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価格カルテルって結局なに?アイス6社のニュースを”モヤモヤしない”ように解説

価格カルテルって結局なに?アイス6社のニュースを”モヤモヤしない”ように解説

公正取引委員会が6月16日、アイスの価格を巡るカルテルの疑いで大手6社に立ち入り検査を始めた。対象は明治やロッテ、グリコなど誰もが知るメーカーだ。 値上げの前に各社が示し合わせていた疑いがあるという。そもそも価格カルテルとは何か、なぜ違法で...

価格カルテルって結局なに?アイス6社のニュースを”モヤモヤしない”ように解説

価格カルテルって結局なに?アイス6社のニュースを”モヤモヤしない”ように解説

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

公正取引委員会が6月16日、アイスの価格を巡るカルテルの疑いで大手6社に立ち入り検査を始めた。対象は明治やロッテ、グリコなど誰もが知るメーカーだ。値上げの前に各社が示し合わせていた疑いがあるという。そもそも価格カルテルとは何か、なぜ違法で、私たちの家計にどう関わるのか。ニュースのモヤモヤをスッキリ整理する。

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アイス大手6社に公取委が立ち入り、何があったのか

公正取引委員会が6月16日午前、アイスクリームの希望小売価格を巡ってカルテルを結んだ疑いがあるとして、大手6社に立ち入り検査を始めた。読売新聞が報じた。疑いは独占禁止法違反、いわゆる不当な取引制限にあたる。

検査を受けているのは、明治、ロッテ、森永製菓、森永乳業(いずれも東京)、江崎グリコ(大阪)、赤城乳業(埼玉)の6社。スーパーやコンビニでおなじみの顔ぶれがそろった。

関係者によると、各社は遅くとも数年前から、アイスの希望小売価格について幹部らが値上げ前に集まったり、メールをやり取りしたりして、上げ幅や価格改定の時期などの情報を交換していたとみられる。公取委はこうしたやり取りがカルテルにあたる疑いがあるとみて調べる。

アイス業界でカルテルを巡る調査が行われるのは初めてだ。

そもそも価格カルテルって何のこと

超ざっくり言うと、価格カルテルは「ライバル同士が、価格を競うのをやめて、値上げの幅や時期をそろえる相談をすること」だ。値上げ自体が悪いのではなく、競争相手と事前に合わせる点が問題になる。

公正取引委員会の説明によると、カルテルとは、本来それぞれの会社が自分で決めるべき商品の価格や生産量を、ライバル同士が連絡を取り合って一緒に取り決める行為をいう。値段は各社が競い合って決めるのが市場の大前提。その競争を、裏で手を組んでやめてしまうイメージだ。

図解:価格カルテルは「競争を止める相談」
通常の競争
A社B社C社
各社が別々に価格や時期を判断
価格・品質・商品力で競い合う
カルテルが疑われる状態
A社B社C社
ライバル同士が情報交換・申し合わせ
値上げ幅や時期がそろい、消費者が高く買う可能性

今回問題になるのは、値上げそのものではなく、値上げの幅や時期をライバル同士が事前に相談していたかどうかです。

なぜダメなのか。スーパーで2つのアイスが並んでいれば、店は「あっちより安く」と競い、メーカーも選ばれようと工夫する。この競争があるから、消費者は安く、質のいい商品を手にできる。ところがメーカー同士が「次はそろって○円上げよう」と申し合わせれば、消費者はどの店に行っても高い値段で買うしかなくなる。

希望小売価格が上がれば、スーパーやコンビニへの卸値も上がりやすい。結果として店頭価格も上がる傾向にある。公取委は、カルテルによって消費者が本来より高い値段での購入を強いられた可能性があるとみている。

カルテルは独占禁止法が禁じる「不当な取引制限」の代表例だ。違反が認定されれば、課徴金という罰金のようなお金の支払いを命じられる。カルテルの場合、課徴金額は対象商品の売上額などをもとに計算され、大企業なら算定率は原則10%とされる。アイスのように売上規模の大きい商品では、その額は巨額にのぼりうる。

「足並みをそろえる値上げ」が疑われた背景

なぜ各社が足並みをそろえたとされるのか。公取委は、そろって値上げすることで売り上げの落ち込みや会社のイメージダウンを防ぐ狙いがあったとみている。1社だけ値上げすれば客が他社に流れる。だが全社が同時に上げれば、その心配は小さくなる。

ここで思い出したいのが、ここ数年の値上げラッシュだ。アイス各社は実際に相次いで価格を引き上げてきた。ロッテは2025年9月出荷分から「雪見だいふく」「モナ王」「爽」などの市販用アイスを値上げすると発表。明治もアイスを含む商品の価格改定を重ねてきた。原材料費やエネルギー、人手不足によるコスト増が理由として説明されてきた。

値上げそのものは違法ではない。コストが上がれば価格に反映するのは当然の経営判断だ。問題になるのは、その値上げの幅や時期を、ライバル同士が裏で相談していたかどうか。公取委はその一点を調べている。

立ち入り検査されたら「クロ」なのか

ここは誤解されやすい。立ち入り検査は、あくまで疑いがある段階で証拠を集めるための調査だ。検査を受けた時点で違反が確定したわけではない。

図解:立ち入り検査は「違反確定」ではなく、証拠を集める段階
1
疑いがある
価格や時期の相談があった可能性を調べる
2
立ち入り検査
資料やメールなど、判断材料を集める
3
分析・聴取
関係者の説明も踏まえて実態を確認する
4
違反有無を判断
認定されれば課徴金などの対象になりうる

つまり、検査を受けた時点ではまだ「疑い」の段階。今後の調査で違反の有無が判断されます。

実際、企業側がどう対応するかは、過去の例が参考になる。今年6月に人材派遣大手5社が同じくカルテルの疑いで立ち入り検査を受けた際、各社は検査を受けた事実を認めたうえで「公正取引委員会の調査に対し全面的に協力していく」(パーソルテンプスタッフ)などとコメントした。今後の調べで違反の有無が判断される。

調査をめぐっては、課徴金が減ったり免除されたりする仕組みもある。リニエンシー(課徴金減免制度)と呼ばれ、自ら関与したカルテルを公取委に自主的に報告した会社は、申告の早さに応じて課徴金が軽くなる。いち早く名乗り出た会社ほど有利になるため、各社が先を争って申告する展開もありうる。

今回の6社が現時点でどう説明しているかは明らかになっていない。検査は始まったばかりだ。

私たちのアイスはどうなるのか

気になるのは、これから店頭の値段が下がるのかどうか。だが、それを今の段階で見通すのは難しい。調査には時間がかかり、結論が出るまで数か月から年単位を要することも珍しくない。

確かなのは、毎日のように口にするアイスの価格決定の裏側に、公的な調査のメスが入ったことだ。物価高で家計が値段に敏感になっている今、身近な商品だけに関心は高い。

公取委が今後、提供された資料を分析し、関係者から話を聞いて実態の解明を進める。アイス業界にとって初めてのカルテル調査が、どんな結論にたどり着くか。続報を待ちたい。

[文/構成 by さとう つづり]

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