賞金は世界歴代最高の55億円超

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
香港の名馬ロマンチックウォリアーが現役を引退した。香港ジョッキークラブが9月2日に発表。前脚の故障が理由だ。G1通算15勝、獲得賞金は日本円で55億円超と、世界の競走馬で歴代最高額を記録した。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
香港ジョッキークラブが9月2日に引退を発表、前脚の故障が理由
香港ジョッキークラブ(HKJC)は9月2日、香港が誇る名馬ロマンチックウォリアー(セン8)の現役引退を発表した。前脚の故障が理由だった。
HKJCによると、馬主や調教師ら関係者がクラブの獣医師団と協議を重ね、最新設備を備えたクラブの獣医病院で前脚の精密な画像診断を行った上で引退を決めた。2025年5月に左前脚へネジを入れる手術を受けており、今回は反対側の右前脚に異常が見つかったという。
管理するのはC・シャム調教師。父はアクラメーション、母はフォークメロディという血統で、母の父にストリートクライを持つ。アイルランド生まれの8歳セン馬だ。
今後3か月はクラブの獣医師が経過を見守り、その後は「RESTART」と呼ばれる引退競走馬のアフターケア・プログラムの支援を受けて繋養先へ移る。今シーズン後半にはシャティン競馬場で引退式を開く予定だ。
480万HKドルの安馬が世界一の賞金王へ、キャリアを変えた海外挑戦
ロマンチックウォリアーは2021年の香港国際セールで、480万香港ドル(約6100万円)で落札された。元名手のマイケル・キニーンがHKJCのために見い出した1頭で、馬主のピーター・ラウ氏がその手に入れた。買値の約60倍を稼ぎ出したことになる。
2021年10月にハッピーバレーでデビューすると、5連勝で香港クラシックマイルを制した。翌年3月には香港ダービーを勝ち、4月のクイーンエリザベス2世カップでG1初制覇を飾る。ここから快進撃が始まった。
キャリアを変えたのは海外への挑戦だった。2023年10月、初の海外遠征でオーストラリアに渡り、前哨戦のターンブルステークス(4着)を経てコックスプレートに出走。ムーニーバレーの直線でミスターブライトサイドをハナ差でとらえ、香港調教馬として初の優勝を果たした。この一戦が世界に名を知らしめる転機となる。
2024年6月には日本の安田記念を制し、東京競馬場で外国調教馬として久々の勝利を挙げた。25年1月にはドバイのジェベルハッタでコースレコードを記録。2月のサウジカップでは唯一のダート挑戦で日本のフォーエバーヤングと死闘を演じ、クビ差の2着に惜敗した。
得意の芝を離れ、世界最高峰のダート王に挑む。この姿勢こそが陣営の哲学だった。負けはしたが、多くのファンの記憶に残る一戦となった。
G1・15勝、香港三冠制覇 8歳で6戦6勝の完璧なラストシーズン
通算成績は31戦24勝。2着5回を含め、2023年のコックスプレート以降は一度も3着以下に負けなかった。G1は通算15勝で、これは香港調教馬として最多だ。うち3勝を香港以外の3か国で挙げている。
記録ずくめのキャリアだった。香港カップは前人未到の4連覇。クイーンエリザベス2世カップも4勝を挙げ、いずれも他馬が届かなかった数字だ。G1・15勝はゴールデンシックスティの10勝を5つ上回る。
8歳で迎えた最終シーズンは、まさに完璧だった。6戦6勝、うち5勝がG1。1月のスチュワーズカップ、3月の香港ゴールドカップ、4月のクイーンエリザベス2世カップと勝ち進み、5月のチャンピオンズ&チャターCで香港三冠を達成した。三冠制覇はリバーヴァードン、ボヤージュバブルに続く3頭目だ。この15勝目で獲得賞金は世界歴代最高の55億円超に達した。
主戦のジェームズ・マクドナルド騎手はロマンチックウォリアーへの思いを口にしてきた。8歳での手術明けから6連勝を飾った馬について、陣営の期待に応え続けた。日刊スポーツによると、マクドナルドは引退にあたり「余生を見守る機会を与えられた」と語り、これまで馬が与えてくれたものへの恩返しをしたいと述べた。
シャム調教師はイドルホースの取材に「息子のように愛している。少しでもリスクがあれば引退させるつもりだった」と明かし、馬との強い絆を強調した。HKJCのウィンフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス最高経営責任者は「世界の競馬史でも稀有な1頭だ」と評している。
「一つの時代の終焉」 日本のファンからも惜別
日本でも安田記念やサウジカップでおなじみの馬だっただけに、引退のニュースに競馬ファンから惜別が相次いだ。
netkeibaは公式Xで「4カ国で合わせてG1・15勝を挙げた世界の賞金王」と伝え、投稿には多くの反応が集まった。THE ANSWERが取材したファンからは「日本馬にとってはそびえ立つ壁のような存在だった素晴らしい名馬」「本当に化け物レベルで強かった。ひとつの時代の終焉やね」といった声が上がった。「もう1度エバヤンとの対決見たかった」と、フォーエバーヤングとの再戦を望む声もあった。
引退後は豪州へ シャティンで引退式も
引退後の繋養先について、日刊スポーツはロマンチックウォリアーが豪州へ渡ると報じている。まず香港で3か月間の経過観察を経て、その後に移る流れだ。
シャティン競馬場では今シーズン後半に引退式が予定される。詳細は追って発表される見込みだ。
480万香港ドルの安馬が、世界一稼いだ競走馬になった。マイル戦から2400メートルまで、芝もダートも、香港から豪州、日本、ドバイまで、行ける場所すべてで最強クラスと戦い続けた1頭が、8歳でターフを去る。
[文/構成 by 橘すろべ]


























































コメントはこちら